ep.21 午後の予定
「ようこそアリスへ」
咲月さんが優しい笑みで私をアリスに迎い入れてくれる。この声と共に中にいたリーダーのみんなが口々によろしくねと挨拶をしてくれる
「さくら。これからよろしくね」
女王が私の両肩に手を置き微笑む。女王の手の温度が伝わり安心感に包まれる。
「おぉ~~~~~い!!!新人ジンジンジ~ン!!ようこそ我がアリスへ!!!俺さまは乗り物のプロ中のプロ!!チェシャ猫さまだぁッ!!特別にチェシャ猫さんか王子様って呼んでいいぜ!」
「あいつはショコラのチームのリーダー!ショコラはあのチームじゃすごくまともな部類。そしてあいつは一番狂っているからトップに選ばれたの。」
「あらあらチェシャ猫ちゃんはいつも楽しい雰囲気を作ってくれるわねぇありがとう。まずはさくらちゃんから自己紹介して次にみんなのことを知るのはどうかなぁ?っと、あらいけない。
誰かのことを聞くならまずは私からよねぇ。じゃあ、私の次にさくらちゃんにお願いしていいかしら?」
「あっ!はい!!」
メイド服の女性に三人の紅茶を入れなおしたので、、、と座るように促され私たちは席に着く
「さくらちゃん。名前と好きな物や場所なんでもいいから好きなものやことを3つ教えて。もちろん、いまのあなたを知りたいから、それを貫かなきゃとか難しいことは考えなくていいからねぇ。」
ドキドキしながらまずは咲月さんの自己紹介をきく
「私は咲月。人を襲う薔薇を枯らすための組織。"アリス"の当主を務めています。
私は薔薇が好き。特に薔薇を見てみんなが笑顔になってくれる瞬間が大好きなのっ!
だからそんなみんなを傷つけ恐怖に陥れるあいつらが許せない。薔薇からみんなを守るため、そして薔薇からも薔薇を守るため私たちアリスは存在するのよ」
「薔薇をまもるため、、、」
そんな発想はなかった。私は目が覚めてからずっと薔薇を恐怖の対象として見ていた。そうだよ薔薇ってすごく素敵なお花じゃないか。
そんなことも忘れて私は薔薇を枯らせば元の世界に帰れるなんて自分勝手なことを考えすぎて、視野が狭くなっていた。
「たしかに、、、。私にはその発想はなかったです。でもいま、優しい薔薇の為にも頑張らなきゃなと気づかされました!!」
咲月さんが一瞬驚いた表情を見せながらも微笑んでくれる
「さぁさぁ、私のことよりさくらちゃんのことが知りたいわぁ!教えてくれる?」
私はリーダーみんなの方を向き浅く深呼吸をする。鼓動がうるさくて喉に心臓がついているみたいだ
「わっ私の名前はさくらです。好きな食べ物は金平糖で、ぬいぐるみのキーホルダーを集めるのが好きです。あと、あとは、、、、」
3つめの好きを頭の中で一生懸命に探していると突然"負けたくない"という思いがこみ上げてくる。
私って別にそこまで負けず嫌いじゃないのに急に何だろうこの気持ちは
負けないことが好き。だって私はこの庭のクイーンなの。
私じゃない誰かの声がする
「負けないことが好きです」
気が付いた時には私はそう言っていた
「あら「おいおいお~い!!いいねいいねぇ超最高じゃん!!!やっぱりレディさくらはおれっちのグループに来なよぉぉぉ」
「貴様!!新人の預かり場所はすでに決まっているだろう!今さらガタガタぬかすな!!」
なに?今の。私の意志とは裏腹に言葉がでた!?しかし余計なことを考えている暇はない集中しろ!
