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薔薇を枯らすためのアリス  作者: 八幡丸もんじゅろう
マッド・ハッター 体力づくり編
22/26

ep.22 体力テスト

 コンコン


私と咲月さんは昼食を終え午後の訓練に備えて軽く準備運動をしていた。するとドアのノックをする音がする


「は〜い」


「失礼します。マッド•ハッターです」


「ハッターちゃん!ごめんねぇ、忙しいのに呼び立てちゃって」


「いえ!そんな、私なんてみんなに比べたら、、、いや、えっと、、、」


「さくらちゃんが環境に慣れるまでは他の階の訓練室じゃなくてここの階のを使用してほしいのよ」


「訓練室って沢山あるんですか?」


「アリスはチームごとに専用の作業部屋や訓練室があるの~!

この階は私達のチームの場所だから私達以外だ〜れもいないのよ」


「なるほど」


「各階ごとに分かれているから人見知りが激しくて環境の変化に着いていけない私にはありがたい」


「え!人見知りなんですか?」


「え、ああ、うん、そうなの。へへ、他のリーダー達はしっかりしてるのに私じゃ頼りないよね」


「あ!いえ!違います!ごめんなさい。そんなつもりじゃなくて、その、、、気を悪くしないで聞いてほしいんですけど」


必死に否定しようとして言葉がしどろもどろになってしまう。


「とても綺麗な人なので、こう、高嶺の花みたいだって勝手に思っていて、なので、人見知りって聞いて私もそうなので親近感沸いちゃって、、、」


モニョモニョと喋る私を見て沢山頷いてくれる、この仕草ですごく安心する


「人見知りなのに、さっきの会議でしっかり話せててすごいよ!頑張ったんだね」


「ありがとうございます!」


「それにっ、私、そんな綺麗だなんてぇ」


「ハッターちゃんとってもおしゃれさんだから帽子屋ってリーダー名にピッタリよねぇ!長い黒髪も美しくて私はいつも素敵だなって思ってるのよ」


「へへっ!そんな!へへへ」


「そういえばリーダーの子達は自己紹介まだだったわよね?ハッターちゃん、さくらちゃんにお名前教えてあげて」


「私はマッド•ハッター。私たちのチームは洗濯•掃除担当なの、みんなの衣類を預かってピカピカ清潔にするのが仕事だよ。あとは、ええとそう!私も元々は非戦闘員だったからわからないことがあったら何でも聞いてね」


「ありがとうございます!自信はあまりないもでそう言っていただけると心強いです」


「じゃあ今日は体力づくりのメニューを考えながら進めたいから、現状のさくらさんの体力を確認させてもらうね。これから成長すればいいんだから緊張せずにね」


「はい!」


「じゃあ、私たちの訓練所まで行きましょうか~」


咲月さんの案内で長い廊下を歩く。その間もハッターさんはぎこちなく話しかけてくれる


さっきも人見知りって言ってたから私に話かけるの緊張しているんだろうな。それでも気を使って私に話を振ってくれる。優しくて心が綺麗な人だな。


「ハッターさんの好きなものはなんですか?」


「ええっ!!好きなもの!?う~んええと」


慌てた様子を見せながらも一生懸命考えてくれる


「あっ、コーラとかハイボールとか炭酸が好き!」


「シュワシュワ美味しいわよね~!初めて飲んだ時はびっくりしたけど、2口目からは甘くて爽やかで~、、、いけないいけない。ハッターちゃんがお話しているのに割り込んじゃってごめんなさいね」


「いえ!!そんな!わかってもらえて嬉しいので、、、」


「ふふ、ありがとうね。さぁ着いたわここが私たちの階の訓練場よ」


中に入ると体育館が広がっていた。なんだか懐かしい気持ちになる。


「ここはアレンジされてますか?」


「ええ!だけどそれは扉の奥だけ!このワンフロアはただの運動場だから安心して使ってね」


「アレンジってなんですか?」


「チームによって訓練場も内装が違うのよ~!そしてリーダーが考えた特訓用の設備なんかもあるから部屋一つとっても色が全然違うの~!ここもオリジナルの設備はあるけどそれはもう少し後にしましょうね」


