第40話 『速報 北アジア最強のソロプレイヤーYUUがハーレムデート』
「え〜 ここでは三角関数が使われていて…… あ、チャイムが鳴りましたね。続きは明日の授業でやります」
キーンコンカーンコーンと、数学教師の話している途中で学校のチャイムが鳴った。
「起立、礼!!」
俺たち生徒は、クラス委員の合図に合わせて礼をして、昼休みに入った。
「なあ、悠也〜 最近どうよ」
「まあ、いつも通りよ」
「そっか〜 なら久しぶりに飯行こうぜ!!」
俺は東寺と一緒に食堂へ向かった。
最近、東寺とは少し疎遠になっていた。
理由は、東寺のバスケ部の新人大会が来月に控えていて、そのメンバーで作戦会議や昼飯を共にしていたからだ。
少し寂しいが、俺には強力な仲間という名のインターネット君がいるし、中学時代はぼっちだったので嫌でも慣れている。
「来月だっけか、新人大会……」
「そーだよ!! 俺、一応1年じゃエースってことになってるから、先輩に絡まれることも多くてなかなか悠也と飯食う時間取れなくて悲しいぜ〜」
「なんか、そう言われると嬉しいな。ありがとう」
俺がそう言うと、東寺は俺の肩を組んできた。
「やめろ」
「いいじゃね〜か、俺とお前の仲だろ〜」
「それはそうだけど、暑いからやめろ」
「はいよ、相変わらずクール系だな〜悠也。もっとたくさん話をしたら友達増えるぞ〜」
「余計なお世話だ」
俺たちが話していると、売店に到着した。
俺はサンドイッチ、東寺は梅おにぎりを買って屋上に向かった。
「最近は1人でここにいるから、なんか人がいるの新鮮だ」
「寂しいか??」
「いや、全然」
「まーた冷たい〜」
「はいはい」
俺たちは雑談しながら昼ごはんを食べていた。
「最近はドラレンやってるの??」
「いーや、バスケが忙しくてやめた〜」
「そうか……」
数秒間、無言になった。
久しぶりに話す時、何を話せばいいかわからない。
ギリギリ話せるドラレンの話もできなくて、なんか気まずい。
俺は暇つぶしをするため、スマホを開いた。
そういえば学校に入ってから、通知で身バレしないようにSNSをミュートにしていたが、今日はやけに通知が溜まっていた。
いつもの数倍、いや数十倍は通知が溜まっていた。
(なんだ?? この量の通知は……)
ふと嫌な予感を感じながら、俺がSNSを開くとそこには『速報 アジア最強のYUU 美少女2人とハーレムデート』という投稿がトレンド入りしていて、今日の10時ごろに投稿されたものなのに、既に数千を超えるコメントがついていた。
(は?? 何??)
俺は焦りながらも投稿を確認すると、それは昨日彩音と可憐と3人でランキング戦をした時の、相手プレイヤーが投稿したものだった。
身バレ防止のため匿名モードでやっていたが、アバターや動きでほとんど本物だと特定されていた。
ネットの反応を確認すると、
『あちゃんとKARENさん??の2人の美少女とのデートとか天国か??』
『2人のどっちと付き合ってるんだろう……』
『KARENさんって誰かわからんけど、アバターめっちゃ可愛い……』
など、さまざまな憶測がされていた。
俺が冷や汗をかきながら焦っていると、電話が来た。
電話の相手は、この間連絡先を交換した可憐だった。
「わりぃ、ちょっと電話きたから先行くわ」
「OK〜 ま、まさか、彼女??」
「違うわ!!」
俺は屋上の貯水タンクの横に移動し、通話アプリを開いた。
「もしもし〜 大変なことになったね〜」
「いや、なんでそんなに呑気なんだよ……」
「まあ、なんとかなるかな〜って感じ。あちゃんの事務所は『コラボ動画の撮影』っていう表明を出してたから、向こうに任せるしかないよ〜」
「まだ見てない。確認する」
俺は彩音のチャンネルを確認すると、来週公開のキル集の撮影のため、2人のプレイヤーに協力してもらったと記載されていた。
「俺が止めるべきだった…… 妹は一応アイドル的存在だ。プライベートマッチとかにすれば良かった…… それに、事前に妹がアイドルだと説明もしなかったし…… その、巻き込んですまない……」
「いや、ボクは全然気にしてないから大丈夫〜。それより妹さんが面倒事に巻き込まれるのが心配だよ〜」
「うん…… 大事にならないといいが……」
可憐と話していると、午後の授業開始5分前のチャイムが鳴った。
「悪い、とりあえず俺が直接事務所へ謝りに行く」
「わかった〜 とりあえず、午後の授業も頑張って」
「うん……」
俺は可憐との電話を切った。
オタクの逆鱗に触れるとヤバいというのは、俺が一番よく知っている。
彩音はSNSを運営に制限されている(運営が管理しているが、直接チェックはしていない)ので、暴言などは大丈夫だと思うが、運営には俺が直接謝りに行くべきだと思った。
Startubeの運営会社、代表取締役社長『宇佐見淳一郎』さん。
恐らく、緋奈ちゃんのお父さんだろう。
とりあえず真っ先に、一番偉い人に頭を下げるつもりだ。
場所を検索すると、俺の家から徒歩10分。高級住宅街の隅にあるビルが本社らしいので、俺は学校の帰り道に行くことを決めた。
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