森林浴
コンクリートでできたビルヂングの森。
昼間明るく夜なお明るい。
振り注ぐ明かりは、人を休ませない。
ビルヂングの森の中で、息を吸う。
森の中の汚れた空気。
癒しを求めて散策してみる。
ビルヂングの中には、ビビッドで刺激的なカラーの商品がならんでいる。
楽しそうに笑う人たち。
彼らは癒されているのかもしれない。
私は彼らを恐ろしく思う。
肩身を狭くしながら街路樹は佇んでいる。
ビルヂングの森も、秋になれば色づくのかもしれない。
黒いアスファルトの土。
固い土を歩くのは苦痛だ。
灰色のビルヂングの森は、木々の見分けがつかない。
私は、森を彷徨っている。
この森の中にも、どこかに癒しはあるのだろう。
足が痛い。
座り休む場所も無い。
緑の森は、どこにでも癒しがあったのに。
聞いたことのある名の、コーヒーショップに立ち寄る。
Sサイズのコーヒーを頼み、席を探す。
ひとつ空いている席を見つけて座った。
固い椅子は私を急かしているように思えた。
300円の、このコーヒーは初めて飲んでみたけれど凄く美味しい。美味しすぎて、私は惨めになる。
コーヒーを飲み終わって、カップをお店に返した。
「ごちそうさまでした」と言ったら、店員がクスッと笑った。
お店を見回すと、皆はカップをテーブルに置いたまま黙って立ち去っている。
私はオシャレなこのお店にふさわしくないな。
違うな。オシャレなこのお店が、私にふさわしくないんだ。
信号で止まると、小さいお母さんが、小さな赤ちゃんを抱いていた。
お母さんは、信号が変わるのを見つめてる。赤ちゃんが私を見た。
私が赤ちゃんに、ニコっと笑ってみたら赤ちゃんは、ふにゃんと柔らかく笑ってくれた。
足は痛くなくなった。嫌な事は全部忘れた。
ビルヂングの森にも癒しはあるんだね。と、赤ちゃんに笑ったら、赤ちゃんは、ぷうと頬を膨らました。
あはは。そうだね。赤ちゃん。そうだよね。




