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寝起きに、今日も仕事か。と思い気合を入れる。とりあえず近くのコンビニで軽く朝食を食べて、別空間に入り、獲物を探す。いやぁ、いい天気だな。こんな日はなんか遠出をしたくなるよな〜。そうだ、今度海に行こうかな?偶にはゆっくりとバカンスを楽しみたい。そんな風にブラブラと歩きながら、探しているとなんとキスをしかも、熱烈なキスをしてる男女カップルが!
「ウワォ!こんな朝からお盛んだな、おい。こんな人目につくところであんなに抱きしめ合って、キスなんかしちゃって…」
アレ?ここ別空間だよな?現実空間じゃないよな?そこでカップル?しかもキス?
ジュル、ジュルジュル。ゴキュバキッ。
キスにしては…なんか変な音してるよな?
ザシュッザシュッザシュッ…。
人間って腕2本だよな、男は2本だけど。女の方はなんか、6本ない?しかも抱きしめてるというか抱き刺してる?…もうアレは、化け物やない?何を普通に見てんだ俺。
「ちょっと待ったぁ!」
そついって、殴り込む。すると女の方が離れ、男はバタッと倒れた。男の顔は穴が空いて、ぐちゃぐちゃになって死んでる…ヤバイ朝食出そう。
「おい、テメェ朝からこんなグロいもん見せやがって、覚悟しやがれ!」
女はフフフと笑い。口から糸を吐きビルになどに巻き付け逃げだす。
「逃げるなや!」
俺も走って追いかける。ドンドン追いかけていくと森の中に入って行き、見失ってしまった。
「おいおい、どこいった?」
「フフフ」
女の笑い声が聞こえた、周りを見渡すがどこに…。
シュルシュル…
「えー!」
上から糸が伸びてきて、縛り上げられた。油断最近多い?俺。
「フフフ、餌、餌よ子供達」
そう女が言うと、周りからワラワラと小さな蜘蛛が出てきた。キモい。
「な、お前蜘蛛の化けもんかよ!」
女は普通の人の顔が割れ、中から8個の目。キバの生えた口…。体はバリバリと変化してデッカイ蜘蛛の体になった。
なんかもうここ最近は悪霊系よりこんな化け物のが、遭遇率多くね?
「離しやがれ、キモいんだよ!こっちに来るな!」
ジリジリと寄ってくる子蜘蛛達。どうすりゃいい?考えろ、考えろ。クッソ、糸は俺の専売特許だろうが。そうだ!
「糸弾、発射!」
地面に向けて糸弾を乱発し、子蜘蛛を俺の糸に絡め動きを止める。
「ザマァみろ!これであとはお前だけだ」
「子供を、子供を」
子供に手を出されてめっちゃ怒ってるなでも、知るか!女蜘蛛はこっちに向かってくる。迎え撃とうとした時。
「化蜘蛛、土蜘蛛か?」
そんな声が聞こえた。そして、目の前に人が立ち、女蜘蛛を霊刀で顔を切り裂いた。いつ現れたこいつ、気がつかなかった。
「ギヤァア!」
「しぶといな」
そのまま其奴は刀を何度も振り、女蜘蛛の体がドンドン斬り裂かれていく、そして。
「あとは封印だな」
弱った女蜘蛛は倒された。スゲェ、ってちょっと待てそれ俺の獲物…。
「あの〜」
「お前からも報酬を貰うがいいな?」
「いや、だからね?」
「説明するが報酬はお前の寿命だ」
「話聞けよ」
「なんだ?」
「俺、同業者。俺も祓い屋なの。こんな姿でそうは見えないだろうけど、ほらお前の足元見ろ。さっきのヤツの子供を捕縛してんだろ?その捕縛糸俺の」
「…どうすればいい?」
「とりあえず、俺に絡み付いてる糸取ってくれね?そんで、子蜘蛛消滅させるから」
その後糸を取ってもらった。そのまま糸を操り、子蜘蛛を消滅させた。それにしても、なんか堅物そうだけど良い奴っぽいな。
「まぁ、うん。一応礼を言っとく、ありがとよ。俺は夜夜刺って言うんだ」
「…」
「どうした?」
「いや、この場合は報酬はどうすればいいのかと思ってな」
「いやいや!?寿命は報酬にならねぇよ、今回は。俺ら同業者同士の助け合いの場合は報酬は、金とか仕事の手伝いとかでチャラだからな?てか、お前女蜘蛛倒す前に契約を俺に持ちかけてなかったろ?新人か?」
「俺は灰馬。新人ではない」
灰馬?なんか聞いたことあるような…どこだっけかな。あ、オッチャンの言ってた1000万稼いだ!あの野郎か!?マジかよ、養殖やってる奴はそんなに強くねぇと思ってたが、こいつは普通に強いぞ。
「お前が灰馬か、そんな強いのになんで養殖なんてしてんだよ?」
「養殖とはなんだ?」
「は?お前なんかわざわざ、霊とかわざと泳がせて人襲わせて金稼いでるタイプなんだろ?」
「した事ないが?」
「え、だって超稼いでるって聞いたけど?」
「普通に倒したら稼げた」
という事は、なんだ?どういう事だ?オッチャンの言葉を思い出せ…1000万稼いだ灰馬もいると言っていた。何で?あれ?養殖とは言ってない…もしかして、普通にやってそんな稼いだのか!?ていうか、あの空気だと養殖で稼いでるって普通思うだろ!それにしても、そんなに普通にしてて、稼ぐなんてありえるのか?
「なぁ?どうやったらそんな稼げたんだよ」
「なんか、沢山狩っていたら絡まれた。其奴らから見逃してくれと言われ、色々渡されたら稼げた」
つまり、養殖だとか関係なく適当に消滅させてたら同業者に絡まれて、でも返り討ちにして命乞いで金になるもん渡されたと…なんだそれ、無茶苦茶な。
「で、どうすればいい?」
「何が?」
「お前を助けた報酬」
「…別になぁ助けられたってわけでもないしなぁ」
「そうなのか?」
「…危なかったけれども」
「どっちだ?」
「わかったよ!だいたいな、本当は契約してから助けるんだからな!まったく」
こいつ天然かよ、めんどくせぇな。
「仕事の手伝いも報酬と言っていたな」
「ああ」
「なら、手伝ってほしい」
「何すんだよ」
「呪霊狩りだ」
「どのレベル?」
「もう、何十人も死人が出ている」
「わかったよ、その仕事手伝おう」
かなり面倒いな、気合を入れなきゃな。最近弛んでるし。