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プロゲーマーを目指していた俺、妹はアジア最強の配信者でした。  作者: 城ヶ崎大地


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第22話 迷いと覚醒

 俺は石像にめり込んでいた腕を抜き、ゆっくりと立ち上がった。


「……嘘だろ、あれは予想外だ」


 俺が実力の差に絶望し、マウスを持つ右手が震えていると、彩音がゆっくりと近づいてきた。


「お兄ちゃん、もうおしまい??」


「いや……ちょっとびっくりしたが、まだまだこれからだ……」


 俺はその場でサブマシンガンを構え、彩音の頭目がけて発砲した。

 彩音はジャンプして、俺の放った弾丸を回避した。


「よっ……って、あれ??」


 彩音は回避した後、武器を構えようとした瞬間、体の動きが遅くなった。


「パルクールはスタミナを沢山消費する。初めて使っただろうから知らなかったと思うけどな」


 俺は一瞬の隙を突いてサブマシンガンをリロードし、彩音に向かって発砲した。

 彩音は歩いてすぐそこにある石の裏に隠れようとしたが、俺の弾丸を避けきれず肩や足に数発当たった。


「ぐっ……」


 頭を狙ったつもりだが、彩音の体力を2割ほど削ることに成功したのは大きい。

 俺が追撃のグレネードを投げた瞬間、彩音はスタミナが回復し、隣の遮蔽物に身を隠した。


「やるね……!!」


「まだまだこれからだよ」


 俺はスモークグレネードを彩音のいる岩に向けて投げた。


「けほっ……けほっ……」


 彩音は咄嗟にスモークの範囲から飛び出した。

 俺はスモークの中から、彩音の出た位置に向けて、サブマシンガンを放った。


「きゃっ……」


 当てるつもりはなく、あくまでサバイバルナイフで仕留めるためのヘイト集めのつもりだったが、奇跡的に彩音のヘルメットに数発当たり、ヘルメットが砕けて消滅した。


 ヘルメットが消え、綺麗な黒髪と真っ白な肌の自分の過去の推しが現れ、俺は一瞬動揺しながらも彩音目がけてサバイバルナイフを投擲した。


 ナイフを投擲する瞬間、彩音と一瞬だが目が合った。

 俺の心の中に、いつも配信で楽しそうにゲームをする推しの姿が見えた。


「……っ」


 俺の放ったナイフは彩音の右の脇辺りをかすり、彩音の体力を少し削った。


「え??」


 彩音は確実に当たると思っていたのか、予想外のような表情をした。


「は、外した……そ、そんな馬鹿な……」


 この瞬間、俺の頭は真っ白になり、マウスを握っている右手が震え始めた。

 確実に心臓を貫き、この戦いの勝者、そして今シーズンアジアランキングの帝王になっていた。


(どうして……完全に勝っていた。彩音が避けたのか?? いや違う……俺が意図的に外した……)


 俺が動揺していると、サブマシンガンを持っていた右腕にサバイバルナイフが突き刺さり、体力ゲージが1割になっていた。


「え??」


 俺が状況を飲み込めず立ち尽くしていると、彩音がナイフを抜いて、サブマシンガンを俺の頭に突き立てて目の前に立っていた。


「あっ……」


「お兄ちゃんは、私を殺す気ないの??」


「いや……俺は彩音を倒して……」


「違う。あの瞬間、私と目が合って、目を逸らしたでしょ」


「……」


 俺は何も言えず、黙り込んでいた。


「真剣勝負ってお兄ちゃんが言ったんでしょ。正直最初は兄妹でお遊びみたいな感じでやるつもりだったよ。でも、お兄ちゃんが真剣勝負って言ったから私は本気を出してたのに、なんで??」


「い、いや……妹を傷つけ……」


「もしも私の姿をした化け物が銃を持って襲ってきても、こんな感じで動揺してやられるの?? そんなお兄ちゃん、私の憧れなんかじゃない!!」


「……」


「いつまで私に負けるの?? こんなお兄ちゃん、私に一生勝つのなんて無理だし、弱いよ……??」


「……うるせぇよ」


 彩音の一言で、俺の頭に血が昇り、右腕に突き刺さっていたナイフを引っこ抜き、彩音の顔面目がけて投擲した。


 彩音はナイフを避け、少し笑顔を見せた。


「くそが……うるせぇよ。分かってんだよ、俺が彩音に劣るのなんか……兄妹とか関係ねぇ……家族だとか、推しだとか、ファンだとか、ほんとにどうだっていい。ネットとかでなんとでも言え!! 俺が絶対に勝つ!!」


「そう!! 絶対に諦めないで勝ちに貪欲、それが私の大好きなお兄ちゃんだよ!!」


 彩音は嬉しそうにサブマシンガンを俺に向かって発砲した。


 彩音の放った弾丸の描く軌道が一瞬見え、自分に被弾する3発の弾丸を腰から取り出したサバイバルナイフで弾いた。


 金属のぶつかる衝撃で、火花が上がり金属音が周囲に響いた。


「お兄ちゃんも、少し先の世界が見えるんだ……楽しくなってきた……」


 彩音は目を輝かせながら、俺にそう言った。


「何言ってんだ、それになんでそんなに嬉しそうなんだよ……」


「うーちゃんたち以外との戦いで、こんな感情感じたことなかったから本当に嬉しいんだよ!!」


「言ってろ。俺は本当にお前を倒すぞ……」


 彩音と会話をしていると、残り試合時間3分の警告文が表示された。


「時間がねぇ……最短で済ませるぞ」


「うん!! 行くよ!!」


 俺はサブマシンガンを持って彩音に接近した。

 彩音は俺に向かって、スコープを覗きながらサブマシンガンを放った。


 1発でも当たれば即死という状況だが、俺は真っ直ぐ突き進み、ジャンプして弾丸を避け、空中で彩音の胴体に向けて弾丸を放った。


「うそ……」


「ここだ……!!」


 花火のように降り注ぐ鋼鉄の弾丸は、彩音の胴体に数発当たり、体力ゲージを1割程度まで減らした。


「はぁ……はぁ……っ 強い……」


「はぁ……はぁ…… これを耐えるのかよ……」


 お互いの息が上がり、まるでゲームの世界が現実だとさえ思えるくらい熱くなっていた。

読んで頂きありがとうございます!!

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