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第18話 勝利宣言

「は?? 今の当てるのマジ?? 強すぎ……」


 俺はAグループの試合が終わったので、彩音の試合を見ていた。


(今のを覗かずに当てるの、弾丸の軌道を完全に読めてないとできないよな…… あいつ、どんだけの知識量あんだよ……)


 彩音の凄さを改めて実感していると、彩音のインタビューが始まった。


【やー、さすがはアジア最強!! 4位なんて相手にもならないって感じの試合に見えましたが、どうですか??】


「そうですね、え…… えっと、勝てて嬉しいです……」


 彩音は緊張しているのか、声が若干震えていた。


(俺もさっき緊張して喋れなかったし、気持ちは分からんでもないな……)


【そうか!! 流石に嬉しいよな!! ありがとう!! 以上、あちゃんでした〜!!】


 彩音のインタビューが終わると、運営からメールが届いた。

 メールを開くと、Aグループの結果が出ていた。


「まあだよね、わかってた…… 有栖ちゃんかレインだろうとは思ってたよ」


 結果を見ると、有栖ちゃんが決勝の相手だった。

 予想通りの結果で、逆になんか気分がいいまである。


(つーかレインのやつ…… 招待枠なのに対戦ログないし、寝坊したのか参加してすらないのか……)


 前回のランキングで俺と彩音とレインで1位争いをしていた。

 レインは彩音のクランの次に有名なクラン『ナイト』のリーダーだ。


 ナイトは実力主義のクランで、レインが弱いと思った仲間は切り捨てるという、強者だけが生き残るデスゲームのようなクランだ。


(クランの3人は予選落ち。まあ、レインのワンマンチームみたいなとこあるしな……)


 そんなことを考えていると、Bグループの2回戦が始まった。

 対戦カードは70位VS20位。見るほどでもないとは思ったが、他にすることもないし配信を見ることにした。


「お腹すいた〜」


 あれから3試合観戦して、ようやくAとBの決勝と最終戦のみになった。

 Aは俺と有栖ちゃん、Bは彩音と美佳ちゃんという、なんというか身内戦みたいな感じになった。


「緋奈ちゃんは…… って美佳ちゃんと初戦だったのか、なるほどな……」


 この間のリベンジをしたかったが、まあ仕方ない。


「つか、彩音はバケモンクラスだからあれだけど、あの子達もTOP10だし、やっぱ他の参加者と格が違うんだな……」


 俺が配信を見ながら独り言を言っていると、こんこんとドアを誰かがノックした。

 お母さんは出かけているので、恐らく彩音だと思ってドアの前に行った。


「彩音か、どうした??」


 俺がドアを開けると、彩音がエプロン姿で俺の部屋の前にいた。


「お兄ちゃん、お昼ご飯のサンドイッチ作ってみたの。食べない??」


「あ、ありがとう」


 俺は彩音に手を引かれ、茶の間に行った。

 そこには野菜のサンドイッチや卵、イチゴなど、様々な種類のサンドイッチがお皿に盛り付けられていた。


「ていうか、最終戦から10分くらいしか経っていないのに、こんな料理作れるんだ……」


「あ〜いや、これは早起きして途中まで作っておいたやつだから、そんなに時間かからなかったよ〜」


 彩音はそう言って、3種類のサンドイッチを取り皿に分けて俺の前に置いた。


「彩音は本当に料理が上手だな……」


「そう?? これはお母さんに教えてもらったんだよ〜」


「へ〜 母さんが…… まあ、いただきます」


「どうぞ召し上がれ〜」


 これから殺し合いをするであろう2人の空間とは思えないような空間だ。

 俺は卵サンドを手に取って、口に運んだ。


「美味しい……」


「良かった〜。早く起きて用意して良かったよ〜」


 彩音は笑顔でそう言った。

 おそらくこの後、俺を銃で倒す少女とは思えないような笑顔だ。


「そういえば…… この後勝つと、俺たちは決勝で戦うと思うけど、自信はある??」


 俺はイチゴと生クリームの入っているサンドイッチを食べながら彩音に質問した。


「ん〜 どうだろう…… 正直、自信ないかな〜」


 今まで圧倒的な勝利で勝ち上がってきた彩音にしては、弱気な返事で意外に思った。


「それはどうして??」


「だって、日本で1番個人技が強いっていう、お兄ちゃんが相手だもん」


「え……」


 俺はその言葉を聞いて、食べていたサンドイッチが喉に詰まり、水を飲んだ。


「大丈夫?? お兄ちゃん」


「うん…… アジアで最強の人に認めてもらえて、嬉しくて思わずビックリしただけだ……」


 俺がそう言うと、彩音はふふっと笑った。


「私だけで掴んだ称号じゃないけど、そう言われるとなんか照れちゃう……」


「まあ、称号を貰ったのは彩音なんだから、そこは誇ってもいいと思うよ」


 俺が彩音を褒めると、彩音は嬉しそうな表情をした。


「だが、頂点にいるのも今のうちだけだ!! この大会で俺が彩音に勝つからな!!」


 俺は彩音に宣戦布告をし、手を銃の形にして彩音の頭にくっつけた。


「なんかお兄ちゃん、昔みたいに楽しそうだね」


「まあね、ランキングの時は負けてばっかだったから、今回は勝つ」


 俺が彩音に勝利宣言すると、彩音も右手を銃の形にして俺の頭にくっつけた。


「私も負けないよ!! じゃあお兄ちゃん、決勝で!!」


 そんな話をしていると、試合の10分前に設定していたアラームが鳴った。

 俺たちは食べ終わった食器を食洗機に入れて、お互いの部屋に向かった。


読んで頂きありがとうございます!!

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