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プロゲーマーを目指していた俺、妹はアジア最強の配信者でした。  作者: 城ヶ崎大地


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第94話 誰が足手纏いだって??

 俺は勝ちを確信していたが、グランディネアにはまだ届かないという現実を再認識した。


(俺はこの化け物に届かないのか……??)


「別にお前の判断は間違っていない。チームの競技だしな……」


 グランディネアはそう言って、俺に追い打ちの弾丸を撃ち込む。

 俺は遮蔽物を駆使し、必死に回避するも回避しきれずにダメージを受ける。


 形勢が逆転した。

 防戦一方で、切り返すタイミングが見つからない。


 ログを確認すると、可憐が勝ったものの重傷でおそらく動けない。

 俺がこのまま負ければ、すべてが終わる。


 そんなプレッシャーに、俺は押しつぶされそうになる。

 俺は埒が明かないと思いアサルトライフルを構えるが、グランディネアのスピードは俺の反応速度を凌駕しており、俺のアサルトライフルを持つ手に向けて弾丸を放った。


 放たれた鋼鉄の弾丸は、俺の右腕に当たりダメージを受けたのち、右腕は消滅した。

 残り体力は1割もない。ギリ2発は耐えられるけれど、ほとんど負けているも同然だ。


 俺はバランスを崩し、ビルの前で転んでその場に倒れた。


「実際、2対1なら勝機がないと踏んで焦るのはわかる」


「……」


「なら最初から仲間なんか信用するべきじゃねぇよ。足手纏いの人数合わせ、自分1人で全て解決できる。それくらいの覚悟でいねぇと、世界なんて獲れねぇよ」


 グランディネアはそう言って、俺の胴体に1発サブマシンガンを撃ち込む。

 胴体に当たり、残り体力は1ミリ以下で視界が暗くなってきた。


 グランディネアは、少し前の俺の思考そのものだった。

 だからこいつは俺に期待していたのかもしれない。


 でも、俺はその思考を捨てた。

 彩音を見て、頼れる仲間がいないと最強にはなれないと確信したからだ。


(俺のすべては間違っていたっていうのか…… いや、俺は間違っていない。最後まで諦めてたまるかよ!!)


 俺は悪足掻きのため、左手でサブマシンガンを持ってグランディネアに発砲した。

 しかし、放った銃弾はグランディネアの頬をかすっただけで、直撃とはならなかった。


「じゃあな」


 グランディネアはそう言って、サブマシンガンのトリガーに指をかけた。


「誰が足手纏いだって??」


「……ッ」


 俺がグランディネアの方を見ると、グランディネアの頭をアサルトライフルの弾丸が通り過ぎた。

 倒れるグランディネア。その後ろには、傷だらけの可憐が立っていた。


「ごめんね〜 遅くなっちゃった」


「……」


 正直絶望的状況で、心の底で諦めていた部分があったので、俺は何も言えなかった。

 俺たちチームEGCの画面に『YOU WIN』の文字が表示されて、第2ラウンドは勝利した。



   * * *


「可憐ちゃん、すごいです!!」


 雪奈はそう言って、俺の反対側の隣に座っている可憐のほっぺたに、自分の頬を当ててすりすりとした。


「さすが師匠。本当にあんたは救世主だ」


「そんなことないよ〜。悠也がこんだけ削ってくれてなかったら勝てなかった。ありがとね〜」


「……」


 俺は何も言えず、下を向いていた。

 結局、俺1人だけじゃあいつに勝てなかった。


 勝てる試合だった。

 しかし焦りや動揺で、その勝てるはずの試合を落としてしまうところだった。


 俺もグランディネアさえも、可憐が動けるのは想定外で、この勝利は勝利と呼べない。


(ちくしょう…… 俺は何が足りないんだ……)


 俺が悔しがっていると、可憐が一度立ち上がったのち、椅子に座り直した。


「ボクってさ、足手纏い??」


「……え??」


 可憐は俺の隣で、そう言った。


「いえいえ、可憐ちゃんが足手纏いなんてことないですよ!!」


「そうだ。俺なんか悔しいが相打ちがいいとこだ。北アジアでTOP10に入るラーグナ相手なのに勝ち切る時点で、足手纏いなわけねぇ」


 雪奈とレインは、可憐に足手纏いなんかじゃないと言った。


「ありがとね。でも今は悠也に聞いてる。悠也はどう??」


「足手纏いな訳あるか……」


「なら、ボクの敗北を疑わないで」


 可憐は真剣な眼差しで俺に言った。


「……ごめん」


 俺は下を向きながら、可憐に謝罪をした。

 何度目の謝罪だろう。

 可憐の方がリーダーに向いているんじゃないかと思う。


 どうして俺は信じることができなかったんだろう。

 可憐は、世界最強のラリーが認めた圧倒的な実力がある。


 それに可憐にハンデがあったとしても、俺や彩音と同じくらい戦えるというのは仲間である俺が一番知っているはずだ。


「いいよ。ボクが近距離戦できないのはバレちゃって追い詰められたのは事実だし。最終戦は絶対に勝ってね」


「わかった……」


 俺がそう言うと、可憐が俺の頭を優しく撫でた。

 なんだか安心する。

 今まで俺にのしかかっていたプレッシャーが、少し緩和された感じがする。


「大丈夫。悠也なら絶対に勝てるから」


「……うん」


 そんな話をしていると、彩音たち4人からチーム全員に『頑張って』とメッセージが来た。


「これは負けられないね〜」


「ああ、そうだな」


 俺はそう言って、水を飲んで落ち着いたのちキーボードに手を置いた。


「ああ、みなさんの応援…… 嬉しいです〜」


「師匠になでなでをしてもらったのに、負けるなんて許さねぇからな」


「ん、レインもしてほしい??」


 可憐はそう言って、立ち上がって雪奈の隣の端っこに座っているレインの頭を撫でた。


「いや別にそんな…… って、あ、その……」


「「うわっ……」」


 照れてニヤつきそうなレインを見て、俺と雪奈はドン引きした。


「お前らも大概こんなんだろ!! シスコンと限界オタク!!」


「ふふっ……」


 照れているのを隠しきれていないレインを、可憐は笑った。

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