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プロゲーマーを目指していた俺、妹はアジア最強の配信者でした。  作者: 城ヶ崎大地


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第7話 年下の女の子に罵倒されたんだが……

ドンッ。拳銃のような音が鳴って、俺は咄嗟に体勢を低くした。


「ひゃ、な、なんだよ……」


 頭から急に水をかけられたような感覚に、情けない声が漏れた。


「お前、疲れてるって……。2年の徒競走の号砲に何びっくりしてんだよ……」


 東寺は呆れたように言った。


「え、あ……そうだよな。ははは……」


(やべ……ハンドガンの銃声に聞こえて、咄嗟にゲームでやるいつもの動きになっちまった……)


 ゲームのやりすぎで現実に支障が出るって話は聞いたことがあったが、まさか自分がそうなるとは思わなかった。


「まあ、お前は選手として出ないから保健室で寝てろっ」


 東寺は未開封の水を投げて渡してきた。

 正直、朝から寝起きも最悪だったし、今日は土曜日の朝10時。ゲーマーにとっては完全に寝てる時間で、ガチで眠かった。


「そうさせてもらうわ。水、ありがとな」


「うい!」


 俺はサボりも兼ねて、保健室へ向かった。


(やべ、眠い……寝るか〜)


 怪我人と鉢合わせするのも気まずいので、俺は第二校舎の空き教室に入った。


「ここなら存分に寝られるな。タイマーをセットしてっと、よし!」


 俺は机の上にうつ伏せになって眠りに入った。


***


(どれくらい経っただろう……腹も減ってきたな……)


 そんなことを考えていた時、妙な違和感があった。

 ガヤガヤと人の声がする。


「待て、ここは空き教室で今は体育祭。授業の夢か?」


 そうつぶやいた瞬間、耳元で誰かが囁いた。


「現実だよっ」


 金色の髪が俺の横顔に当たった。女の子の声に驚いて、俺は椅子から転げ落ちた。


 ドゴンッという音とともに、地面に倒れ込む。


「ちょっと緋奈、初対面の人にいたずらはいけないよ!」


「ごめん、だってさ〜。あやねんのにいちゃんだし、いいかなって〜」


「そういう問題じゃないでしょ。あの……大丈夫ですか?」


 緑髪に眼鏡をかけた女の子が、倒れた俺を起こしてくれた。

 目をこすって前を見ると、さっきまで俺が寝ていた席にはピンク色の髪の女の子が座り、携帯型ゲームをしていた。


「あ、おはよ……」


 彼女はそう言って、再びゲームを始めた。


「ど、どうも……」


(誰なんだ、この人たちは……)


 混乱していると、メガネの子が口を開いた。三つ編みの緑髪の子だ。


「そういえば自己紹介がまだでしたね。初めまして、私は『伊吹美佳』って言います」


(話が通じそうな真面目な子って感じだな)


 次に、金髪のツインテールで水色のピンをつけた子が名乗った。


「次は私、『宇佐見緋奈』!! さっきはごめんね、にいちゃん!」


(陽キャで誰とでも仲良くなれるタイプのいたずら好きって感じか……)


 2人が自己紹介したあと、もう1人の子が名乗ると思ったが、その子はずっとゲームをやり続けていた。

 緋奈がその子の背中に抱きつき、体を揺らす。


「こ〜ら〜有栖〜、にいちゃんに失礼だろ〜!」


(どの口が言うんだ……)


 俺と美佳は、心の中で同時にツッコんだ。


「揺れる〜揺れる〜。わかったから、うーちゃん、それやめて〜」


 自由でマイペースなその子はゲームをやめ、俺の前に立った。

 ピンクのウェーブロングの髪は腰まで届き、彩音よりも少し長い。


「私は……榎波有栖です。以上」


 それだけ言って、再びゲームを始めた。


(マイペースすぎる……)


「こら〜有栖、なんかアピールポイントとかないの?」


「アピールポイントはいいとして、有栖さんも何か一言あった方がいいと思うわ」


 2人に言われ、有栖は自分のスカートに手を当てた。


(ま、待てって、これはまずい!!)


「んとね、今日履いてるのは……」


 下着が見える直前、美佳が止めた。


「何してんの!? お兄さんは彼女もできたことないボッチの寂しがり屋なんだよ! そんな下着なんて見せたら何されるかわからないじゃない!」


「ギャルゲーだと……こうすれば好感度が上がるんだけど……違うの?」


「違うわよ!!」


(事実だけど……言われると心が痛ぇ……)


 俺は胸を押さえ、その場に崩れた。


「いや教わらねぇよ!! てか、なんでそんなこと知ってんだよ!? 彩音か!? 彩音だろ!?」


 俺は確信めいて美佳に詰め寄った。


「いえ、彩音ちゃんはお兄さんのこと“いい人”っていつも言ってたわよ」


 2人も頷く。


「そうそう、あやねんはそう言ってた」


「彩音ちゃんは悪口も言わないし、嘘もつかない……」


 頭に血が上って、咄嗟に彩音のせいにしてしまったが、みんなの言葉を聞いて落ち着いた。


「じゃあ、なんで……?」


 そう聞くと、美佳がスマホを俺に見せてきた。


「この前、彩音ちゃんと登校しようとして、みんなで集まってたとき。お兄さんと彩音ちゃんが話してるのが聞こえて……それで『YUU』って確定したんです」


(……入学式の時か。あれ聞かれてたのかよ……)


「なるほど……」


「んで、『YUU』さんについて調べてみたら、記事で“彼女いない”、“陰キャ”、“ロリコン”、“不登校”……その他もろもろ出てきたので、本当か試しただけです。まあ、大体合ってましたね」


「ぼっちで有名な、にいちゃん!! 元気出して!!」


「……ふぁいと」


(もうだるい……勘弁してくれ……)


「そ、そうですか……」


「彩音ちゃんにはこのこと言ってないので、ご安心ください」


(安心できるかあああああ)


 俺はさらに心に傷を負い、倒れそうになった。


「にいちゃん、どこ行くの?」


「ちょっと……外の空気を吸いに……」


 そう言うと、美佳が俺の袖を掴んだ。


「な、なんですか……もう勘弁してくださいよ……」


「いえ、『YUU』さんがあなたという確信が持てたので、これだけは言わせてください」


 美佳は真剣な顔で、俺の目をまっすぐ見た。


「昨日、日本時間だと4時ごろ。昨年の世界大会王者『Fighters』のメンバーが“YUUに大会に来てほしい”って配信で言ってました。なので、今年の世界大会に出るのかとネットで話題になっています」


「ええええええええええええええええええええええええ」


 思わず、俺は体育祭中の空き教室で、叫び声をあげてしまった。

読んで頂きありがとうございます!!

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