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8話
いつも夜にしか会わない例のお姉さんと、午前十時という陽の高い時間にバッタリコンビニの前で出くわす。
いやまあ時代が時代だし、そう毎日出勤するってわけでも無いのかもしれない。現に俺の勤務体系はそんな感じだし。
いつもよりもラフな格好のためなんとなく幼く感じるお姉さんに入店を譲る。目礼だけ返してきた彼女に律儀だな、と寝癖隠しに被ったキャップのつばを僅かにあげた。
というか勝手に年上かなって思ってたが、まさか年下か?とことこと飲み物のコーナーに歩いて行ったパーカー姿のお姉さんの後ろ姿を眺めるが、荒んだ目で酒をカゴにぶち込む姿を思い出して頭を振った。
……ねーな。いいとこ俺と同い年かちょっと歳上だろ。バリキャリっぽいし。
珍しく酒は手に取らず、お茶とエナドリを購入していったお姉さんをそんなことを考えながら見送った。