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普通に負けた。なんだあれは…あんなん試合にならねぇよ。こっちの攻撃は全て避けられた。動きも先読みをされ、回り込まれ攻撃される。その攻撃は尋常じゃないくらいに体の内側に響く。そして、何か思ってもそれを声に出される、そう心を読まれるからなんか精神的にもキツイ。30分も経ってないうちに俺は降参してしまった…。


「あの、すみません。つい久しぶりに体を動かせると思ったら浮かれてしまい、少しやり過ぎてしまいました」


「あれで少しやり過ぎか…なんか俺弱いって改めて思ったよ!」


「いえいえ、私には神通力などがありますので。あの結果は当然ですよ」


「それって超能力的なの?」


「うーん、少し違うような、合っているような…。とりあえずは不思議な力と思ってください」


なんか馬鹿にされてるよな、俺。しかし、ここまで強いならもう契約しても良いのではないのだろうか?寿命貰うよりメリットあるよなこれ。オッチャンには黙っときゃバレないだろうし…よし、そうしよう。

そう考えながら俺は白狐のところへ戻った。


戻るとニコニコと笑顔な白狐が居た。


「契約する事にしましたか」


「けいや…その、心読むのやめてくんね?」


「すまんな、癖で。しかし契約する事にしたのは本当なのだろう?」


「ああ、その方がメリットデカいからな。あの悪魔に会った時に助かる。力も手合わせしたら…もう手も足も出ないくらいにやられたし。強過ぎだろ」


「ホッホッホ、それは修行の差だな。なんならしてくか?」


「そういうの苦手だからヤダ!そんなのは熱血君がやればいいと思う。俺みたいなテキトーに生きてる奴には合わないの」


「なんというか素直だな。まぁいい、それじゃあ後はお主らに任せたぞ」


そう言って白狐とお別れした。そのまま神社の入り口のところに来て、八尾の狐が腕輪を渡してきた。これが契約なのか。


「それは私の毛で作った物です。それを危険が迫った時に千切ってください、そしたら一瞬でどんな場所でも私が現れますので。肌身離さず付けといてくださいね」


へぇ、便利だな。これも修行したらできるのか、それとも狐妖怪の特技なのか?


「そういえば、この腕輪の…」


「腕輪の材料が何処のなんて、デリカシーの皆無な質問をしたらどうなるのかしら…ね?」


「はい、ありがとうございます。ありがたくいただきます。絶対に付けときます」


なんか、目が怖かった。死を感じた。妖怪でも、ちゃんとデリカシーは守ろう。マジで聞いちゃいけない事、あるんだな。


「それじゃ、俺はもう行くわ」


「気をつけて、ご無事を祈っています」


神社からドンドン離れて行き、街にでる。それにしてもまさかの妖怪、妖狐との交流を持つこととなるとは。人生どうなるかわからないもんだな。


さてさて、仕事の続きをするか。どっかに襲われてる人落ちてないかな〜。


「助けてー」


居るもんだな〜、いやぁ忙しい!

女の子が蹲っているのが見えた。近づいて声をかける。


「どうした?困ってるなら助けるよ」


「本当?」


「ああ!報酬は貰うけどね。ちゃんと助けるよ」


「そう」


なんか変だな、こっち向かないし。蹲ったままだし。怪しい…なんかもうやだなぁ、こんな怪しいパターン。


「じゃあ、お腹が空いてるの!いただきます!」


そう言うと女の子の髪がこちらに伸びて、首や手を縛り付けた。しかし、驚いたのは後頭部に口がある事だ。鋭利な歯まで付いてやがる。偶には普通にモテたいな!チクショウ。


「クソ!騙された」


「ウフフ、美味しそう。でもこの姿を見ても驚かないんだね?」


「いやぁ、驚いてるよ。ただな…お前が今騙した相手は、祓い屋だ!」


そう言って引っ張られてる勢いを利用し、飛び蹴りをくらわした。思いっきり良い蹴りが入ったからか、拘束が緩んで抜け出せた。


「痛いなぁ!酷いじゃん、女の子を蹴るなんて」


「女の子ぶってんじゃねぇよ、化け物さんよ。あんな事して人騙して食おうとするヤツなんざ、即刻消滅させてやるよ!それとな、男心を弄ぶな!」


髪の毛がまたこちらへ伸びて来るが、簡単に避けれる。こちらも糸を伸ばして相手を拘束しようとするが、一進一退状態だな。


「粘るね…」


「ならもう終わらせてやるよ」


糸を丸めて固めて相手に投げつける。名付けて、糸弾!(即興)連続で投げまくる。当たったら、破裂して糸が絡みつく仕様のこの技。しかし、なかなか当たらねー。俺ってノーコン?そんな事をしていたら、後ろからの髪の毛に捕まってしまった。しまった!


「…貴方馬鹿なの?」


「誰が馬鹿だ、こっちは大真面目だ!」


「そうじゃなくて、まぁいいやそれじゃいただきます」


そう言って俺を引き寄せる。今度はゆっくりと…しかし。


「接近させたのが、間違いだ!くらえや」


俺は糸を大量に出して太くし、押し潰してやった。体に拘束していた髪の毛がハラハラ落ちていく。


「倒した…かな?」


糸を退かした跡には何も無かった。


「倒したけど、金にならなかったなぁ。あ、もしかして、人食ってたら完全消滅より、カプセル封印のが良かったんじゃね?失敗した」


落ち込み、馬鹿だなぁとつくづく思った。それになんか今日は疲れて駄目だなと感じた。なので、今日はもう換金することに決めた。もう仕事しないと、オッチャンの店へ真っ直ぐに向かった。そして、いつも通り換金してもらい、『隠し事してないか?』というピンポイントで何故かそんな質問をしてくることはあったが、なんとか誤魔化した。店を出て寝床を探し、そのまま1日を終えるのだった。明日の仕事は楽だと良いなぁ。感想文?


ちなみに、金にならなかった化け物口女は二口女(ふたくちおんな)っていうらしい。もっと知識つけろと、オッチャンに怒られた。

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