ep.9 優先するべきこと
「すごい!強い!!!」
「あの人バカ強なんだよ恐ろしいことに」
私たちは建物の物陰に隠れ蚊の鳴くような声で話していた。敵に見つからないように細心の注意を払いつつショコラさんは状況を説明をしてくれる。
「今、女王が千切ったのは薔薇たちの蔓。個体差はあるが枯れない限り何度でも容易く生やしてくる」
「では無限に戦えるんですか?」
「いや薔薇は俺たちより回復力が高くスタミナも多いってだけでエネルギーは無限じゃない」
薔薇に関しての質問や戦況について話す時ショコラさんは独特な話し方をせず端的に伝えてくれる。声も落ち着いているので私もパニックにならずにいられる。安心して頭を使える。
「あいつらを止めるには枯らすしかない。枯れるとは生き物で言うところの死を意味す、、おっと、、、もしかして白ウサギの坊や気を失ってるのか?」
女王達のいる場所から距離があるのと土埃のせいで現場はよく見えないがたしかに白ウサギの姿が見えない。となるとショコラさんの言う通り横たわっていて私たちには見えないのかもしれない!!
「ショ「ここで問題。俺が今、1番にしなきゃいけないことはなぁ〜んだ?」
こんな時に問題!?今は一刻も早く白ウサギの所へ行かなきゃ、、、いやそんなことは私なんかよりもっと早くわかっているはず。
それなのに行かないのはなぜ?考えなきゃ、ここで頭を使わなきゃ来た意味がない、、、急がなきゃ急がなきゃ。
焦る気持ちでパニックになりながらも頭を働かせる。追い詰められて追い詰められてたどり着いた答えは私のせい。
そうだ、女王はショコラさんに私のことをよろしくねって言っていた。だからだ。だからショコラさんは私1人を置いて白ウサギの元へ行けないんだ!
ショコラさんのするべき行動は決まってる。今本当に問われているのは私の取るべき行動だ
「ショコラさんの最優先事項は白ウサギの救出です。そして私の取るべき行動は2人に危険が迫っても飛び出さないで隠れていること。だけど自分の身に危険が迫ったらショコラさんの元へ全力で走ろうと思います。」
私の話を聞いてショコラさんは眼鏡をカチャっと掛け直して微笑む
「よぉぉ〜〜〜く考えたなぁ!!偉いぞルーキィ!!!!その言葉を信じて助けてくるから絶対隠れてろよ」
先程のテンションを垣間見せてくるショコラさん。しかしこの人を信じることに微塵も不安な感じない、頼もしさしか感じない!