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翌朝、温かい腕に包まれて目が覚めた。そっと見上げるとキース先輩の意外にかわいらしいあどけない寝顔、その寝顔にどきどきしながら起きだそうとしたら、起きられない…腕がはずれない…困った…どうしよう…
そろそろ起きないとお父さんなロイ先輩が心配するな…と、身動きをしてみるとさらにキース先輩の腕に力がこもった。きゃー苦しい…ギブです!
「キース先輩 くっ苦しいで…す。起きてください!キース先輩 朝ですよ~起きて~」
やっとキース先輩がうっすら目を開けた。うきゃー目を閉じてたらかわいかったのに、目を開けたら色気だだもれってなんですか~!!いや~
しばらく寝ぼけて腕の中のもの(つまりわたし)を確認してたら、ふわっと抱きしめなおされ、更にとんとんと背中をたたかれ、キース先輩は更なる眠りの世界へと旅立とうとしたので…断固阻止した。
「もうキース先輩とは一緒に眠りません!起きるのが大変すぎます!」
「悪かった…寝起きはかなりいいほうのはずなんだけどな…」
「その言葉信用できません。本当に眠れないんですか?ぐっすりじゃないですか!」
「悪かったって…でも確かによく寝た…」
「とにかく もう嫌です!僕は知りません。」
「…本当にもういやか?俺と一緒に寝るの?」うきゃーやめてください。その視線、言葉、やめてください!!
「こらこら なんの話をしてるんですか。二人ともここをどこだと思ってるんですか。」
出たお母さんなアル先輩!
「アル先輩おはようございます。」
「はい おはようございます。ジャスくん。その様子ですと、昨日の影響はないようですね。でもさっきの言葉は誤解を招くので二人だけのときにしてください。」さすがお母さん、釘をしっかりさされた。
「どうしたアル…こんなとこまで」確かにここは図書館と寮の中間地点の森の中で、日曜日である。今日はまだ誰もここらへんには出没しないはず…
「迎えにきたんです。まあ、もう公認ですから。いまさらですが、さすがに堂々と二人で朝帰りはまずいと思ったので、三人で朝の散歩風景にしてみました。」さすがぬかりはないです。アルお母さん!
「すみません。アル先輩ありがとうございます。」
「いえいえ、そろそろジャスくんをロイの部屋に帰さないと、やきもきしてるでしょうからね…」遠い目をしながら言わないでくださいアル先輩…
「ジャス 帰ったのか~!!」
「ただいま戻りました。ロイ先輩 おはようございます。」ロイ先輩いつから起きて待ってたんですか?まさか徹夜じゃないよな…
「大丈夫か。ジャス キースに無理なことさせられなかったか?なんだったら俺がキースに釘差しといてやるから。俺に相談するんだぞ!」なんかどんどんロイ先輩がお父さん化しているような…
「大丈夫です。昨日は話をして、きちんと睡眠もとりましたので安心してください。」
「そうか もう俺は心配で心配で、娘を持つ親はきっとこんな気持ちなんだろうなあ…」
ぎくぅ…せめて息子にしてください。ロイお父さん。
それからシャワーを使い、ほっとして部屋でくつろいでいた。これ以上はありえないというほどの濃い一夜だった。図書館のこともキース先輩のこともバクレー家のことも初めて知って驚いた。本当にぼくでよかったのかな…と思いつつも、キース先輩の香りが自分に及ぼす作用もこれまでのことも、不思議と納得してしまえた。やっと1カ月が過ぎようとしている。なんとも濃い1カ月だった。でも自分はなんとかやり過ごした。
お父様、お母様、ジャス!がんばった私を褒めてくださいましね!!
後一話で完了です。もう少しお付き合いください。




