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四十五話

 お風呂から上がったタイミングで、テーブルの上のスマホがポコポン♪と鳴る。


 見れば昨日知り合ったばかりの美女ゲーマー、葵ちゃんからであった。

『鈴ちゃん、今日もププラやろー!』と、彼女の元気さが伝わってくるような文面に思わずくすりと笑う。


「い、い、よ……っと」


 返事を返してゲーム機を起動する。


 はるかくんの彼女さん、葵ちゃんは22歳の大学生。就活真っ最中のゲームアニメ大好きなオタクちゃんで、私を寝不足地獄へと陥らせた例の新作RPG『エルダの伝説』も就活の合間合間にやっているのだそう。昨日嬉しそうに教えてくれた。


 いやぁやっぱエルダいいよね。世界を救う。昨日はコンビニ出てからその話で大いに意気投合してしもうたよ。


 人を威圧するような美貌を持つ葵ちゃんだが見た目によらず大変人懐こい性格をしており、すぐに私のことも「鈴ちゃん」と呼んで懐いてくれた。


 希少なA賞の譲渡こそお断りさせていただいたものの、「それじゃあせめてこの大量のラバマスから好きなもの好きなだけ持って行って!」と詰め寄られた私は、まあそれくらいならば、と遠慮なく好きなキャラのラバーマスコットを選ばせてもらった。


 それがなんとまさかの葵ちゃんの推しと同じだったらしい。一気に私への好感度が急上昇した葵ちゃんと、美女に弱い私はあれよあれよという間に意気投合してしまい、こうして一緒にゲームをやろうと誘われるまでになった。

 葵ちゃんのコミュ力がえぐい。


 エルダの推しが一緒だったのがよほど嬉しかったようだ。子犬のようにハフハフ目を輝かせて語るギャップ可愛すぎでした。


 いや分かるよその興奮具合。我らの推しかっこいいけどメインキャラでは無いもんねぇ。G賞とはいえ一番くじの景品になるとは思わなかったもんね。分かる分かる。


 ああ、同じ趣味がある友達って最高だ。一応会社ではオタクである事を隠しているので、こうして赤裸々に語れる友達ができたのは嬉しい。……少しばかり押しは強すぎるけども。


 A賞押し付けられ未遂事件を思い出して苦笑う。ありゃきっとはるかくんも尻に引かれてるな。


「……ん?待てよ」


 ふと数週間前にはるかくんとした会話を思い出す。エルダをお勧めした時、はるかくんは「家族がやってる」って言ってたよな。「彼女がやってる」じゃなくて。


 うん?実は実家住み?いやでもよく葵ちゃん連れてるしな。そんな頻繁に実家に彼女連れてくか?


 え、まさか葵ちゃんって彼女じゃなくてはるかくんの奥様?大学生で?


 驚愕の事実に打ち震える。が、学生結婚!?ひええ若気の至りじゃん!……いやそりゃ失礼だな、よくよく考えて出した結果なら若気の至りではないし、そも他人が口出すようなことではないか。

 当人達が幸せならOKです。突くような真似は致しませんとも。


 ……でもちょっと気になりすぎるので今度聞いてみよう。


 墨を撒き散らすタコのキャラクターを操作して、私はゲームの中で知り合ったばかりの若妻(推定)と合流を果たすのであった。






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