20話
ようやく事件です
大変まずいことになった。
「だーかーらー!金だよ金!!マニー!マニープリーズ!!」
「え?ナンテ?アンタ英語下手くそすぎて分からないヨ!」
23時を少し回ったころ。今日一日何も食ってないことにようやく気づいた俺は、流石になんか食うかとコンビニに向かったのだが。
「……いやぁ、マジかぁ……」
まさかまさか、入店直後に強盗に巻き込まれてしまった。
リアルで「全員手を上げろ!強盗だ!」と怒鳴られる日が来るとは思わなかったなぁ……。
今店内にいるのは、ナイフを持って怒鳴る覆面の強盗と、カタコト日本語しか喋れない外国人店員、雑誌を立ち読みしていたトラック運転手のおじさん、そして俺。
俺と運転手のおじさんは強盗の死角にならない位置に両手をあげて立たされている為、スマホで通報することもできない。
いやもうほんとどうしたものか。隣に立つおじさんにこっそり目線を送ると、向こうも緊張の滲む顔で目配せを返してきた。
ナイフを振り回す強盗は非常に興奮しているようで、レジ台をバンバン叩いて店員を威圧している。
コンビニには強盗等の有事の場合に備えて緊急の通報システムがあると聞いたことがあるが、パニック状態の店員はとてもそれが思い浮かんでいる様子はない。
「か、カネ?ベル?」とか言ってる店員に余計に強盗は苛立った様子を見せた。
こういう時は要求したものさっさと用意した方がいいって聞くよな。
頼む店員、店には悪いがさっさと金包んで渡してやってくれ。
どうにか外に助けを求められないだろうか。
チラリと窓の向こうに視線を投げたその時、場違いにポップな入店音が緊迫した店内に響き渡った。




