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第133話 彼女の恋心は誰もわからない

「んじゃ、可憐 決勝で会おう」


 rallyと可憐はハイタッチをした。


「あーちゃんを舐めない方がいいよ〜 あの子は本当に強いからね〜 ボクからの忠告」


「ああ、あの子の危険度はわかっている。そろそろ行くぞ、みんな」


 試合開始10分前の放送がされ、rallyたちは急いで自分たちの会場へと向かった。


「彩音、rallyに一目置かれてたんだ……兄として誇らしい」


「だね〜 嬉しい??」


「ああ、嬉しいよ。なんたって世界最強に認められているんだよ?? ただ彩音自身は、他プレイヤーの評価とか興味ないけどね……」


「そうだよね〜 彩音ちゃんはその辺興味なさそ〜」


「だよね。ま、俺たちも戻るか」


「急ぐよ〜」


 悠也と可憐は早足で、会場内へと戻った。


***


 可憐と悠也がrallyたちと話していた同時刻、レインと雪奈は会場にいた。


「レインさん、開始時間まで暇じゃないんですか??」


「話しかけてくんな、今集中してんの」


 レインは目を瞑り、ゲーミングチェアに座ったままの姿勢で心を落ち着かせ、精神統一のようなことをしていた。

 一方で雪奈は、彩音たちとプールで遊んでいた時の映像をスマホで再生して、ニヤニヤしていた。

 会場で照明器具やステージの点検をしていた大会スタッフは、この異様すぎる光景に思わず2度見してしまった。


「何度見てもこの時間は幸せでした、まさに天国!!」


「黙れ、静かにしろ……」


「なんか、あなたって不思議な人ですよね……」


「こっちのセリフだ!! 黙ってろ限界オタク!! ああ、もう…… 集中途切れたじゃねぇか!!」


「そんなの知らないですよ!! 私は悪くないです〜」


「うっせぇな お前はYUUの妹たちのところでも行ってろ」


「え、いいんですか!! ぐへへ…… 皆さんのユニフォーム姿、最高ですぅ〜」


 雪奈はユニフォーム姿で戦っている彩音たち全員を妄想し、頬を緩めた。


「はぁ…… こんなのが世界大会にいるの、世も末だ……」


 レインは呆れてため息をついた。


「こんなのってなんですか!! 可憐ちゃんに鼻の下伸ばしてるロリコンに言われたくありません!!」


 雪奈はびしっと指を突きつけて言った。


「師匠に鼻の下なんて伸ばさねーよ!! 師匠は憧れだ!!お前の目は節穴か??」


「またまた〜 悠也君や可憐ちゃんの目は騙せても私の目は誤魔化せませんよ!!」


「ってか……師匠にはあいつがいんだろ」


「ん??」


「師匠はYUUのことが好きなんじゃねーか??」


「そうなんですか??」


「え、そうじゃねーの??」


「わかんないです、可憐ちゃん恋愛感情とかなさそうですし……」


「まあ、確かにそれはあるかもしんねぇ……」


 言い争っていた雪奈とレインでも、可憐が恋愛感情無さそうという点では意見が一致した。


「船の時もブートキャンプの時も動かなかったと思うんですけど、告らないんですか??」


「だからYUUがいんだろ。それにまだ去年いた元カノの未練がある……」


「え、彼女いたことあったんですか!! 人生で一番の驚きです!!」


 女々しいレインの一面に、雪奈は素直に驚いた。


「黙れ、恋人くらいいるだろ…… お前は彼氏いねーの??」


「実は人生で一度もできたことないです」


「ま、その性格だもんな」


 レインはプププと笑い、雪奈に軽くマウントを取った。


「私はいなくても幸せなので構いません、推しが全てですので!!」


 雪奈はスマホで、今日の朝出発前に撮った彩音たち4人に囲まれた写真を見せつけた。


「この有栖ちゃん、ほんとに可愛くないですか?? 美佳ちゃんや彩音ちゃんの表情も、緋奈ちゃんのギャルピースも!! うう…… 家に帰ったら額縁で飾ります!!」


「今更だがお前って、なんでそんなに『あいうえクラン』好きなんだ。 強さ?? それとも可愛さ??」


「どっちも違います!! あれ、言ってませんでしたか?? 私の人生を変えてくれたからです!!」


「人生か……」


 レインは、自分がEGCに拾われた時のことを思い出した。

 悠也との戦いが終わった瞬間から、可憐にふさわしい人は悠也なのかもしれないと考えていた。

 あのrallyですら、可憐の心を開くことはできなかった。

 だが悠也は、それを成し遂げた。

 だからこそ、可憐の隣にいるべきなのは悠也だと感じている。

 仮に可憐が悠也を好きじゃなかったとしても、少なくとも自分では釣り合わないと分かっていた。


「ま、お互い 推し活頑張りましょ!!」


 雪奈はそう言って、いつも使っているペンライトを可憐の真っ白な髪色をイメージして白色に変えた。


「そうかもな……」


 レインはペンライトを雪奈から受け取り、軽く振ってみた。


「その調子です!!」


「……って、何してんだ俺……」


 危うくこのまま雪奈の空気に流され、雪奈のようにペンライトを振る可憐オタクになった自分の姿が頭に浮かび、慌ててペンライトを返した。


「ペンライト、すごく似合ってましたよ!!」


「うっせぇわ、二度とやらん……」


 そんな会話をしていると、悠也とFightersのユニフォームを持った可憐が戻ってきた。

読んで頂きありがとうございます!!

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