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「んぐんぐ、やっぱ寿司旨いなぁ」
大金も手に入れたので、しばらくはブラブラしようかなと考える今日この頃。お寿司美味しいです。チラッと外を見ると今変なのに取り憑かれそうな人が居た。
「プファ〜、あーあー。祓わないとずっと頭痛の刑と目眩の刑だなあれ。可哀想に」
「そう言うなら取り除いては?」
目の間に同業が座る、そして良く知る奴だ。
「なんで勝手に座ってんの?相席OKなんて言ってないよ、俺」
「良いじゃないですか、僕と君の仲遠慮なく」
「的外れな事言うなよ、風見」
フフフ、と笑いながら座ったまま動かない。いつもそうだ、何気なく現れて友達とか嘘ばかり言う。
「夜ちゃん、結構稼いだって?」
「だから?ってか、夜ちゃん言うな」
「ご馳走になりにきたよ」
「ふざけんな、消えろ」
コイツは何処から手に入れるのか情報力が凄い高い。同業だが、祓って稼ぐより情報売って稼いでる方が多い気がする。いや間違いなく多い。
「そんな冷たいな〜。なんなら情報1つプレゼントするよ?」
「俺、お前が知ってる通り稼いだばっかなの。情報いるわけないじゃん」
「イヤイヤ、もっと稼げるよ?」
「本心は?」
「何のことかな?」
「…」
「…」
少し睨み合い、風見はニヤリとしながら話し出した。
「もう〜、しょうがないな。この聞きたがりさん。実はね、この祓い失敗人数もう19人なんだってさ!凄いよね〜。そこで、栄えある20人目に夜ちゃん君に決めた!って感じなのよ」
19人も死んでる、普通じゃない。強いな1個体か?複数体?それとも…。
「ノリノリ気だね〜、良いな良いね!はいこれ、もしヤルんだったらソレの今までの情報。それじゃ、ガンバ!」
別空間に入って消えた彼奴は無視して、その情報紙を読む。場所はそんなに遠くない、死んだ奴等はザコもいるけど少し強めの奴もいるな。問題は何をしようとしたか…ウーン、浄化?浄化ね…。土地の浄化に行って全滅って、大量の霊かな?それともヤバイのでも住み着いてたのかな?
大金はあるしなぁ…別に困ってないんだよな。この業界には慈善活動する奴等も居るけど、ガラじゃないし。ウーン。暇は暇だけど…ウーン。見るだけ見ようかな…どんなのか気になるし。
寿司屋で支払いをして、目的地へと歩いて行く。何気にもう遅い時間になってきたな、普段ならどっかホテルに泊まって寝てるよ…。眠い。まだ着かないかなとトボトボ歩いてると何と無く空気が変わる。
「ここら辺かな」
別空間に入って身構える。警戒し周りを見るが何も居ない。
「この辺だよな?空気も違うし、なんかピリッとするし」
違和感はあるしかし、何もわからない。
「土地の浄化でやられたんだっけ?それっぽい事したら出てくるかな?」
とりあえず、浄化の為に気を発してみた。
数十分して、会社帰りのサラリーマンが目の前を通ろうとした瞬間消えた。いや、下を見ると下半身が有る。上半身は無く、地面にドンドン血溜まりを作っている。
「…は?」
見えなかった、しかし理解はできる。偶々俺の前に居たから代わりに死んだ。本当だったら俺が死んでいた。
「やっべ、マジかよ…」
一旦引くかと思い、帰ろうとしたら。
「チガウネ、チガウナ、チガッタ。コレジャナイ、ソレジャナイ、アレジャナイ。
ツギ、ツギ、ツギ」
ドチャっと何かを落とす音と共に片言の声が聞こえた。
「ウーン、ミスったかな」
好奇心はなんとやら…そんな思いが胸いっぱいに広がるが遅かった。