南極紛争(二章)
「はぁはぁ」
南極帝国 首都 ケーソン
クーデター当日、城門から妃の間へ全力で走るペンギンがいた。
ギンペイ・ストリード・ケベ
南極帝国陸軍宮廷護衛部隊大佐だった。
ドタドタドタ、ガチャッ!
ギンペイはドアを勢いよく開け「姫様!」と、叫んだ。
「ギンペイ・・・何があったんだ教えてくれ!」
マリン・ストラーダ。南極帝国の初代王妃である。
「ギオン様が!謀反を起こしたのです!」
「何っ!?」
ギオン・ストラーダ
南極帝国第一王子の彼が謀反──というよりはクーデター──を起こしたのだった。
「あいつは・・・あいつは親の顔を覚えてないのか!あいつが刃を向ける相手は実の親だぞ!」
「しかも」
ギンペイはさらに信じられないことを言った。
「フウ様もレギン様も、クーデターに参加しています」
「─────っ!?」
マリンを襲ったのは軽い絶望と驚きだった。
「ならば!私が言ってあいつらを収めて・・・」
「だめです」
「なぜだ!」
「もし!マリン様が行かれたら!」
ギンペイは私の足下を指して言った。
「この!ギン様はどうなるのですか!?」
ギン、それは私の末っ子だ。齢一歳。まだ逃げられる年齢ではない。
「マリン様」
ギンペイは言った。
「ここは私にお任せを」
「ギンペイ!それではあなたが危ういではないか!」
「問題ありません!私なら必ず!」
そのときだった。外から声がした。
「ここがマリンの部屋か!?」
「そうだ!突入するぞ!」
ドタドタドタ
「マリン様!ギン様を連れて逃げて!」
「ギンペイ!死ぬなよ!」
「御意!」
私は、絵画をずらし、壁の穴からギンを抱えて逃げ出した。
暗く狭い通路、何度か頭や飛べない翼をぶつけながら走った。城が完成したときに一度だけ通った通路。
こんなことになるなんてわからなかったからどこをどういけばいいのかいまいちわからない。
どこかから銃声が聞こえる。通路の中からではないと信じ道を進み続ける。
何度目の曲がり角だろうか、不意に光が見えた。私はそこに向かい走った。
そこは城の裏庭兼宮廷護衛部隊の屯所だった。そこに一台の装甲雪上車と、「マ、マリン様・・・でございますか?」と聞く一頭の象がいた。
「お、お前は何者だ!クーデター参加者か!?」
その象は答える。厚着しているがかなり寒そうに言った。
「ギンペイ・ストリード・ケベ様の以来を受けて来ました!ジャーナリストのジャンボと言います!」
「ギンペイの・・・?」
「その通りです」
「あいつ・・・やるじゃないか」
「早く!車に乗ってください!追手が来るかも知れません!」
「わ、わかった」
私は再びギンを抱え直し雪上車に乗ろうとした。
タンッ!
「!?」
「マリン様!」
突然聞こえた銃声。私は背中に被弾していた。
赤い血が垂れる。ナイフで羽を傷つけたときより遥かに痛い。
「早く!」
ジャンボが叫ぶ。そのときだった。
ギンの体が輝きだした。
「え?」
ギンの目にはたくさんの、理解できない文字がかかれた紋章がかかれていた。
刹那、ギンの体から白い光が飛び出した。それは音を残して飛び・・・銃声のしたほうで爆発。断末魔が聞こえた。
「──────っ!?」
「な、何があったんですか!?」
ジャンボが尋ねる。
答えは私にも明瞭ではない。しかし、ひとつわかることがある。
ギンは「能 力 者」だ。
私はジャンボに「とにかく逃げなければ!」と、いい雪上車に乗り込む。
銃撃を巧みにかわし───正確には少し当たったが───なんとか撒くことができた。
「マリン様」
ジャンボが呼ぶ。
「なんでしょう?」
「ギンペイ様より『逃げる先は神都にしろ』とのことです」
「神都?」
確か、東アジアの国家だったか。今は日本の保護国のはず。
「なぜなんです?」
「あそこは我々のような者──アニマノイド──を移民として受け入れているそうです」
「なるほど・・・」
私達は港にたどり着き船で脱出した。
「さようなら・・・南極・・・」
1994年、7月1日。
「マリン様!マリン様!」
「ぐっ・・・はぁ、はぁ・・・」
あの時・・・銃弾を受けたマリン様は満足な治療ができておらず、傷口から病気になり床に伏していた。
