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プロゲーマーを目指していた俺、妹はアジア最強の配信者でした。  作者: 城ヶ崎大地


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第91話 自信のないやつに、勝つ資格はねぇよ

「少しは強くなったみたいだな」


「まだまだ、こんなもんじゃねぇよ」


 グランディネアは俺の弾丸を防いだ看板を、俺に向かって投げた。

 俺は投擲された看板を避け、サブマシンガンを持ちながら距離を詰めた。


(グランディネアの武器構成はアサルトライフルとサブマシンガンか……)


 武器の構成は俺とまったく同じもの。

 ならば、自分の得意な近距離戦を仕掛けた方が勝機がある。


 俺が階段を登り切り、グランディネアへ一直線に突っ込むと、グランディネアはアサルトライフルを構えた。


(ここでアサルトライフル……?? ということは、俺のエイムを見て近距離戦は分が悪いと判断したか……??)


 サブマシンガンを持っているのは、グランディネアがさっき仕掛けてきた時に判明しているが、それでもアサルトライフルを手に持ち、俺に向けて発砲してきた。


 俺はパルクールを駆使しながら弾丸を避け、一気に距離を詰めた。


 グランディネアは足元にスモークグレネードを投げ、後ろに一歩下がりながらアサルトライフルをリロードした。


(行けるっ……!!)


 グランディネアまでの距離は数メートル。

 あと1歩詰められたら、距離減衰がなくなって大ダメージを与えられる。

 リロードも間に合わない。サブマシンガンに持ち替えるのも間に合わない。


 俺は勝ちを確信し、スモークの中を進むと、グランディネアが目の前にいた。


(なぜ詰めてきた?? すべて間に合わないのにどうして……)


「なっ……」


「少し強くなった。だが強くなったとはいえ、俺には遠く及ばない」


 グランディネアはアサルトライフルを鈍器のように振り回し、俺の胴体に直撃させた。


(まじかよ…… こんなのありか……)


 まさか開始数分で武器を片方捨てるとは想像もしていなかったので、俺は予想外の動きに動揺した。

 グランディネアのアサルトライフルは俺の胴体に当たった瞬間、砕け散って消滅した。


「ぐっ……」


 俺の体は吹き飛ばされ、ビルの屋上から地上へと落とされた。


   * * *


「想像以上だな……」


 俺はビル横の広場に落とされた。

 このゲームは落下ダメージがないので、さっき受けたダメージは幸い体力ゲージの2割程度だった。


「もうギブアップか??」


 グランディネアはサブマシンガンを持ちながら、ビルの入り口から出てきた。


「いいや、楽しくなってきた」


 俺は立ち上がりながら、サブマシンガンを手に持ってリロードをした。

 リロードが完了した瞬間、俺はグランディネアとの距離を詰めた。


 距離減衰ギリギリのところで、俺が何発か弾を放った。

 放った弾丸を、グランディネアは後ろに下がりながら回避し、俺に向けてサブマシンガンを撃ち返してきた。


 俺は、下がるグランディネアとは反対に、前に進みながら回避した。


(俺自らサブマシンガンのクリティカル距離に入っての回避、さあどう出るか……)


 グランディネアがアサルトライフルを捨てた辺りから、弾丸のマガジン比率はアサルトライフル少なめ・サブマシンガン多めだろうと読める。

 理由は単純。距離減衰でダメージが半減するサブマシンガンをわざわざ離れながら撃っても効果が薄い。

 ヘッドショットを数発当てるより、近距離で胴体や足に当てた方がダメージが出る。つまり、離れて撃つ意味はほとんどない。


 なら、グランディネア目線で考えると、俺のプレイは読めない可能性が高い。

 俺がアサルトライフルを持っているのに、まさかサブマシンガンの弾を多く持っているこの状況で詰めてくるとは考えないはず。

 この“予想外の一撃”を起点に、ゲームを進める――。


「ふっ……」


 俺が距離を詰めて弾丸を撃つ直前、グランディネアは不敵な笑みを浮かべた。


「ちっ……」


 俺は、あと一歩というところで、グランディネアが何か秘策を持っているのではと疑い、一度距離を取った。


「どうした?? 来ないのか……??」


「ああ、作戦変更だ」


 俺はサブマシンガンをしまって、アサルトライフルに持ち替えた。

 どうやら最初から小細工なんてする必要はなかった。俺の発想が空回りしていたようだ。


 予想外の攻撃を受けたせいで、「こいつのレベルは俺の発想の一歩上にある」と錯覚してしまった。

 でも、あの笑みから察するに――「近距離仕掛けてくるのか、ラッキー」――そんなふうにも見える。


 裏をかく作戦というのは、“表の行動”が成り立っていてこそ成立する。

 “表”が成り立っていないなら、それは蛇足。

 意味のない行動というか、むしろ自分の首を絞める行為。


 俺がアサルトライフルを構えると、グランディネアは呆れた顔をした。


「期待はずれだ……。KARENを仲間にしたってことで期待していたが、この程度か」


「何が期待はずれだ。まだまだ試合はこれからだろ」


「いいや、今の一瞬で理解した。お前は世界へ行くことはできない」


 グランディネアは、はっきりと俺に断言した。


「俺のどこが、間違ってるというんだ」


「自信のないやつに、勝つ資格はねぇよ」


「……ッ」


 グランディネアはそう言って、俺に一気に距離を詰めた。

 俺は反応が遅れたが、アサルトライフルをグランディネアに撃ち込んだ。


 何発か当たって、グランディネアの体力を3割程度削るも、グランディネアは止まらずに進み続けた。

 俺がサブマシンガンに持ち替えようとした瞬間――


 俺の全身に、サブマシンガンの弾丸が放たれた。


 そして俺の体力は、0になった。

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