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第16話 開幕、プロリーグ昇格を懸けた決戦

「よし…… マウスも充電MAX、エナドリも用意した。これでおっけー」


 大会の直前、俺は準備がバッチリか確認していた。

 今までも大会は何度か出ていたが、今回のような強い人たちと戦うのは初めてで少し緊張感がある。

 俺は大会が始まるまで、大会運営が動画サイトで配信しているのを確認した。

 ページを開くと、このゲームの実況をしている『TAKI』と『AREN』が話していた。


【え〜 みなさんこんにちは!! 俺の名前はTAKI!! ARENと一緒に実況していくぜ!!】


【ルールは撃ち合いモードで1本先取、トーナメントは事前に送ってもらったメールの方に送信したからそれを確認したのちに、プライベートモードを作ってくれ】


 ピコンと俺の携帯に通知が来た。

 メールを確認すると、トーナメント表が届いていた。

 俺の相手は今回のランキング14位、あっき〜だった。


「あっきーって確か、この前4人がかりで俺に喧嘩売ってきたやつかよ…… またボコすのか……」


 相手は先日、俺がテスト終わってストレスが解放された時に喧嘩を売ってきたやつだった。

 仲間4人で俺に挑んできたが、俺がボコボコにしたらSNSをブロックして逃げたダサいやつだ。


「まあ誰でもいいわ。彩音とあいうえの誰か…… それと3位だったやつは何回戦で当たるんだろ」


 今の相手なんかどうでも良すぎて、俺は他の強いやつを探した。

 彩音はまさかの別ブロックで、当たるのは決勝戦だった。


「うわマジか…… まあでも、あいつは絶対に来るだろ……」


 諦めて他の強敵を探すと、俺のいるAブロックでは有栖ちゃんと戦うことになりそうだった。


「えーちゃんってか、有栖さん…… スナイパーアジア1位か…… ラスボスすぎねーか」


 そんなとき、運営からもう1つメールが届いた。

 そこには「1回戦の実況マッチはあなたの試合です」と書かれていた。


「は?? 嘘だろ……」


 実況マッチには勝者インタビューのコーナーがある。

 俺はネットに声を出していないので、アンチに声を聞かれるのはきつい。

 どうせ俺の試合なんて誰も見たくねーだろうと、規約を読まずに適当にチェックしたのが裏目に出た。


「まあいっか、どうせ世界大会で顔もバレるし…… 僕はクソガキボイスの高校一年生ですよ〜」


 独り言をつぶやきながら、プライベートマッチを開いてあっきーを招待した。

 よろしくお願いしますとメッセージを交わした後、装備選択画面に移行した。

 俺は得意のアサルトライフルを選択し、チェックを押した。


【ARENさん、今回の試合はどう予想しますか??】


【そうですね…… やっぱりYUUはソロ最強ですから、このリゾートの地形を活かせるかが鍵でしょうか……】


【なるほど、解説ありがとうございます!! では試合開始だ!!】


 ピピーと音が鳴り、試合が始まった。


 今回のマップは南国をイメージして作られた『リゾート』。

 ビーチや海など観光地のような地形で戦いにくいが、風景が綺麗で人気がある。


(さて…… どう動くか……)


 俺は海の家の上からスコープを覗き、周囲を確認した。


(砂浜に足跡ついてないから、逆側の森の中かな。だるいな……)


 森の中はツタや苔などがリアルに再現されていて、迷彩服を着ていると判別しにくい。

 だが、迷彩服は装備であるにも関わらず購入ポイントが高い。

 よって武器はあまり強いものが使えないという弱点がある。


 まあ俺に正々堂々挑んで敗北してるんだ、安全な動きを選んだのだろう。

 俺は装備をカバンにしまって、海の家から森へと走り出した。


 森に着くと、足跡があった。


(あっきーは大型の体型キャラを使う。隠れるにはあまり向いてないが、どこに隠れた……)


 周囲を確認しても、姿が見えない。

 それに奇襲もしてこないのは不自然だった。

 さらに奥へ進むと、滝が現れ、水しぶきが上がっていた。


(やっぱりここって神秘的だよな〜)


 大会中だというのに、俺は棒立ちで滝を眺めていた。


「チャンス!! ここだ!!」


 背後から音がした。

 俺は視線を滝に向けたまま、背後を見なかった。


 その瞬間、後ろからミニガンの弾が無数に飛んできた。

 俺は走り出し、木の裏に隠れてそれを回避した。


「見えてたのか?? なあYUUさんよ〜。背中から狙ったのに見てから回避なんて、やっぱチート使ってんだろ??」


「お前程度のカスに使うほどじゃねぇだろ。つか俺がお前の存在に気づいてないとでも思ったかよっ」


 俺は木の裏から顔を出し、滝裏の木の上でリロードしているあっきーに向けてアサルトライフルを撃ち込んだ。

 銃弾は右腕に命中し、大ダメージを与えた。

 あっきーは回復アイテムを使いながら、俺から距離を取って逃げ出した。


「っくそぉ…… 今ので半分持ってかれた……」


「いや、半分で済むわけねぇだろ」


 俺は木の上を伝って、あっきーが回復中のところに奇襲を仕掛けた。


「は?? なんでここに……」


「なんででしょうね〜。不思議だよね〜。まあ、さよなら……」


 俺はアサルトライフルの銃口をあっきーの頭に突きつけ、引き金を引いた。

 あっきーのアバターはゆっくりと消滅し、画面にYOU WINの文字が表示された。

読んで頂きありがとうございます!!

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