私は必死にマリン様の看病をした。そのときだった。
ガチャ
ドアが開いた。
私は振り向いた。そこには────
一羽のペンギンがいた。見覚えはない。
「・・・何者だ」
「マリン・ストラーダはいるか?」
南極王国民ならマリン様と呼ぶはず。つまりこいつは・・・。
「私は、南極帝国軍だ。マリンの身柄をいただきたい」
隠れ場所がばれていたということに驚き私は絶句した。
「───断れば?」
「残念なことだが」
奴は銃をこちらに向けた。
「あんたら全員を殺す」
「なるほど・・・」
「どうするんだ?」
奴の口角が少しだけ上がる。笑っているのか。
「断る」
「なら、死ね」
奴が引き金を引こうとした瞬間、奴の体が唐突に宙を舞った。
「マリン様に触れるんじゃねぇ!」
ジャンボの息子達が小さな悲鳴をあげる。
ジャンボがその大きな拳を振るったのだ。すぐさま後ろにいた兵士が銃を構えつつ駆け込んでくる。それを投げ、殴り、吹き飛ばした。
「はぁっ!はぁっ!」
ジャンボの右腕(右前足)は鈍く光っていた。
「使いたく無いものだったが・・・仕方あるまい」
それは「能力」。摂取した食物の量に比例して大きな力を出す能力だった。
「マリン様!」
私は叫んだ。
「大丈夫ですか!マリン様!」
ジャンボはだんだん涙目になり、すこしづつ目から涙が溢れていた。それはマリンも同じだった。マリンの命は、もう持たないだろう。それを悟ったマリンは言った。
「ジャンボ・・・さん」
「な!なんです!?私にできることならなんなりと!」
「遺言だ」
「遺・・・言・・・」
ジャンボは言葉を失った。
「そんなこと、言わないでください!マリン様にはまだまだ生きてもらわないと!だから・・・だから!」
「そんなこと言ったって・・・」
マリンは続ける。
「私は限界なんだよ・・・」
「マリン様ぁ!!」
マリンはかすれた声で言った。
「遺言だ」
「ギンを、育ててくれ」
二人の涙が零れる。
涙ながらに言った。そして────
ピーーーーーッ!
マリンは死んだ。しかしマリンの魂は残っていた。
この事をジャンボ達が知るのはまだ先のことである。
「くっ!」
「フォックス・ツー!」
「ふんっ!」
南極海上空ではPG-1993とF22の空戦が繰り広げられていた。かたやソ連の旧世代をもとに開発された機体。かたや最新の第5世代戦闘機。推力偏向ノズル持ち相手に互角に戦うPGはまさに化け物だった。そこにだった。
「日本じゃこれを助太刀と呼ぶそうだ!」
叫びながらスティーブンは僚機を引き連れ空戦に混じった。
F22が護衛に復帰するのを見届けスティーブンはマニューバを開始した。
エアブレーキ。エルロンロール。からのバレルロール。
シックスを取るには重要なテクニックだ。しかし・・・。
「クソッ!」
スティーブンは悪態をつく。後ろにつけないのだ。凄まじいGをかけ、最強の制空戦闘機が思いっきり旋回しても裏をかかれる。
「仕方ねぇ!」
スティーブンは増槽を捨てることを選択した。
タスマニアまで帰れるかわからないがいまは空戦だ。僚機も増槽を破棄したようだ。
増槽無しの最大Gで旋回する。
それでもPGは回避し続けた。
「おかしい!なんで旧ソ連機改良なのにここまで曲がる!?」
PG-1993はどう考えてもラプター並みに旋回しているのだ。
この機体ならそんなGをかけたら空中分解するはずだ。
「ん?」
スティーブンはある違和感に気づいた。僚機とドッグファイトしているもう一機のPGは目の前の物より旋回していないようなのだ。
「───まさか!?」
スティーブンの頭に一つの可能性が浮かぶ。確証はないがこうでもしないと説明できない。
『ギータ・ストリードは能力者だ』
ヒントはこれだ。目の前のPGに乗ってるのは・・・
「間違いねぇ・・・てめぇだな?ギータ・ストリード・・・」
「ご名答。観察眼はさすがだな」
聞こえない声を聞いたギータは呟いた。
「ギータ・ストリード。あいつの能力は・・・」
「力 学 的 エ ネ ル ギ ー の 変 更 だ」
『正解だ』
「!?」
スティーブンの耳元から誰かの声がする。僚機ではない。CCPではない。では誰だ?
