26話
ようやく日常が戻ってきたなと感じる。
20時過ぎ。いつものコンビニでいつもの通りガッショガッショとお酒をカゴに投げ入れる仕事帰りの目荒みお姉さん。なんだかんだ久方ぶりの光景にじーんと感動の様なものが芽生える。
強盗事件から2週間。後始末諸々も終わり、自分の中でもあの日のことがようやく過去になっていつものコンビニに行くことへの抵抗感も薄れ始めた今日この頃。
いつも通りの生活に戻った訳なのだが、しかし変わったことが一つ。
「…………あ」
「どうも」
荒んだ目のお姉さんが俺に気づいてぱっと顔を上げる。お姉さんの方へと歩み寄りながらぺこっと軽く会釈をした。
やはり共に生命の危機を経験をすると赤の他人とは言えなくなるもので。知人というほどでもないが顔見知りにはなったお姉さんは、ニコッと笑顔を見せてくれた。
「こんばんは。なんだか久しぶりですね」
「そうですね」
とはいえあくまで顔見知り程度。それだけの淡白な会話を交わしてお姉さんと別れる。
いくら仲間意識が芽生えたといっても、名前も知らない男に会話を引き延ばされても困ってしまうだろう。俺も別に話す事ないし。
強いていうのなら今日もお互い無事で何よりですね、と命がある事に内心で感謝を捧げるくらいであった。




