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第64話 報告会、クロンとギルガルト、爵位

 というゴタゴタがあり、今に至る。

 別段悪いことをしているわけではないのだが、色々と話していないこともあったのでなんとなく気まずい。

 マリーが淹れてくれた茶を一口含んで、意を決して口を開く。


「あー、皆聞きたいことは色々とあるだろうか、一人づついこう。まずはギルとクロンだ」

「あん?俺は別に話すことはねぇぞ?」

「クロンとの関係くらいは教えてくれ……」


 取り敢えず二人に聞きたいのはそれ。

 まぁなんとなく予想はできる。

 以前、ギルはエルトワールの森に縁があるといっていた。

 ならば、エルトワールの森出身のクロンと関係があるのもある程度は納得できることではある。

 以前獣人の姓についての話をした時、街一つが家族みたいなものなのか、というマリーの質問に満更でもないような反応をしていたのを考えると兄という言葉もありえなくはないか。


「あぁ、大したことじゃねぇよ。クロンの親が俺の一番上の兄貴だってだけだ」

「そうっす。えっと、そういうの人だとなんていうんでしたっけ?」

「叔父と姪だね。へぇ~そうなんだぁ」


 関心するようにクロンとギルとを交互に見比べるマリー。

 思ったよりも近い関係だった。

 あー、たしかに言われてみると似ているような……気がしただけだな。

 正直獣人の顔は見分けがつかん。

 いや、よく見れば耳の形や色は結構近いものがある、か?

 ……やっぱわからん。

 というか、叔父と姪にしては歳が近いな。

 クロンは今14なのを考えると……まぁありえなくはないか。


「そういえば、ギルを探してたとか言ってたけど、どういうことなの?」

「この間商業ギルドに行ったときに、ギルドの人がギル兄が街にいるって話をしてたのを聞いたんすよ」


 アリアの問にポンと手を合わせたクロンが答える。

 あぁ、マッケンリーに呼び出された日の事か。

 用事ができたとかで先に帰ったのはギルを探しに行ってたってことなんだな。

 あの時はなんやかんやで自分の事で一杯一杯だったから気にしてなかったが、その時に話を聞いておけばよかったかなぁ。

 同席していたマリーを見れば同じことを考えていたのか視線がかち合う。

 

「で、クロンはなんで此処にいんだ?」

「ボクは此処で働きながらクラウスさんに稽古を付けてもらってるっす。駆け出しっすけど、ボクも冒険者っすから!」

「ほぉ~、クラウスにか」


 ジッとこっちを見つめるギル。

 ……なんだよ、なんかあるのか?

 

「クラウスが教えてるってんなら俺の出る幕じゃねぇな」


 ふむ?

 良くわからんがなにかに納得した様子のギル。

 あー、一応は自分の可愛い姪っ子なわけだし、色々と心配にもなるか。

 安心しろ、変なことは教えてないから。


「俺らのこたぁこれくらいでいいだろ。それよりもてめぇら二人だ。特にリカルド、てめぇだ」


 話の矛先が向けられると助けてくれと言わんばかりにこちらを見るリカルド。

 俺に助けを求められても知らん。

 自分で説明してくれ、と視線を逸らすと、小さなため息の鳴き声が聞こえてきた。

 

「とりあえず久しぶり、アリア、ギル。突然パーティーを抜けてごめんね」

「それはもういいよ。正直、クラウスが抜けて潮時なのかなーとか思ってたしね」

「へっ、珍しく気が合うじゃねぇか」


 どうやらリカルドの件が無くとも銀翼の隼は近いうちに解散していたかもしれないようだ。

 その原因が俺にありそうだってのが今ひとつ釈然としないが……。

 うーん、別に俺、リーダーってわけでもなかったんだがなぁ。

 

「で、その顔はどうしたんだ?解呪できた……ってわけでもねぇとは思うんだが」


 しげしげとリカルドの素顔を眺めるギル。

 リカルドがパーティーに入ったのはアリアが入った直後だから……まぁ5年程度の付き合いか。

 その間ずっと例の仮面をつけっぱなしだっただけに、素顔というのは中々に新鮮なんだろう。

 俺だってまだ見慣れない。

 リカルドが加入してから少しの間はその仮面の解呪の為に遺物を探した事もあり、いくつかのそれも試したがどれも解呪には至らなかったという事がある。

 まぁ、呪いなんぞ最初からかかっていないのだから解呪のしようもないんだがな。

 

「えっと……とりあえず仮面の事はこの後説明するとして、僕の本名はリカルド・エル・リンドベルグっていうんだ」

「へぇ、随分と立派な名前じゃねぇか」

「あーやっぱりいいとこの出なんだ。立ち振舞がちょっと冒険者っぽくないなって思ってたんだよねー」


 うむ、まぁこういう反応になるか。

 二人共、人の治世に関しては疎いだろうしな。

 カーネリアに住む人であるならば、リンドベルグの名に反応しないわけもないんだがな。


「リンドベルグの名はカーネリアに住む人なら誰でも知ってるぞ。なにせここはリンドベルグ領だからな」

「「へぇ~」」


 何故こんな時ばかり気が合うのか。

 全く関心なさそうに答えるアリアとギルに、リカルドすら思わず苦笑してしまっている。

 

「僕は現リンドベルク辺境伯の嫡男で、今はカーネリアの領主代行としてこの街を統治してる。まだまだ未熟者だけどね」

「はぁ~、なんかよくわかんないけど偉い人だったんだ」

「そういうのはよく分かんねぇな」


 獣人やエルフにはあまり関係ないといえば関係ないのだが、人の街で暮らしている以上ある程度の事は理解しておいて欲しかった……。

 まぁかくいう俺も政治の話はよくわからない事が多いが、流石に爵位の話程度はわかる。

 下から男爵、子爵、伯爵、侯爵、公爵だったはず。

 辺境伯は正式にはこの序列の中に居るものではないらしいが、侯爵と同程度の権威があるはずだ。

 他国だと伯爵以上、侯爵未満といった扱いが多いという話も聞いたが、この国は開拓によってできた国なだけあって辺境伯の爵位は特別な地位にある、らしい。

 確か公爵は王の親族だったりとかそういう血筋の人間に与えられるものらしいから、そこを除けば貴族としての地位は実質最上位と言ってもいいレベル。

 本来なら俺みたいな一般市民がおいそれと会話できるような相手じゃないんだよなぁ。


 俺が呆れ顔をしている事に気づいたのか、リカルドが苦笑しながらもまぁまぁと抑える仕草。

 

「僕としては、二人には他人行儀な対応をしてほしくないし、今のままでいいよ。まぁ、公では少しは気を使って貰えると有り難いけど」

「良くわからねぇが、まぁ気をつける事にはするわ」

「頭の中まで筋肉のギルじゃ分かんないわよねー」

「んだと?そういうてめぇはどうなんだよ。分かってんのか?」

「つまりはあれでしょ?店の外ではなんか偉い人だって思えばいいってことでしょ」

「大雑把すぎるだろ……」


 全く理解していない様子のギルに比べれば幾分かはアリアの方が事情を理解してくれているようではある。

 というか、アリアだって王族みたいなもんなんだからそこら辺は理解して貰わなけりゃ困る立場だったはずなんだが……。

 ベラフィア、リミューン、あんた達は偉いな。

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