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「大怪我した!奥に居るからぁ!早く来てね、オッチャン」
そう言って勝手に上がり込む。オッチャンは、お前何したの?みたいな顔をしていたが、知らない。こっちはもう傷が痛くてしょうがない、さらに言わせてもらえば血が足りない。フラフラする。ソファーの上に寝っ転がる。ドタドタと音がして。
「お前!なんだその怪我は!なんで、この数時間で大怪我してんだ!?」
怒鳴るとかの前にさ、思うんだ。
「説明とかの前に、治療して。痛いし〜、死ぬ〜」
説明ちゃんとしろよ。と、オッチャンはブツブツ文句を言いながら、治療をしてくれた。
傷口も塞がり、痛み止めも貰った。しかし。
「血も足りないんだけど?」
「知らねぇよ、なんか食っとけ!そんで?何した?」
「ちょっと風見が変な事教えてきて、好奇心のまま動いたら思った以上にヤバイ大物で、死ぬなぁ〜ってなった時に、華さんにほぼ有金払ってヘルプミー。OK?」
「あー、そのヤバイのは?」
「華さんが始末した」
「正体はなんだった?」
「なんとぉ、自然発生蠱毒!(人悪霊タイプ)19人の同業殺しで、俺の糸ぶち切りしちゃうパワーフルなの。あ、しかもスピードもそこそこあるよ」
間が空き、オッチャンが上を向きながら。
「…お前ってそんなアホだったか?」
「えー、酷い」
「明らかに格上だろうが。なんで速攻で逃げねぇんだよ、あぁ?アレか?冒険心くすぐられたか?華の奴が居なかったら、死んでんじゃねぇか」
「有り難やと言いたいけど、金払ってるしなぁ」
「金で命助けて貰えたんだ、有り難く思えアホ。見捨てられる選択肢もある世界だぞ」
「わかってるよー、でも、オッチャンに治療費渡したら稼がないとなんだもん」
「自業自得だ」
確かにそうだが元を辿れば、あの馬鹿のせいだ。全てアイツが悪い事にしよう。今度金奪ってやる。
「もう、彼奴の情報には当分誘われねー」
「だいたい、お前そろそろ霊糸以外も使えよ。基本技しか使わないって、何してんだよ」
「使いやすいじゃん」
「普通、そこから応用させてくんだよ。剣とか銃とかな。なのに、その練習すらしてねぇだろ?」
「ま、良いじゃん。ザコはイケるし。ここに金置いとくよ、治療あんがとさん」
これ以上居たらさらに説教になる、経験に基づき逃げよう。別空間へ移動し、オッチャンの舌打ちを無視した。
さて、稼ぎ直しか…。良い獲物は居ないかな。ウロウロしながら見渡すが、微妙だ。それになんか今日は疲れたし寝よう。獲物探しから、寝床探しへ。
数分後、この家で良いや。基本どんな家でも良いのだが、どうせならリッチそうな家の中で寝たい。別空間に居るから家の人に見つかる事はない、ノビノビとこの大きなベットを使わしてもらうかな。おやすみ〜。