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プロゲーマーを目指していた俺、妹はアジア最強の配信者でした。  作者: 城ヶ崎大地


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第36話 夢を諦めるのかよ、お前……

「ボクは君とはいけない……」


「どうして……??」


「ボクはもう戦えない……」


「そんなこと言わないで、病院にこんな環境を作るくらいだから、やる気はあるんじゃないの??」


 俺がそう言うと、可憐はため息をついた。


「なら、ボクが今からランキング戦をソロでやるから、そこで見ていて」


「わかった……」


 彼女はゲームを起動し、ランキング戦の画面を開いた。

 具体的な戦績は見えなかったが、可憐は一応アジアランキング400位くらいで、そこそこのプレイヤーよりはやっていることはわかった。


 可憐はアサルトライフルを購入し、ロード画面で待機した。

 俺のいつも使っていた武器を選んだので、なんか嬉しい。


 そんなことを考えていると、チームが決定した。

 味方はクランタグが別々なので、おそらく全員ソロのチーム。対して相手はクランタグが同じなので、おそらくフルパーティで、パーティの差があった。


「これ、相手フルパーティか……」


「まあ、勝つよ〜」


「お、おう……」


 試合が始まった。

 マップは砂漠のマップで、可憐は真っ先に敵陣側へ突っ込んでいった。


「まじか……」


 体が弱いと聞いていたので、てっきり味方に合わせてゆっくりプレーするのかと思っていたが、なかなかに大胆な立ち回りだったので思わず声が出た。


 可憐は砂漠にある高台へ着くと、下に敵が3人見えた。

 照準を敵の頭に正確に合わせて弾丸を3発放ち、一瞬で敵3人をヘッドショットで倒した。


「嘘だろ……」


 彼女の実力は想像を遥かに超えるものだった。

 俺や彩音でもこれくらいはできるが、病で体が弱っている状態でこれをやるのは不可能だろう。


「残り1人はどーこだ〜」


 可憐が残り1人の敵を探していると、敵は目の前にあった石の裏に隠れていて奇襲を仕掛けてきた。

 可憐は敵の弾丸をWASDのキーを高速で入力し、弾丸を回避した。


「はぁ…… はぁ……」


「ん……」


 俺は可憐が高速でキー入力をしたのち、壁ジャンプやパルクールのような上級テクをするのかと思っていたが、普通に敵の追撃を何発か被弾しながらアサルトライフルを放ち、残りの1人を仕留めた。


 まあ体力に余裕があったし、魅せプレーのようなことをする必要はないんだろう。


(まあ、奇襲されて反応が遅れたか……)


 俺は可憐のプレーを見て拍手をしていると、可憐は頭を抑えていた。

 可憐は顔色が悪くなってきて、横に置いていた水を飲んだ。


「だ、大丈夫ですか??」


「うん…… いつものことだから…… 平気……」


 俺が心配して可憐の横に行くと、ラリーが病室に入ってきた。


「無理をするなって、先生からも言われていただろ……」


「けほっ…… げほっ…… 大丈夫だから」


 可憐は体を倒して、深呼吸をした。


「あの、可憐さん 今のは……」


「可憐は近距離のキャラクター操作ができない…… いや、正確にはできなくなった」


 俺が可憐に質問すると、ラリーが口を開いた。


「……それってどういう」


「キーボードを高速で操作するのは、頭に血がのぼって心拍数も早くなる。体に負担がかかり、頭痛に襲われるんだ」


「……」


 確かに俺や彩音のいつも使うキーボード操作は、WASDのキーを高速で入力しながらマウスも操作する。

 実際、俺が彩音と戦った時も、ずっとキー操作しっぱなしで疲れて息が上がるほどだった。


 苦しそうな表情を見て、可憐が戦えないと言っていたのも納得だ。

 可憐は体を起こして、獲得ポイントを確認してゲームを閉じた。


「わかったでしょ…… ボクは君のお荷物になる……」


 彼女は確かに近距離では何もできないだろう。

 だが、中距離はおそらく俺よりも強い。


「……」


 俺は何も言えなかった。

 彼女に無理をさせるわけにはいかない、だが彼女の力があれば俺は世界で戦える。

 そんな2つの感情が、俺の心中でぶつかっていた。


 可憐がゲームを消して、パソコンの電源を落とそうとすると、Goo⚪︎leのアップデートがあった。


「忘れてた……」


 可憐がアップデートボタンを押すと、ロード中の画面で固まり、可憐の検索履歴が表示された。

 履歴には『貧血 改善法』『世界大会 規約』『病気でも世界大会出ることは可能か』『アジアランキング ボーダー』と検索していた。


「……え」


「可憐……」


 俺はこの履歴を見て、可憐が心の奥底では世界大会に行きたいと思っている気持ちがあるとわかった。


 もしかしてラリーはこのことを知っていて、俺を呼んだんだと瞬時に思い、ラリーの方をチラっと見ると、ラリーは心配そうな顔をしていた。


「違う…… 違う…… ボクは、いいの…… これは違う……」


 可憐はモニターの画面を消した後、掛け布団をギュッと握って悔しそうな表情で涙を流していた。


「……可憐、君は自分の体を大切にしなさい」


 ラリーは悲しそうな声で、可憐にそう言った。


「……わかっている、もういいんだよ、もう……」


 可憐は辛そうにラリーに返事をした。


「……夢を諦めるのかよ、お前……」


「「……ッ」」


 二人は俺の独り言を聞いて、俺を見た。

 俺は考えるより先に、声が出てしまっていた。


 確かに病弱な可憐を大会に誘うのは、悪化した時や事故に巻き込まれた時、責任があるだろう。


 これは俺のエゴであって、間違ったことだ。

 だが俺は、同じ夢を持つ可憐を仲間にしたいと思った。

読んで頂きありがとうございます!!

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