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プロゲーマーを目指していた俺、妹はアジア最強の配信者でした。  作者: 城ヶ崎大地


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第23話 大切な妹は、俺の最強のライバル

「はぁ……っ はぁ…… 絶対に倒したと思ってた…… これを耐えるのかよ……」


「はぁ……っ はぁ…… やっぱりお兄ちゃんはすごい……」


 空中遺跡の大広間、光が少し入る神殿の中での戦いも残り時間2分ほど。決着がつかない場合は体力の多い方が勝者となる。まったく同じ場合は引き分けだ。


 俺は彩音にトドメを刺すために、サブマシンガンをリロードしようとした。

 カス、カスッという弾薬切れを知らせる音がして、俺はため息をついた。


(残り弾薬0か……グレネードもないし、どうするか……)


 彩音の方を見ると、彼女も弾薬切れでリロードができていなかった。


「なあ、彩音。体力なんぼ??」


「12。お兄ちゃんは??」


 体力ゲージを確認すると、12で彩音とまったく同じだった。


「このまま何もしなかったら引き分けになるけど……」


 そう伝えると、彩音は俺がさっき投げたサバイバルナイフを拾って、優しく俺の方に投げた。俺はそのナイフをキャッチする。


「やるっしょ……私はお兄ちゃんに勝ちたいよ!!」


 彩音は目を光らせながらそう言って、サバイバルナイフを腰の入れ物から取り出し、先端を俺の方に向けた。

 血は繋がっていないが、俺とそっくりな思考だった。


(サバイバルナイフは胴体ダメージ25。当たった瞬間にどちらかが死ぬ……いいぜ……乗ってやるよ……)


「彩音……最高だ……!!」


「行くよ……お兄ちゃん!!」


 残り2分、画面左上に警告文が出た瞬間、俺はナイフを持って彩音に接近した。


「はあああああああああ!」


 俺は彩音の心臓目掛けてナイフを振った。

 身長の差があるので、彩音は少し体勢を低くして俺のナイフを避けて、即座に反撃に転じた。

 俺は彩音が心臓を狙って突いてきたナイフを、自分のナイフで受け止め、カードして距離を取る。


「どこ当てても同じだろ。どうして心臓を狙う……??」


「えへへ〜。だって、適当なとこ刺して勝つのはなんか嫌でさ」


「それは俺も同意見だ……」


「そうだよね!! お兄ちゃん!!」


 彩音はそう言って俺との距離を詰めた。

 今まで配信で数々のランキングに名前を残す人たちとの戦いでは無表情だった“推し”の顔が、今は楽しそうに笑っていた。


 彩音は連続で俺の心臓目掛けてナイフで突きを繰り出す。

 俺は彩音のナイフを持つ右手を蹴った。


「きゃっ……」


 体力は減らなかったが、持っていたナイフが手から離れ、少し離れた地面に落ちた。


「俺の勝ちだ……」


 俺は勝ちを確信し、ナイフを彩音の心臓目掛けて突き出した。


「まだだよ……まだ、私は負けたくない!!」


 彩音は俺の足を蹴り、体勢を崩した俺はナイフを地面に落とす。


「くっ……」


 俺が即座にナイフを拾おうとした瞬間、彩音は俺の体に抱きついた。

 屈んでいた体勢からバランスを崩し、彩音と共にゴロゴロと地面を転がる。


 倒れた状態から体を起こそうとしたが、彩音が馬乗りになって俺の上にいた。

 両手には、さっき俺が落としたナイフを持っていた。


「俺のナイフを拾ったか……つか、よくこんな判断できるな……すげぇよ……」


 残り時間は10秒。反撃しようにも完全に動けない。

 俺はマウスから手を離した。


「お兄ちゃん、今回は私の勝ち!! 罰ゲームだからね!!」


「ああ……わかったよ……」


 彩音は俺のアバターの心臓部分をナイフで突き刺した。

 YOU LOSE、敗北の文字が俺の画面に表示される。

 試合が終わった瞬間、不思議と涙が出てきた。


「負けたのか……まあ、なんだろ……悔しいけどさ、彩音が楽しそうにゲームしてて……さ……」


 心の底から悔しかった。アジア個人最強と言われていたが、彩音に負けてその称号を失っただろう。

 ――でも、それよりも。妹が心から楽しそうにゲームをしている姿を見られて良かった。


 このゲームのランキング戦に出ていた時の彩音は、メンバーとの会話以外では無表情で、まるで機械のようだった。

 そんな彩音が、俺との戦いで笑っていた。それだけで、兄としては嬉しかった。


「……って、シスコンだよな……でも推しであり、妹だから嬉しいんだ……」


 俺は泣きながら、独り言を呟いた。

 涙を拭いて配信を見ると、彩音のインタビューが始まっていた。


【今回優勝おめでとう!! 試合はギリギリでどっちが勝つかわからない白熱した試合だったが、どうだった?? 感想を教えてくれ!!】


【えっと……優勝できて嬉しいです!! ファンの皆さんや応援してくれたみなさん、ありがとうございます!!】


 彩音の一言で、配信のコメント欄は盛り上がり「おめでとう」の嵐。

 俺は画面に流れるコメントを非表示にした。


【つーか……あちゃんが、あんなに楽しそうに試合をするなんてな…… 解説席やコメント欄でも大盛り上がりだったが、やっぱり個人技最強のYUUとの試合は楽しかったか??】


【楽しかったです!! また勝負したいです!!】


【そうか……ありがとう。最後に質問だが、今回の1位と2位の2人には、世界大会予選のアジアプロリーグのリーダー権が与えられるが、世界大会は出ますか??】


【はい!! みんなが同意してくれたら行きます!!】


【まじか!! あいうえ初参加か!! これは今回のアジアリーグは波乱になりそうだな!! 時間もおしてるから今回はここまで! 以上、優勝者インタビューでした!!】


【応援ありがとうございました〜!!】


 彩音のインタビューが終わったので、俺は配信を閉じた。

読んで頂きありがとうございます!!

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