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プロゲーマーを目指していた俺、妹はアジア最強の配信者でした。  作者: 城ヶ崎大地


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第96話 エゴイスト

 可憐が3人と戦っている同時刻、ビルの立ち並ぶ都会のど真ん中で、俺はグランディネアとサブマシンガンで近距離戦をしていた。

 お互い体力は半分くらい削れた状態、ほとんど互角という感じだ。

 可憐に頭を撫でてもらった時から、緊張がなくなって本来のポテンシャルを引き出せているような気がする。


 一つのミスも許されない戦い、その最中にログでは可憐が敵3人を倒したという文字が流れた。


「……ッ」


 俺とグランディネアは目の前にいたが、リロードのタイミングで同時に後ろに下がって一時距離をとった。


「えぐいな……KAREN……」


 可憐の本気が想像以上で、思わず俺は声を出してしまった。

 北アジア最強チームのメンバー3人を瞬殺。


 さすがに俺や彩音では、到底できないスピードで倒したことに驚きが隠せなかった。

 それと同時に、いつか本気の可憐と戦いたいなという、わくわくした気持ちも湧いてきた。


「1人になったな、お仲間がやられて緊張でもしたのか??」


「いや、単純にお前よりもあっちに行った方が楽しそうだったなと思ってな」


 グランディネアは特に緊張している感じもなく、俺に言った。


「ああそうかい、言ってられるのも今のうちだ」


 俺はサブマシンガンをリロードし、一気に距離を詰める。

 グランディネアは俺が近づきながら放つサブマシンガンの弾を避けながら、遮蔽物の裏に隠れる。


 完全に体が隠れている。突っ込んでもいいけれど反撃警戒で、とりあえず俺はグレネードをグランディネアの場所に落ちる角度で投擲する。


 サブマシンガンかショットガンの近距離不意打ちをすると読んでいたけれど、予想は外れてグランディネアはアサルトライフルでグレネードを空中で撃ち落とし、残りのマガジンで俺に向けて発砲する。


(2本目の武器は俺と同じアサルトライフルか……まあ最終戦だし安定択を取るよな……)


 深読みをして反撃を警戒していたが、思ったより素直というか冷静な選択だった。

 まあ、その深読みをさせるところまでがあいつの作戦とも考えられる。


 グランディネアは一気に距離を詰め、俺の目の前まできた。

 俺はグランディネアがサブマシンガンを手に取った瞬間を狙って、サブマシンガンを撃ち込む。

 しかし、俺の弾丸をギリギリで回避して、そのまま俺の顔面めがけてパンチを繰り出した。


「……ッ」


 俺の体は勢いよく飛ばされ、ガラス張りのビルの1階にある受付窓口のような場所に倒れた。

 追撃を仕掛けるグランディネア、俺は足元にスモークグレネードを炊いた。


 グランディネアはスモークを炊いた瞬間、足が止まった。

 その隙に俺はスモークの中から飛び出し、グランディネアに頭突きを喰らわせた。


 俺の体で空いたガラスの穴から、グランディネアは外まで飛び出して大通りのど真ん中に倒れた。

 初めてあいつが、倒れているところを見たかもしれない。


「最終戦だし、聞いておきたいことがある。お前はどうしてプロになった……??」


 グランディネアは立ち上がり、俺にサブマシンガンの弾を放ちながら言った。


「どうしてって……そっちが先に言え」


「俺は専業プロだ。生活がかかってる。お前らや『あ』は最近までチームに入っていなかったから、ふと気になって」


 俺は元中学生、彩音は現在進行形で中学生。

 年齢制限で北アジアに存在するすべてのチームに、そもそも入れない。

 今回みたいに大会上がりで自分のチームを持った場合のみ、リーグ入りができる。


(そもそも一般枠で応募できないんだよな……)


「俺は……」


 俺はグランディネアの放つ弾丸を回避しながら、冷静になって考えてみた。


 彩音と全力で戦いたい、負けたくない。

 彩音にふさわしいって思えるくらい強くなりたい。

 彩音、緋奈、美佳、有栖のコーチとしてふさわしい人間だって証明させたい。

 お金を稼いでアルバイトか、もしくは専業プロで生活したい。

 いつになるか、いくらかかってしまうかわからないけれども、可憐の病の治療法が見つかったら、あいつの力になってやりたい。

 可憐、雪奈、レイン、俺たち4人で世界大会優勝したい。


 でも、俺は……何よりも……。


 中学3年、俺が部屋に引き篭もり始めた日の前日。

 それは世界王者rallyが、世界大会で優勝した瞬間を配信で見た。


 俺の大好きなゲームでここまで輝いて、讃えられている。

 あの場所へ俺も行きたいと強く願った。


「俺が!! 世界で一番強いって、証明するためにここに居る……お前を超えて世界へ行く!!」


 俺はグランディネアが顔面めがけて放つ弾丸を、左手で受け止めながら前に進んだ。

 体力ギリギリ、1ミリ程度まで削れた。


 さすがにグランディネアも、ここまで脳筋の動きをするとは思わず、アサルトライフルに持ち替えるスピードが遅れた。


「惜しかったな……」


 グランディネアはそう言って、俺にアサルトライフルの弾丸を放った。

 観戦者2万人を超えた北アジア予選、見ている人すべてがYUUの負けを確信した。


 しかし、加賀美悠也と加賀美彩音はこの絶望的状況の中で光をみつけた。


「あいつなら、見えてる」


 グランディネアの放つ弾丸の軌道を寸前に予測し、体勢を低くして回避した。

 俺はグランディネアの腹の辺りにサブマシンガンの銃口を突きつけて、マガジンすべてを撃ち込んだ。


 YOU WINの文字が俺たち4人の画面に表示された。

 北アジア最強のグランディネア、俺はその最強の存在に勝つことができた。

読んで頂きありがとうございます!!

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