『なぜ通信できるのか。驚いているようだな』
「あ、ああ。ナニモンだてめぇ」
スティーブンは辛うじて冷静さを取り戻す。
『わかってるんだろ?』
「お見通しってか?ギータ・ストリード』
『当たり前だ。さて、貴様は今から俺が墜とす訳だが、遺言はあるか?聞くだけ聞こう』
「その前にあんたの間違いを訂正させてもらおうか」
少しの沈黙。そして。
『俺がお前に殺される訳がない、とでも言いたいのかな?』
軽い狼狽。そして
「わかってんじゃねえか!」
スティーブンは叫ぶと機体を逆バンクさせPGの方へ。
通信は切れてしまったようだがまだ聞こえてるように思えた。
ギータはまだ凄まじい機動をしつつ逃げる。
スティーブンはトリガーに指を掛けた。
「フォックス・ツー!」
サイドワインダーの発射コールだ。右主翼に懸架されたサイドワインダーが火を吹き飛翔した瞬間。
「!?」
PGは視界から消えた。
「くそっ!」
ショートカット・バレルロール。
エネルギーを操作するギータだからこそできるマニューバだ。ミサイルが来ると同時に斜め上方向にロール開始し、エアブレーキ、エンジンカット、能力発動により一気に減速し本来のバレルロールより遥かに短い軌道で相手のシックスにつくものだ。
ギータはトリガーを引いた。
「あ゛あ゛!!」
スティーブンは必死で操縦棹を倒し回避軌道を取る。
左主翼に命中するもイーグルはこの程度では墜ちない。
右にロールしつつ機種を上にしスティーブンはカウンターをかけようとした。しかしギータは離れていく。僚機はもう一機を追い離れたようだ。ギータの位置を読み、急旋回をする。速度はマッハ1.5。一キロをわずか二秒で飛び去るスピードだ。そんな中わずか三キロ先にギータはいた。同じように急旋回している。レーダーは吹雪で狂ったのかうまく働かない。
「!?」
「!?」
スティーブンもギータも目の前に自らの敵機を見つけた。コールも言わず吠える。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
「──────っ!!」
イーグルの機関砲とPGの機関砲が吠えた。相対速度3500キロ以上のヘッドオン。衝突を避けるためギータは回避機動を取ろうとした。しかし、それは既に遅かった。左ロールし降下するギータの機の左主翼に上昇するスティーブンの機の右主翼が接触。文字通りちぎれて外れて飛んだ。
強烈なGがスティーブンを襲う。
「ぐっ・・・ゲボグァァ!!」
あまりのGにスティーブンは吐いてしまった。ブラックアウトの中、スティーブンは脱出装置のスイッチを押した。
パラシュートで地上に降下したスティーブンの元にいたのは・・・ギータ・ストリードだった。
「・・・てめぇがギータか」
スティーブンは問いかける。
「いかにも。その通りだ」
まだ15歳とは思えない堂々とした風格だった。
「俺はてめぇに言わなければいけないことがある」
「こちらも、一つ、な」
『君を・・・殺す!!』
パラシュートに仕込まれていた拳銃を持ち、スティーブンは引き金を引いた。その瞬間、スティーブンは左足を失った。
「───────────────っ!!」
「・・・次は耳だ」
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
スティーブンは絶叫していた。この痛みは形容し難い。なんとも言えない鋭く恐ろしい痛みがスティーブンを支配していた。
スティーブンの思考は事実にようやく追い付いていた。ギータが急旋回中に獲得したエネルギーをどうやったかはわからないが保存し、拾った氷にそのエネルギーを与えて左足を切断したのだった。スティーブンはかろうじてこの事実を理解した。気温で冷やされた頭は少し冴えたからだ。しかしそれは非情にもスティーブンの体温を奪う。失った左足の付け根辺りの血液は凍ろうとしていた。氷の大地に打ち捨てられた左足は温かい血液の恩恵を受けることができず白く凍った。そんな状態のスティーブンを南極の気温より冷たい瞳で見るギータがいた。ギータは再び氷を持った。そしてエネルギーを与えようとして、止まった。スティーブンを一発で葬るだけのエネルギーが足りないことに気づいたからだ。
「チッ」
(どのようにやるのかは知らないが)ギータは舌打ちした。生憎、武器は持っていない。しかし、ペンギンの翼は硬く強い。殴ればスティーブンは死ぬだろう。ギータはスティーブンに近付いていく。そのときだった。スティーブンがはずさずにいたヘルメットの無線から声が聞こえた。
「スティーブンさん!」
僚機からの声だった。そして氷の大地に一筋の銃痕がついた。
「チッ!」
ギータの羽に血が飛ぶ。僚機からの機銃掃射だった。
エンジンの音が残る。風が揺れ氷片が舞う。光の反射が眩しい。サングラスをしたままでなければ雪盲にでもなっていたかもしれない。
ババババババババババババババババババババ
(ヘリコプターの・・・音か・・・?)
