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プロゲーマーを目指していた俺、妹はアジア最強の配信者でした。  作者: 城ヶ崎大地


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第53話 文学少女と呼ばれる限界オタク

目覚ましの音で目が覚めた。

 今日は月曜日。憂鬱な学校が始まる。


 俺は目を擦ってあくびをすると、カーテンが開いた。


「うっ……」


 太陽の光が目に入って、思わず目を瞑った。


「お兄ちゃん、朝だよ〜」


 目を開けると、エプロンを着た彩音が俺のゲーミングチェアに座っていた。


「……急にどうした」


「朝ごはんをお母さんと作ってたら、7時になったからお兄ちゃんを起こしにきた!!」


「そっか、ありがとな」


「うん!!」


 俺は寝巻きのまま、彩音と一緒に階段を降りた。


 リビングに着くと、卵焼きとご飯と味噌汁、焼き鮭が並んでいた。


「これ、全部作ったのか??」


「うん、だって昨日から花嫁修行をしないといけなくなったからね〜」


「ぶっ……」


 俺は思わず、飲んでいた水を吹き出しそうになった。


「え、彩音〜 好きな人できたの?? 誰?? お母さんに紹介してよ〜」


「ん〜 秘密!! もしも正式にお付き合いすることになったら教える〜」


「……」


(母さん、こんなことになってしまってすみません……)


 俺は心の中で、母に謝った。


「悠也も早く彼女作りなさいよ〜 青春は短いわよ〜」


「まあ、うん…… 頑張るよ」


 そんなことを話しながら朝食を食べて、身支度を整えた。

 制服に着替えた俺がリビングに戻ると、玄関で彩音が靴を履いていた。


「もう怪我は大丈夫なのか??」


「うん!! 寝たら痛みが引いたよ〜 お兄ちゃん、玄関の前に有栖ちゃん達が待ってるけど一緒に行く??」


「いや…… 女子中学生の4人組に混ざって登校してるとこ、クラスのやつに見られたら社会的に死ぬ」


「た、確かに…… んじゃあ、行ってきます〜」


「はいよ」


 俺と話していると、母さんがドアを開けた。


「彩音、いってらっしゃい〜」


 彩音は俺と母さんに手を振って、玄関を開けて出ていった。


 俺は玄関で座ってスマホをいじりながら、SNSを確認して5分ほど時間を潰してから靴を履いた。


「んじゃあ、行ってきます。母さん」


「うん、行ってらっしゃい」


 俺は家を出て、学校へ向かった。


* * *


「今回の授業では源頼朝について学習していきました。ノートに書いた内容をしっかりと理解しておいてくださいね」


「え〜 来週は鎌倉幕府についての小テストを実施しますので、練習問題をしておくように。それでは授業はここまで、みなさん起立してください」


 歴史担当のおじさん教師がテストについて告知していると、授業終了の鐘が鳴って午前の授業が終わった。

 起立、礼をしたのち、俺は東寺に話しかけた。


「今日も屋上で食べるか??」


 俺が東寺に言うと、東寺は申し訳なさそうな顔をした。


「わり〜 今日からバスケの地区予選の練習を昼休みに少しするから、バスケ部の部室で部員と食べるわ。本当にごめん!!」


「それは仕方ないな…… おっけ〜」


「来月まで無理そうだから、県大会終わったら一緒に食おうぜ!! そんなわけで、じゃあな〜」


 東寺はそう言って、お弁当の袋と飲み物を持って教室を出た。


(まあ、誰もいないし おにぎりでも買っていつもの屋上行くか〜)


 俺は売店でおにぎりを買ってから、屋上へ向かう階段を登る途中に動画配信サイトを開くと、有栖ちゃんの歌ってみた動画がアップロードされていた。


 いつも大人しい有栖ちゃんの歌ってみたはこれが2曲目で、前回の曲も好評だった。俺も何度か聴いていて、期待を込めて再生ボタンを押した。


「あれ…… 固まった、回線悪いなここ」


 屋上のドア前で、回線が悪いのか動画が再生されなかった。


 俺がスマホを持ったままドアを開けると、そこには女子生徒がいた。

 茶髪のポニーテールで胸の大きな人。クラスで見たことある。

 というか話したことはないが、東寺の隣の席の「明日見雪奈」さんだ。


 クラスで一言も声を発しているのを見たことがない、不思議な人だ。

 授業以外の時間、姿を見かけたこともなく、噂では図書館で過ごしている文学少女と言われているが、正直興味がなくて詳しくは知らない。


「こっ、これは最高!! これが、これこそが天国!!理想郷!! そうアヴァロン……!! ううっ…… えーちゃんの新曲…… いいです尊い…… 最高です…… ふぇっ??」


「……あっ」


 俺がドアを開けた瞬間、彼女と目が合った。


(文学少女なのか…… いやいや、明らかに有栖ちゃんの限界オタクじゃん……)


「こ、この事は…… その…… ひっ、秘密にしてください…… 何も見なかった、な〜にも見なかった そうOK??」


「お…… OK……」


 俺は見なかったことにしようと後ずさりしようとしたが、その瞬間、俺の携帯から有栖ちゃんの歌ってみたが流れ出した。


「なっ……」


 俺は慌てて音楽を止めると、彼女は俺のことをじっと見つめた。

 冷や汗が流れる中、そっと扉を閉めようとしたその時、雪奈さんが走ってきた。


「素晴らしい歌声……じゃなくて えっと、確か…… 隣の席の後ろの人ですよね??」


「……」


「少し、時間貰ってもいいですか??」


「……はい、なんでしょうか……」


 引けない状況になってしまった俺は、扉を閉めて屋上へ足を踏み入れた。

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