52話
衝撃の事実が齎され、部屋内に蔓延したパニックが落ち着いた頃。
何故かすずさんはラグの上で土下座をしていた。
「本当にすみません。ずっと22、3歳位だと思ってました……。しかも心の中で勝手に歳下だと思って『はるかくん』呼びしてました。すみません。ごめんなさい」
「か、顔上げてくれませんか……?全てはこの童顔が悪いので。それに慣れてますし……」
「そうだよ鈴ちゃん。もっと言うと女の子のこと自分より歳上だと思ってた遥の方が悪だよ。極悪だね。女の敵。サイテー」
「うぐっ」
容赦ない口撃に、気まずげに目線を外して胸を抑える。ごもっともで……思わず俺も床の上で項垂れる。
「いやあの、私も実年齢より上に見られるのには慣れてますのでお気になさらず……。この老け顔が悪いんです……」
「ち、違います!そうじゃなくて、コレよりもずっと落ち着きあって大人びてるので!きっとそうかなって……すみません……」
「コレとか言うなし」
むくれるコレが背中をゲシゲシと蹴りつけてくる。そういうところだぞ本当に。すずさんを見習えお前は。
……まぁ後は、あの仕事終わりの荒んだ目をするのが歳下だと思いたくなかったと言うのも多少あるのだが、それは流石に黙っておく。
ペコペコとすずさんと謝罪合戦を繰り広げると、すずさんがぷ、と軽く吹き出した。
「ふふ、そっか。歳上だったんですね。……なら葵ちゃんの言う通り、タメ口で話してくれませんか?歳上の方に敬語使われるとソワソワしちゃうので」
「ええと、でも……」
「分かるぅ。歳上に敬語使われると気まずいよねー」
「お前がまず敬語使え……!」
「鈴ちゃんは友達だからいいんですぅ」
ソファーから降りて「ねー?」とすずさんに抱きつく葵にため息をつく。
しかしすずさんも満更でも無さそうで。くすくす笑う彼女は抱きつく葵の背中をポンポン叩きながら俺を見上げた。
「にしても、葵ちゃんとはるかく……さんって結構歳の差ですよね?どこで知り合ったんです?」
「え?」
「ん?」
……強いて言うなら、実家でしょうか。
恐らくそんなボケを求めている訳ではない事は、彼女の悪気のなさそうな顔から読み取ることができたのだった。