スティーブンは声が出せなかった。
「ギータ、乗りたまえ」
ヘリコプターから声が聞こえる。
「あばよ、スティーブン」
ヘリコプターは去っていった。
(なんであいつ俺の名前知ってんだ・・・?)
スティーブンの意識は消え去ろうとしていた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
大型のエンジンがうなる。最高40ノットを越えるその性能はこれから始まるこの国の発展が始まったことを象徴していた。
中国海軍初の正規空母『北京』は多数の艦艇を引き連れひたすら南極を目指していた。大陸まで約1500kmの所で艦長の馬は特使を乗せた輸送機を発艦させた。
特使である周年中はケーソン空港に無線で呼び掛けて無事着陸した。
「もてなしもないのか」
「そのようですね」
周は残念そうに言った。
「仕方あるまい。我々が教え込まねば」
周は用意された黒塗りの雪上車に乗り込んだ。
「乗り心地が悪いな。ちゃんと整備されてるのか?」
「周様、仕方ありません。タイヤではなくキャタピラで動くゆえでしょう」
「それにしても乗り心地が悪いぞ。我々の方が上だということは伝えたのかね?」
「直接伝えはしませんでした。ただ、やや高圧的に対応させて頂きました」
「ほう」
雪上車は帝城に着いた。
「こちらです」
ややぶっきらぼうな言い方で兵士が案内する。
ガチャ、ゴゴゴゴゴゴゴ
「やたらすごい扉だ・・・」
ガゴンという音と共にドアが全開になり、凄まじい覇気とも思える威圧感が使者達の感情を支配した。
「私が南極帝国皇帝であるギオン・ストラーダである」
ギオンが挨拶する。
周が口を開いた。
「一つ聞きたいが、あまりにももてなしが無いが?貴様らは我々客人が来ていることを自覚しているのか?」
「急なこと故だ。許してくれたまえ」
ギオン、周、そして側近たちはテーブルに腰かけた。
「アイスティーしかしかないが、構わぬか?」
「この氷の地でアイスティーか?暖かい物を所望するが」
「セイ!」
ギオンがメイド長を呼ぶ。
「ハッ!」
「今すぐ珈琲を手配しろ、貴様らの落ち度だ」
「わ、わかりました!」
メイド長が大急ぎで外に駆けでる。
周はアイスティーを少し飲み会談を始めた。
数分後、メイド長が珈琲を持ってきたが少し飲んだだけでそのまま要求を伝えた。
一、南極帝国は中国と手を結ぶこと
二、我が国と不可逆的同盟を結ぶこと
等を要求した。
「なるほど・・・今後あなた方は成長するであろう。そのような国と組むのは丁度いい、と」
ギオンは答えた。
「断る」
「なにぃ!?」
目を剥き驚いたのは周である。南極帝国側はこの提案を飲み、他国との戦争に勝ちに来ると思っていた周には大誤算であった。
「な、なぜだ!」
ギオンは表情を歪めた。
「貴様らのような下等な人間風情が何を言うかと思えば我々を隷属させると?寝言と言うものはベッドの中で言うものだ」
「隷属、だと?ふざけたことを言うな!俺はそんなこと」
「貴様の心だよ」
「!?」
「読心だ」
「な、何を根拠に・・・正しい根拠を言え!」
「どちらにせよだ」
「・・・ならば貴様らは負けるぞ」
「嘗めているらしいな」
「ペンギン風情が・・・調子に乗ったもんだ」
「交渉は決裂だな、セイ!お送りしろ」
「承知致しました、陛下」
周は輸送機に乗り込んだ。
「空母まではお送りしよう」
「なんだ、護衛など要らんぞ」
