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数時間は経ったのではないか?長い…それしか感想が出てこない。この女、本当に寿命ドンドン削れてるの理解してないのか?


「なぁ、俺さ実は病み上がりなのよ。なのにその1発目の仕事これって…。早くしてくれない?ちょっと疲れた」


「煩い!だって寿命よ!そんなの奪われるなんて…」


「いやさ、この仕事してて初めてだよ?ここまで決断するの長い人。なんやかんやで、寿命削れるよ?って言うと即契約するか、自力でどうにかするか選ぶぞ?」


「自力でどうにかできるの?」


「契約しなきゃ、俺は助けないからそりゃご本人がどうにかする事になるって」


「勝てるの?」


「んー、今まで見た事ないかな。その後見てるけど、死んでるな全員」


「見てるなら助けなさいよ!」


「だーかーら、契約したら助けるってんだろがい!何回言わすんじゃ、馬鹿やろう」


もーっと叫びながらまた癇癪を起こしてる。これ、永遠にループしない?大丈夫?試しに縛り解こうかな。俺は糸を消した。


「クルシイヨ」


わぁ、真っ直ぐに向かって行く…。俺の事は完全に無視だ。少し悲しいよ、なんて。


「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと!なんで、動けてんのよ!」


「そりゃ、俺が縛ってたのを解放したから」


「はぁ!なんでよ!?」


そんな怒鳴られてもなぁ…。


「命の危機の方が選択しやすいかと?」


「かと?じゃないわよ!この鬼!悪魔!人殺し!」


「…たしかに、なんかやってること悪魔に似てる?うわぁ、嫌だ。変なことに気がついちゃったよ、ショック」


落ち込んでいると、悪霊がドンドン彼女に迫ってる。


「なぁ、こっちに暴言吐くのもいいけど、逃げな?死ぬぜ」


「え?」


彼女は迫ってる事に気がつくと逃げた。なので、追走する。


「さぁさぁ、どこまで体力が保つか。ところで契約する気になった?」


「そんなの考えてる暇ないわよ!」


「ナンデ〜クルシイヨ〜」


変な追いかけっこをしつつも全然答えを出そうとしない。もう、見捨てようかな。付き合ってられない。


「そっか、じゃ、俺行くね?サヨナラ」


「え?ちょっと待ってよ!なんで!助けてよ!」


「いや、長いし。腹減ってきたし。答え永遠に出なさそうだし」


「そ、そうだ!ご飯奢るわ!」


目の前に札束を見せる。すると目を見開き驚いていた。


「お金ならあるので、それじゃ」


「待って…」


「クルシイヨ〜ナンデ〜」


「いや、いやいやいやいやいや…誰かー!」


振り返ると、捕まっていた。こちらに手を伸ばしてる。顔は絶望し、体がドンドン悪霊に飲み込まれてる。ああ、吸収されんだなと思いながら、見ていると彼女の声が微かに聞こえた。


「します」


糸を伸ばして彼女を引っ張り出す。これで勘違いなら、またあの幽霊に投げ返せばいいだけだ。


「しますって聞こえたけど、契約すんの?」


「…します、助けて。お願い」


「早くすれば…まったく長いんだよ…」


そう言って彼女を地面に下ろし、悪霊に対峙する。


「なんか、恨みとか色々あるみたいだけどすまんね、諦めて消滅してくれ」


「クルシイヨ〜」


糸を巻き付けそのまま引き、バラバラにする。こんなあっさりな仕事にどんだけの時間を…。


「さて、終わったよ。なので血を少し貰うね」


「え?寿命じゃ?」


「相手の体液なの、収集方法が。ちょっとチクッとするよ」


そう言って、血を採取した。


「これで、寿命が減ったのね…」


「まぁね。そういえば、他にもあの悪霊の子虐めてた!って言ってたけど。その他の子は平気なの?」


「知らないわよ」


「えー、薄情な」


「かなりの人数で虐めてたもの、先生だって黙認してたわ!なのになんで私が…」


「…まぁ、今度からはそんな事しないように。そろそろ現実世界に戻る時間だから、サヨナラ〜」


何か、言おうとした彼女は消えた。現実世界に戻ったのだ。さてさて、俺は。


悪霊の子の制服を見て、その学校に来てしまった、俺。なんとなく気になるんだよね、しかもこんな時の勘は当たる。校門を通り、校舎内に入った。普通の子なら、肝試しって感じだよな。ブラブラしてると、居た…。さっき消滅させた子である。


「ナンデ?ミンナイジメルノ?モウ、ツライヨ」


俺がさっき倒したのは、コノ分身だ。よくあるケースだ。死んだ子がその場所に魂が残って、

念を飛ばして別の場所に自分の分身を〜なんて話は。こうなると、元を叩かないと意味がない。恨み、悲しみ、絶望などが強く残った時に多く見られる現象だ。


「虐めって言ってたからな、心配して来たらドンピシャ」


「ダレ?」


話せる理性は残ってるのか。


「どうも、分身の方とは会いましたがこちらの本体には初めまして、俺は夜夜刺と言います。まぁ、簡単に言っちゃうと幽霊とかそんなのを退治しちゃうぞ!的な仕事してます」


「シンダ…ワタシヲ、タイジニ?」


「まぁね、気がついてるか知らんけど、おたくね自分の恨みの念を飛ばして、虐めてた人を襲ってたんだよ?さっきその分身倒しちゃったけど、俺」


「ソウデスカ…」


「沢山あるだろうけど、一応聞くね?思い残す事は?」


そう聞くと彼女は悲しそうな顔で。


「…ナンデ、ワタシ、シンジャッタンダロ。モウスコシ、ガンバレバヨカッタ。ソウオモイマセンカ?」


と言われたので、俺は。


「…そうだね、来世に幸せがあるよきっと」


そう言って彼女にカプセルを投げ、封じた。こんな時、俺は何を言えばいいかわからない。だから、毎回こんな簡素な言葉を言ってしまう。それでも、未練がないか一応聞くのだ。もしかしたら叶えられるかもしれないと思って。成功した事ないけど…。彼女を封じたカプセルを見ながら、ため息を吐いた。


「こんなもんだよな、所詮俺は」


腹が減った〜腹が減った〜、切ない気持ちでも腹は減る〜。こんな日には焼肉屋で豪勢に食事だ!


「ギャー!」


ん?なんだ、今の叫び声は。叫び声の方へ行くと、なんか…倒れてる人いるんだけど。しかも…死んでる?その人は背中がバッサリと斬られてた。


「契約してねぇよ!する暇な!てか、通り魔?これはなんだよ!」


そう叫んでると、死体は消えた。チッ、現実に消えたか。調査しなきゃな…。飯が遠いぜ。

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