「そういえば、ハッターさんのチームも戦うんですか?洗濯や掃除がメインとお聞きしましたが、、、」


「戦うよ~!ええと、でもそうだよね、たしかに疑問に思うよね。私のチームは基本的に後方支援部隊だけど、他のチームからヘルプが出たように数名だけは鍛えているの。各チームに必ず戦える人材を配置しているよ」


「なるほど、、、」


「負けたら死ぬからね」


ハッターさんはそう呟いたあとハッとした顔をして手で口を塞ぐ


「ごめんなさ、い。その、怖がらせるつもりじゃ、あの。本当に私って話が本当に下手でごめんなさい」


「いいのよ。事実なのだから。薔薇に敗れれば死ぬ。そして枯らしたとしても毎日毎日現れて切りがない。」


「薔薇は人間が嫌いなんですか?」


私が質問すると咲月さんが悲しそうな顔を一瞬見せる


「いいえ。そんなこと、、、。いや。はっきりとはわからないけど。あいつらは自分たちがもっと自由にどんな場所でも咲けるようにしたいと言っていたの」


「どんな場所でも?」


「そう、例えば、薔薇が今咲いている場所じゃなくて、隣の場所がいいなと思っても薔薇のままじゃ思い通りにいかない。いつでも人が干渉する。だからこそ人型にこだわるの」


「そういえば私はあんまり現場にでないから黒薔薇と会ったことがないなぁ。その点さくらちゃんはもう黒薔薇にあっているのすごいよ、しかも立ち向かったんだから」


「私は何も、、、。女王とショコラさん見ているだけでしたし」


「いやいや!強敵を目の前にしてもなお戦おうとするその意思を私はかっこいいと思うよ!はっ!時間が!そろそろ始めようか!」


「はい!」


「じゃあ、私はちょっと席を外すけど後はお願いして大丈夫かしら?」


「はい!17:00までを目安にしているんですがいいですか?」


「そうね!そのくらいの時間にさくらちゃんを迎えに来るわね。二人の飲み物とタオルあそこのベンチに置いてあるからちゃんと休息と水分補給をしてね」


「ありがとうございます!」


こうして私とハッターさんは広い体育館に2人残され訓練が始まった


「まずは、50m走、100m走、反復横跳び、跳躍、ボール投げ、長距離しよっか!もちろん間に休憩を入れるから安心してね!」


「はい!お願いします!」



、、、ピーッ!!!!


「これで全部だね!お疲れ様!!これ飲んで」


「はい、、、ありが、、」


全種目を終え汗だくの私に飲み物をくれるハッターさん


「走った後なんだから無理に喋らないでっ!ほら一口ずつこれ飲んで」


スポーツドリンクが五臓六腑に染み渡る。相変わらず見たことのないラベルだが味は馴染みのある味だ


「お疲れ様!よく頑張ったね!10分休んだら柔軟運動をしよっか!その間に私は記録を見ておくから休んでて」


「はい!」


廊下ではぎこちなかったハッターさん。でも私が体力テストをしている最中ずっと頑張れ!と声をかけてくれていた。


「う~ん。この長所を伸ばしてあげたいなぁ。あっ、でもここは重点的にやらないと不安だな」


私の記録を見ながらメニューを考えてくれているハッターさん。自慢じゃないが運動は苦手だ。記録だって散々なものだったが、ブツブツと話す内容に"長所"という単語が出てきて嬉しくなる。


本当に運動は得意じゃない。むしろ苦手だ。だけどそんな私とも向き合ってくれるハッターさんに報いるためにも頑張らなきゃ。


汗を拭きもう一口水分を摂り気合を入れ直した


続く

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