第47話 お兄ちゃんってチョロい??
少女はキャラメルのアイスを食べ始めた。
「彩音、おそらく迷子だよな……」
「多分そうだと思う、私が聞いてみるね」
「頼む」
彩音は少女がアイスを食べ終わったタイミングで、少女の口についているアイスをティッシュで拭いた。
「お口にアイスがついてるよ〜」
「お姉ちゃんありがとう〜」
彩音は少女の頭を優しく撫でて可愛がっていた。
「彩音にはお姉ちゃんなのに、俺はおじさん……」
「ま、まあお兄ちゃん。この子は悪意ないと思うから……」
確かに悪意はないとは思うが、彩音との差で悲しくなった。
「ごほん…… まあ、俺は大人だからな。これくらいなんとも思わないけどね??」
俺は効いていないアピールを少女にしたが、少女は別方向を見ていて俺の話を全く聞いていなかった。
少しは話を聞いてとも思ったが、俺も少女くらいの歳の時はこんな感じだっただろうと思ってため息をついて諦めた。
「さ、さすがお兄ちゃん…… 大人だね……」
彩音は俺に気を遣ったのか、フォローをしてくれた。
「ちょっと話を戻すね、あなたの名前は??」
「はるかだよ」
「何歳?? パパやママは??」
「3しゃい、パパはこっちに、あれ?? パパ??」
はるかちゃんは、椅子から立ち上がって周囲を見たが、パパらしき姿は見えなかったみたいだ。
「パパ…… ぐすっ…… パパ……」
はるかちゃんは泣き出した。
彩音ははるかちゃんの元へ行って、頭を優しく撫でた。
「大丈夫だよ〜。そうだ、お姉ちゃんと一緒にパパを探しに行こう」
彩音がはるかちゃんに大丈夫だと伝えると、安心したのか、はるかちゃんは泣き止んだ。
「お兄ちゃん、迷子センターってどこにあるのかな」
俺ははるかちゃんが迷子だろうと思っていたので、あらかじめスマホで迷子センターの場所を調べていた。
「1階の食品売り場の横だよ」
「調べてくれてありがとう〜。んじゃあ、はるかちゃん、お姉ちゃん達とパパを探しに行こう」
「うん!!」
はるかちゃんは、しゃがんだ状態から立ち上がった。
彩音ははるかちゃんの右手を握って手を繋いだ。
彩音がはるかちゃんと手を繋ぐと、はるかちゃんは俺の方に左手を出した。
「ん」
「お兄ちゃんも、はるかちゃんの手を繋いであげて」
「まったく、仕方ないな……」
俺がはるかちゃんの手を繋ぐと、はるかちゃんは笑顔で嬉しそうな表情をしていた。
「お姉ちゃん、おにーちゃん、ありがとう……」
はるかちゃんはさっきまでおじさんと言っていたが、安心したのか俺のことをおにーちゃんと言ってくれた。
「いや、困っている人がいたら助けるのは当然だ。感謝されることでもない」
俺ははるかちゃんが、おじさんからおにーちゃん呼びに変わったことで、気分が良くなって不意にカッコつけてしまった。
彩音はそんな俺を見て、クスッと笑っていた。
「わ、笑うな」
「だって、お兄ちゃん、嬉しいんだな〜って思ってさ」
「そ、そんなことない…… ほら、さっさと行くぞ」
俺たちはそんな会話をしながら、迷子センターへ向かった。
向かっている途中、ガチャガチャコーナーがあって、はるかちゃんは俺たちの握る手を離してガチャガチャの前に行った。
はるかちゃんは、女児向けのヒーローキャラクターのキーホルダーが当たるガチャガチャの前に行って目を輝かせていた。
「……これが欲しいのか??」
「うん!!」
「……しゃあねぇな。ほら、これで買いな」
俺は財布から200円を取り出して、はるかちゃんに渡した。
「お兄ちゃんって、チョロい??」
「かもな……。なんか自分でもそう思ってきた」
なんか少し前まで、インターネットでイキっていたり暴言を吐いたりしていたとは思えないくらい、チョロい男になった気がする。
「おにーちゃん、ありがとう」
はるかちゃんはガチャガチャを回して、カプセルを開けようとした。
ただ力が足りないのか、カプセルが開きそうにもなかった。
「ちょっと貸しな…… ほらよ」
俺は、はるかちゃんの手からカプセルを取って、中身を渡した。
「マジックガールだ! やった〜!!」
お目当ての物だったのか、はるかちゃんは喜んだ。
「よかったね、はるかちゃん!!」
彩音は、はるかちゃんにストラップを見せてもらいに行った。
「わたしね、マジックガール毎週日曜日に楽しみにしてるんだ〜」
「そうなんだ〜。私も小さな時見てたよ!!」
彩音もはるかちゃんの作品を昔見ていたみたいだ。
ガチャガチャコーナーで盛り上がっていると、店内放送の音が鳴った。
「本日はご来店ありがとうございます。迷子のお知らせです。西条はるか様、お連れのお父さんが迷子センターでお待ちです。迷子のお子様を見つけたお客様は、迷子センターまでお電話いただけると助かります。電話番号は……」
店内放送で、はるかちゃんのお父さんが迷子センターにいることが分かった。
彩音はスマホを開いて、迷子センターに電話をかけた。
「えっと、私は彩音っていいます。今はるかちゃんと一緒に居ましたので、迷子センターに向かっております。2分ほどで着くと思います」
彩音はそう言って電話を切った。
「んじゃあ、はるかちゃん。お父さんのとこに行こうか」
「うん!!」
俺たちは再び手を繋いで、迷子センターまでの道を歩き始めた。
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