表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/100

54話

 あの後。バルサンが焚き終わる時間まで葵に誘われるがままゲームをして時間を潰したすずさんは、殺虫スプレー片手に勇ましい顔で帰って行った。


 俺の家から徒歩10分圏内の位置に住む彼女に、とりあえずダメそうだったら呼んでくれと言いつけて見送ったのだが、その後特に逃げ込んでくることもなかったのでなんとかなったのだろう。


 そして今日はその翌日。お盆休みど真ん中のために今日はいないかも、とは思いつつもいつもの時間にコンビニに向かう。


 偶然にも彼女は酒コーナーの前にいた。


「こんばんは、はるかくん」


「どうも。あの後大丈夫だった?」


「はい!おかげさまで」


 いつもの挨拶を交わす。昨日とは打って変わって元気そうな彼女の隣に並ぶと、微笑んだ彼女が何やら高そうな手提げ袋を差し出してきた。


「昨日はありがとうございました。これ大したものではありませんが、よかったら葵ちゃんと食べてください」


「え?」


 反射的に受け取ってしまった手提げ袋とすずさんを見比べる。なにが?なんでこんな高そうなものを?と疑問符を浮かべて視線で問うと、彼女は非常にやり遂げた表情でむんっと拳を握った。


「お二人のおかげで黒いアイツは無事駆除できました!これで心置きなく家に帰れます。これは感謝の気持ちですので是非受け取ってください」


「ええ!?いやいや、俺なんもしてないし!」


「場所提供してくれたじゃないですか。本当に助かったんですから」


 返そうとするも、ふふっと笑う彼女にやんわりと止められる。本当に大したことはしていないのにこんなものをもらってしまっては申し訳ない。

 それに俺はこの人に強盗から命を助けてもらったのに、タイミングを逃し続けてそのお礼すらまだできていないのだ。

 

 ニコニコと笑って「それじゃ」と去ろうとするすずさんの手を思わず掴む。無意識下の自分の行動に驚き、そして何してんだと内心で焦り倒しながらもきょと、と目を瞬かせる彼女を見下ろした。


「……お返し持ってくる」


「へ?いやこれお礼ですし」


「これもそうだけど、強盗の時のお礼もまだだったから。……明日20時にここで待ってて」


「え?」


「何か食べれないものある?もしくは食べたいもの。なんでもいい」


「え、えと、ええ!?」


 あわあわと慌てた顔で俺を見上げるすずさん。

……この人大人っぽいけど、パニクると小動物みたいになるよなぁ、と俺は焦る彼女をよそに場違いな事考えるのだった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