六十五話
はるかくん、葵ちゃん兄妹との飲み会から早くも一週間が経った。
依然として彼らとの楽しいゲームライフは続いている。それどころか葵ちゃんのアルコール耐性特訓会と称した飲み会いも誘ってもらっており、非常に有意義な日々を送らせてもらっている。
「葵ちゃん。お待たせ~」
「あ、鈴ちゃーん!」
休日。スマホを揺らした不愉快なメッセージを削除しながら電車を降りた私は、最寄りから数駅離れた大きな駅の改札口で寄ってくる男共を無表情でガン無視するクールビューティー美女を発見する。
片手をあげて呼びかけると、無表情でスマホを弄っていた彼女は表情を一変させ、犬耳と尻尾を揺らしながら(幻覚)私に駆け寄ってきた。
「ごめんね。お待たせしちゃった?」
「ぜーんぜんっ!」
往来ということも忘れて抱き着いてくる葵ちゃん。待たせてしまったお詫びを口にすると輝く笑顔で見下ろされた。子犬系クールビューティー天使尊い……。
余りに眩しすぎて目が潰れかける。同じく直視してしまい目が潰れたらしいナンパ男に冷たい一瞥を投げかけるだけで黙らせた葵ちゃんは、全く意に返した様子もなくウキウキと弾む足取りで目的地に向かって歩き出した。
今日は葵ちゃんと共に今放送中のアニメのコラボカフェに来ていた。
昔から大好きな作品だったので本当は開催と同時に行きたいと思っていたのだが、大人一人で来るにはちょっとハードルが高い……と諦めていた経緯のあるコラボカフェ。
しかし葵ちゃんも大ファンだったと知り勇気を出して誘ってみたのだ。大正解であった。一週間前の自分の判断にGJと頷く。
「ふっふっふ~!楽しみすぎて全然寝られなかったよ~」
「私も……って待って!?葵ちゃんまさかその服装?!」
「気付いちゃった?そうなの!本当はパンツスーツ着たかったんだけど流石にやりすぎかなぁって思って三話の服装にしてみた!似合う?」
「最高ですううううっ!!」
タートネックのリブニットに丈の短いジャケット、細身のスキニーというアニメに出てくるキャラの再現ファッションの葵ちゃんは、感涙する私に魅惑的すぎるウインクを投げた。
思わず崩れ落ちそうになるのを堪えて全力で拍手する。そんな感極まるオタク丸出しの私の腕に巻かれた腕時計を見た葵ちゃんは「ぉわ!?」と美女らしからぬ奇声を上げる。
「す、鈴ちゃん……っ!その腕時計の色……っ!」
「うふふふふ。お高かったから悩んだんけどね……推しくんの色だったから買っちゃったの……」
「めっちゃ可愛い!!最強すぎる!!素晴らしいよ鈴ちゃん!!」
キャッキャッと大はしゃぎで葵ちゃんと共に若者向けのファッションビルへと入り、エスカレーターで上の階を目指しながら葵ちゃんとオタク談議に花を咲かせる。
こんな何も気にせずにオタク話出来るの本当に何年ぶりかなぁ。やっぱりオタ活は同志が居てこそよなぁ。葵ちゃんには本当に感謝しなきゃ。
会場であるスイーツバイキング前に並べられた等身大パネルに大興奮する葵ちゃんので隣で、私も久方ぶりの趣味の時間を大いに満喫するのであった。
続きは5/6夕方頃から投稿いたします。
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