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薔薇を枯らすためのアリス  作者: 八幡丸もんじゅろう
マッド・ハッター 体力づくり編
25/26

ep.25 出来ているだけで十分

 「さくらちゃんって銃や弓使ったことある?」


戦闘経験のない私でもなんとか戦えるようにと考えてくれる二人。遠距離系統の武器を作ろうと結論に至ったがそもそも武器すら使ったことがない


「ないですね、、、何もできなくて申し訳ないです」


提案してくれればしてくれるほど自分の無能さが際立ってしまう


私これ出来ます!!!って自身を持って言える何かが一個でもあればいいのに何もないな。

やっぱり物語の主人公のようなそんな特別力は私みたいな普通の人間にはないな。昨日薔薇の色が見えたのだって偶然だろうな


なんか、もっとこう、アニメとか漫画でみたように身体能力に優れたり特別な力が少しくらいあるんじゃないかと期待しちゃったよ。なくても頑張るけどさ


「アリスに来てから戦い方を知る子は多い。そして大体の子が最初は自分は何もできないって言うんだ。」


ハッターさんが先ほど記録していた私の体力テストの結果を見ながらひいさんが話だした


「やっぱり!さくらちゃんも他の子と一緒!どの種目もできているじゃない」


「さくらちゃん。一生懸命頑張っていましたよ」


「自信がない子みんな一通りの体力テストの科目が出来ている。なのに人より優れている記録がないと自分は出来ないなんて言うの」


ひいさんが私の手を握る


「出来てるよ。それだけでいいの。それだけで十分なの。逆に言うと出来なくてもいいの。だって誰かの出来ないを補うために私たちは組織としてあるんだから」


ひいさんの手は冷たい。でもこの人が温かく感じる


「弓も銃も初心者から上達した子はいっぱいいる。ごめんね、私が急かしたから不安になっているんだよね。ごめん。

でも薔薇が団体行動をしだしたってことは、、、始まっているの」


「始まるって?」


ハッターさんが恐る恐るといった表情で質問をする


「、、、。ごめんね。やっぱりまだ伏せさせて。ごめん」


ひいさんが悲しそうな顔をする。するとひいさんの近くを飛んでいた三匹の蝶も心なしか彼女を心配そうにしている。

最初はあまり表情が動かないように見えたがこうしてよく見てみると蝶も含めて感情というか心がちゃんとあって豊かな人なんだなと感じた。


顔立ちが整っているし物静かだし上品だからお人形のように見えていたがこの子も自分と同じ命なんだよな。


自分のことに精一杯で周りが見えていなかった。周りが見えていない上に自分のことも見えていなかった。固定概念に囚われ、人を第一印象で決めつける。

私はここで頑張る動機も自分本位なのに行動まで自分勝手だ。


ひいさんと心の距離があるように感じたのは自分が一線を引いていたからなのかもしれない。

子どもながらにリーダーを務める彼女は自分とは違う選ばれた子なのだと私が線を引いたんだ。


変わらなきゃ。


私は人との距離感を間違えたり、嫌われるのが怖いから受け身でいた。


でも身元不明の私を引き受けてくれたこの人達になら、例え自分の望んだ答えや態度を取られてもそれでも自分から歩みよりたい


「私が卑屈だからみんなを暗くさせちゃってごめんなさい。」


「そんな!違うのよ。見ず知らずの場所に来ていきなり強くなれだなんて言われたら誰でも不安になるわ。それをさせてしまったのが申し訳なくて」


「私、何も見えていませんでした。ひいさん。ひいさんが悲しむと蝶も心配そうにするんですね」


「え?」


「ハッターさんも人見知りだって言っていたのに、今日出会ったばかりの身元不明の私のために沢山話しかけてくれているし」


「さくらちゃん」


「私は今は強くないだけで今から強くなります!!なので、、、あの、、えと」


勢いよく喋りだしたはいいが一回言葉に詰まると頭にモヤがかかったように思考が止まる


恥ずかしすぎる!!!いや、この上手くいかないと恥ずかしいって思考がダメなのかも。


「さくらちゃんは蝶の表情が読めるの?」


「いえ、全然。あの、なんとなくです」


「え~!でもそれってすごくない?私はひいさん見てても気が付かなかったな~!」


ハッターさんがニコニコしながら褒めてくれる


「それにさ!私のこともちゃんと見ていてくれたんだね!嬉しいよ!やっぱりさくらちゃんは観察力に優れているね!」


「、、、。」


「あっ!ねぇねぇ!それならさ武器!虫眼鏡とかどう?探偵ぽっいし!望遠鏡もいいかも~!」


楽しそうなハッターさんと裏腹にひいさんは黙ってしまった。余計なことを言ってしまったのかも。


「さくらちゃん。ひいはね戦えないの」


黙っていたひいさんが伏し目がち話す


「ひいは主に蝶を使って薔薇を探しているの。それとかリーダー達に向けて伝言係をしている。

だけどそれしかできない。私の蝶に攻撃力はないし、蝶を広範に動かすだけでヘトヘトなの」


「リーダーなのに情けないよね」


「そんなことないです!!」


「そうですよ!ひいさんの蝶がいるからこそ薔薇の早期発見率も増えたて被害だって減ってるし!」


「減ってる?あれ、最近薔薇の被害減っていますよね?なのにウチの負傷率はあがっている、、、。

それに白くんがいくら新人だからって咲いたばかりの薔薇に致命傷を負わされるなんて変かも」


「私がしてあげられることはみんなのサポートだけ。ねぇさくらちゃん。あなたがいた病院なんていう名前?住んでいた地域は?」


急に私のことを質問するひいさん


「えっと住所は、、、。」


あれ?思い出せない。病院の名前も住所も。自分家のマンション名すら出てこない。

なんで?あれ、そもそも私ってマンション


「さくらちゃん?」


ハッターさんが心配そうにしている


「色んなことが急に起こりすぎて脳が混乱しているのかも。記憶が曖昧だと不安だよね。何か一つでもいいの何か思い出せることない?」


思い出せること思い出せること、、、、、、。私は必死にお父さんとお母さんの顔を思い出す

良かった!家族のことは思い出せる!それなら家のことだって


思いだそうとすればするほど思い出せずに焦ってしまう。どの思い出もあと一歩のところで不確かな記憶に代わっていく。どうしよう、お母さん!


心細さから母を思い出す。


「あ!」


「思い出した!?」


「私、シャボン玉が得意です」


続く

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