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プロゲーマーを目指していた俺、妹はアジア最強の配信者でした。  作者: 城ヶ崎大地


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第27話 超えてはならない壁

「このケーキ、ウチのシェフが作るより美味しい!!」


「当然!! なんたって私の両親が作り方を教えてくれたからね!!」


「確か、美佳ちゃんの両親ってどっちもパティシエだよね??」


「それを再現できる美佳ちゃん、すごい…… 私も作れるようになりたい……」


「今度教えるわよ、有栖ちゃん!!」


「ありがとう……」


 4人の会話に入れず、俺は1人端っこの方でケーキを食べていた。


(中学生女子に囲まれる高校生…… 元推しだからってのもあるけど、なんとなく気まずいな……)


 俺が何を話せばいいのかわからずにいると、緋奈ちゃんが俺の横に座った。


「にーちゃん、プロリーグ出場記念にツーショしよ!!」


「ああ、いいけど……」


 俺が了承を伝えると、緋奈ちゃんは俺のほっぺに自分のほっぺをくっ付けてピースサインをし、写真を撮った。


「ちょっ……」


 いきなり女の子にほっぺをくっつけられたので、俺は恥ずかしく感じ、目を逸らして前髪を整えた。


「え〜 にーちゃん、もしかして美少女と顔が近くて照れてる??」


「お、お兄ちゃん……」


 彩音の方を見ると、彩音はドン引きしていた。


「ちっ、違う!! い、いきなりだったから、びっくりしただけだから!!」


 俺が照れていたことを誤魔化すと、彩音と緋奈は「ふーん」とジト目で言った。


「大体俺は高校生だ…… 俺が中学生女子に照れるとか、それはない……」


「でも、お兄さんは彼女とかいないはず……」


「うぐっ……」


 俺が照れたことを否定すると、有栖ちゃんに痛恨の一撃を叩き込まれた。


「にいちゃん、にーちゃん!! ならさ、この中で彼女にするなら誰??」


「げほっ…… げほっ…… は??」


 緋奈ちゃんが急にそう言ったので、俺は飲んでいたオレンジジュースを喉に詰まらせて咳き込んだ。

 俺がチラッと彩音の方を見ると、美佳ちゃんが俺の顔を写真で撮った。


「ちょっ……」


「これは確信しました…… やっぱりお兄さんは……」


「たまたま彩音の方を見ただけだから!! いやほんとに!!」


 俺が誤解を解こうとしていると、有栖ちゃんが彩音の隣にちょこんと座った。


「彩音ちゃんはお兄さん好き……??」


「うん!! 大好きだよ!! 大切な家族だもん!!」


 彩音は家族だから好きだと即答した。

 俺はその言葉を聞いて、内心ほっとした。


 確かに彩音は推しで、世界で一番可愛いと思った少女だ。

 だが、血が繋がっていないとはいえ、妹との恋愛はよくないと思う自分もいる。


「なんか、彩音さんみたいな返しで安心したわ」


「あやねんのそういうところが、私は好き!!」


「理想の妹…… お兄さん…… いいな……」


 彩音の返事に3人は納得したように言った。

 3人が変だとか言わないところを見るに、日頃から俺に対する悪口などを言っていないのが伝わってきた。


「なんか…… ありがとな彩音……」


「急に改まって、どうしたの??」


「いや…… なんていうか…… 俺も彩音のこと、好きだよ」


 俺が彩音にそう言うと、彩音は目を逸らして後ろを向いた。

 3人の方を見ると、3人は「……あっ」という感じの顔をしていた。


「ちょちょちょ!! 待って、訂正させて!! 言葉のあやだから!! 家族としてね!! 恋愛の意味じゃないから!!」


「シスコン……」


「シスコンですね……」


「にいちゃん……」


 3人はドン引きで俺を見た。

 俺が彩音の方を見ると、彩音は走って部屋から出て行った。


「待て待て、違う!!」


 俺は彩音の後を追うと、彩音は自分の部屋に入って鍵を閉めた。


「お兄ちゃんは私のこと、好きなの……??」


「いや…… 俺は……」


「家族として……??」


「ああ…… 当たり前だ。血が繋がってなくても、兄妹だからな……」


 俺は正直、彩音のことが恋愛としても好きだ。

 整った容姿に文武両道、家庭的で優しくて、ゲームも強い。こんな完璧な美少女と距離が近ければ、恋をしても仕方がない。


 だが、俺たちはあくまで家族。この事実がある以上、その壁を越えるのは不可能だ。

 それに彼女は俺の目標だ。彼女というよりも、ライバルの方がいいだろう。


 俺が返事をすると、彩音はゆっくりとドアを開けた。


「そっか…… まあ、そうだよね!! わかった……」


 彩音はそう言って、みんなの元へ戻った。


「なんでそんな顔すんだよ……」


 彩音の顔は、少し残念そうな顔に見えた。

 俺はみんなの元へ戻らず、自分の部屋に戻って再びゲームを起動した。


「わかってんだよ…… さっき家族としてって言ってたからさ!! でも…… なんで俺の前で、そんな残念そうな顔すんだよ……」


 俺は彩音に本心を言えなかったことを後悔した。

 だが、この選択は正しかったのかもしれない。


 俺たちの関係はあくまで『家族』。俺の父は紅蓮さんに、家族として彼女を託された。

 冷静に考えると、そんな大切な妹との関係に溝を作るような賭けをするべきではないだろう。


「……まあ、いいさ」


 俺が冷静になってゲームをしていると、ドアが開いて彩音が部屋に入り、俺の横にきた。


「え……」


 なんとなく気まずく、無視していると彩音は俺のイヤホンを片方外して、俺の耳に手を当てた。


「私はもっと努力するよ……」


「それってどういう……」


「内緒!!」


 俺が聞き返すと、彩音は笑って部屋を出ていった。

 頭が真っ白になり、目を右手で隠してゲーミングチェアの背もたれを倒し、寝転がった。


「ずるいって……」


 俺は越えてはならない禁忌の世界へ、足を踏み入れる時が来たのかもしれないと思った。

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