「そうそう、言い忘れていたんだけど、しばらくの間さくらちゃんは白ウサギちゃんとペアで現場に出てもらうことにしているから、怪我が治り次第、白ウサギちゃんも稽古に入れてあげてほしいの」
「白ウサギちゃん元は後方支援部隊だったからさくらちゃんと共に鍛えるのすごくいいと思う」
ひいさんが顎に手を当ててうんうんとうなずきながら教えてくれる
「しかし白ウサギはもう一人前に戦えると我々赤のチームは判断しました。今回は黒薔薇だったから負けたのかもしれませんが、わざわざ鍛えなおす程のことでしょうか?」
「う~~~ん、白ウサギ君を治療して思ったんだけど彼は小さい傷がとても多かったんだ。おそらく武器をぎりぎりまで使わなかったんじゃないかなぁ?そういう危うさをもう一度見直すのもありだと思うなぁ」
「たしかに彼は技術班の出身だからか舐められないようにと己の身一つで戦おうとする傾向がありましたね。」
顎に手を当てクイーンが納得する仕草を見せる
「別に誰が上とか下とかないのだけれどね」
「でも白ウサギくんの気持ちわかるなぁ」
「あら、ハッターも舐めれられたくない気持ちがあるの?」
マッド・ハッターの独り言を三日月ウサギは聞き逃さない
「あッ!いえ!そんな滅相もなぃ、、、」
「たしかに白と友達ならなるべく一緒に行動した方がさくらの気持ち的にも安心なんじゃないかな?もちろん私だって手が空いたらいつでも付き合うわ!」
「医療班が暇になる瞬間などまず来ないだろう、、、。それより友達という点が引っかかる。ここは仲良しこよしで勤まる場所じゃないぞ」
「あ~ら!ずいぶんと考え方がアンティークなのね。さくらの境遇を考えたら少しでも心の負担を減らして楽しく過ごしてもらいたいの!それのなにがいけないのよ!それにさくらは真剣に訓練に取り組める子よ!」
「仲良しこよしはなぁ~~~~」
「それよりこの子の武器はいつ作るの?」
「まだそんな段階でもないでしょう」
「いやいや!こういうのは早ければ早い方が、、、」
すごい、、、!これがこの組織のトップの会議なのか!!!
会話の流れが速い!!それなのにみんな自分の意見を即座に返せるし喋りを独占している人もいない!
量の個人差はあれど全員がこの会話に参加してしかもちゃんと回っている
「みんな元気よねぇ。最初は圧倒されちゃうかもしれないけど、ここにいる子たちは人の声にきちんと耳を傾けようとしてくれるからねぇ。さくらちゃんが発言したいことがあったら言ってみるといいわぁ。」
咲月さんが私に声をかけてくれる。この一言で私はあなたも輪の中にちゃんといるよ。って教えてもらったような気分になった。
「はっ!はい、、、。ありがとうございます。でも、、、」
もじもじする私をみて女王もアドバイスをくれる
「ふふ、初めは場に慣れるだけでいいからね。無理に発言しなきゃとか思わなくて大丈夫よ」
優しい人たち。この人達が傷つかないように私も頑張ろう
「よぉぉぉっっっし!!!!!キリがないな!!もう二時間も同じ面子の顔を眺めている!!いい加減にみんなが俺様に惚れる頃だろう!だが今は恋愛に勤しんでいる場合じゃないからなぁ!非常に困る!!だからこうしないか!」
「「「誰が惚れるか!!」」」
「レディさくらの体力づくりは帽子屋レディが担当する。そこに白のウサ子も組み込む。だけどずっと付きっ切りという訳にもいかないだろう?」
チェシャ猫が片手で顔を隠しながらポーズを決めて話を続ける
「そこでっ!!2時間くらいは赤の2人のどちらかが彼女に薔薇の知識を授業するんだ!そうすれば友達同士でも気持ちの切り替えもしやすくて集中できるんじゃないか?」
「効率がいいじゃない。私は明日から少しの間仕事量が減るから授業できるわよ。」
「自分もさくらさんを待たせる時間が申し訳ないのでそうしてもらえると助かります!」
「クイーンの授業中は白ウサギも自分の仕事に戻ればいいからなんだかんだ上手く回りそうですね」
「チェシャ猫君は頼りになるなぁ~!!」
「まぁ、それが現在の最適解かもな」
「でも最初の地上戦はさくらと白のバディに私もついていきます!!咲月さん!本来ならゆっくりと育てるのにこの子は短期間なんですからそくらいの補助はいいですよね!?」
「もちろん、女王ちゃんがいてくれるとこちらとしても心強いからいいのだけど無理しないでね?」
ありがとうございます!返事をした女王が私にウィンクをする。この人のファンクラブに入りたい
「では、まずはマッド・ハッターが体力づくりの指導をして合間にクイーンが授業をする。そして白ウサギが完治したら訓練に加わり、状況をみて現場にもでる。という運びでよろしいか?」
反対意見は特に出ず会議は終わる。みんな仕事があるようでバタバタと部屋を出ていくがよろしく!や頑張ろうな!と声をかけてくれて嬉しくなる
「じゃあ、私たちももう行くけど何かあったらすぐに私に連絡してね。絶対よ?ハッターあとは頼むわね」
「はい!頑張ります!!」
今日はひとまずマッド・ハッターさんと咲月さんと行動することになった
「まずはハッターちゃんも自分のチームの子に連絡をしておいで。午後1番にハッターちゃんは私の階に来てくれる?さくらちゃんとお昼ご飯を済ませて待っているから」
そういうことで私は今日の午後から訓練がはじまる
続く




