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一話 飯田鈴音の偏見

 顔がいい男って大体クズじゃない?


 自宅最寄りのコンビニで、ガッシャガッシャとアルコール度数の高い酒をカゴに投げ入れていれていく私は据わった目でそんなことを考えていた。


 いや別に街行く人に統計を取ったわけではないし、あくまでこれは私の主観である。主語が大きいのも理解している。

 だがそれでも言わせてくれ。私がカッコいいと思う男、大体モラハラ野郎。


 つい数時間前に別れた元交際相手を脳内で100通りくらい殺す。なぁにが真実の愛じゃバッカじゃねーの。

 可愛い系の女が好きだったとか言ってたけど違うだろ。結局お前が言う可愛いってのはつまり『自分に従順な子』って意味だろうが。


 すみませんねぇ素直にお前の言うことをはいはい聞けなくて。お口が悪くてごめんあそばせ!

 あー思い出したらまた腹立ってきた、アイツの所業全部共通の友人知人にぶちまけてやろうかな。


 つまみになりそうなものを手当たり次第カゴにぶち込んでいく。


 ここで泣けない自分は、一般的な基準で見ても元カレ的基準で見ても可愛くないのは百も承知だ。

 だがあんな奴の為に涙流すくらいなら可愛くないレッテル貼られる方がずっとマシ。


 普段甘いものなど食べないが、こうなったら自棄じゃと生クリームマシマシのショートケーキもカゴにぶち込んだ。ショートケーキちゃん可愛いですねぇ!

 好き放題カゴにぶち込んで気が済んだので鼻息荒く会計待ちの列に並ぶ。


 はいはい分かってますよ、私が面食いだから統計偏ってるんですよね分かっていますよ。

 ただ言わせてもらうぜ、26年間生きてきたが顔の良い紳士なんて生き物出会ったことありません。顔が良い男はみんな漏れなくどこかヤバイ。これはマジです。


 つまるところ顔が良い紳士とか幻想生物なんだよ。そしてついでに言うと性格も顔も可愛い女も幻想だから!ざまーみやがれ!


 殺伐とした心を抱えながら静かに自分の順番が来るのを待つ。


───ふと目の前に並ぶ背の高い男が横を向いた。なんとは無しに見上げると、そこには色の白い綺麗な顔が。


 あーこういう王子様系っていうの?綺麗系な顔の男は好み対象外だから分からないな。こういう兄ちゃんは女束縛したりするのだろうか。うーん、する。します。何故なら顔が良いので。


 偏見にまみれた荒んだ心で話したこともない兄ちゃんの性格を断じる。はーい私が一番性格悪いのは分かっておりますごめんなさいね。

 だが同棲していた彼氏にフラれた今日くらいは許してくれ、と誰に言うでもなく内心で呟く。


 空いたレジに向かって歩いていき、外国人の店員に年齢確認をされている兄ちゃんに失礼なこと思ってごめんね、と情緒が不安定な私は謝罪の念を送るのだった。



……おい、店員さんよ。あの兄ちゃんに年確して私にはしないのはなんでだ?うん?



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