「気が立った若手の将校に撃墜されたくなければ同行させることを推奨する」
「チッ、わかった」
「馬さん、周特使が帰ってきたようです」
「おや?早いな。交渉決裂したのかね」
「しかし、なぜか高度が高いのですが・・・」
「何?」
「周特使!応答してください!周特使!」
「艦長!応答がありません!」
通信士から悲痛な声が聞こえる。
「ま、まさか・・・」
「邦軍輸送機!急降下開始・・・あ、あれは!」
「どうした!」
馬はあわててレーダールームに滑り込む。
「すぐ後ろに敵機!輸送機!燃えてます!」
「何!?」
馬は理解した。
南極帝国はこの空母を輸送機の体当たりにより沈めるつもりだと。
「全速!対空放火!回避軌道をとれ!」
「了解!」
『了解!』
甲板横から飛び出した30mm機関砲12門が輸送機をめがけて斉射し始めた。そして・・・
ズドン
「はぁ・・・生きてるのか?」
『艦長』
コントロールルームから声が聞こえる。
『左舷すれすれに墜落した模様!帝国機が降下してきます!』
「しまった!急いで撃墜しろ!」
「J8Ⅲ発艦させています!」
「駆逐艦団!対空放火開始!」
「・・・ん?」
ここは・・・どこだ?俺はどうなった?足は・・・右は動くが左はダメか。手は動くか。目は・・・開いた。
光が目に入る。眩しい光と白い天井が視界を支配する。
俺はまたやられていたのか。また重傷で医療センターにでも担ぎこまれたのか。
ピッ・・・ピッ・・・ピッ・・・ピッ・・・
機械音と共に自分の心音が聞こえる。生きていることは間違い無いようだ。
「お前は本当に運がいいな・・・」
声がした。
「だ、誰です・・・?」
マスク越しに見えるのはどこかに面影がある人物。ゴードン大佐だ。
「ゴードンだ。久しぶりだな、スティーブン」
「久しぶり・・・?」
久しぶり?久しぶり?ん?
「ちょっと待ってくれ!」
スティーブンは叫んだ。
「久しぶりってどういうことだ?俺は何日寝てたんだ!?」
「・・・」
「1995年1月10日」
ゴードンは呟く。
「お前が重傷で帰還し、集中治療室に入ってから一年と十ヶ月」
「・・・!?」
なんだって?ほぼ丸二年も寝ていたのか。
しかし二年も経っているのならさすがに終戦を迎えているだろう。俺は引退し後進の育成にでもあたった方がいいかもしれないな。
ウーーーー!
スピーカーからサイレンが聞こえる。
「スクランブル!スクランブル!」
騒ぎが聞こえる。
スティーブンは絶望した。
一方そのころ、日本の東。
そこに浮かぶ島に、神都共和国という国がある。
いや、あったと言う方が近いかも知れない。なぜなら。
計画経済が破綻し、西側諸国に助けを求めるも意味なく、アメリカの準州になるはずがなぜか日本の保護国になった国だった。
その国の長、国家首席のヤスノブ6世はアメリカからの書簡を見つめていた。
「西側の一員として活躍しないか?」
どうもIsです。アイデアがたくさん出ては消えていくんですよね・・・。全部形にすることはできないのでアノードさん頑張れ。
アノードです。
筆が進みませんどうしたらいいですか()
さて。ようやくオリジナル国家が出せました。
オリジナル国家自体はIsさんと出そう出そうと言ってようやく出せたものだったりします。
ちなみにこの神都ですが、YouTubeで品川家プロジェクトと検索していただくとA列車で行こう神都開発記という動画が出てくるのでそちらもご覧ください。
ちなみに私がやってます。