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海軍陰陽零観隊  作者: 第三郡二十一隊
9/21

真弓少尉

「う、うーん、また……、また気絶をー、ギョ!」

「あ、気が付きましたか宮崎さん。痛みはどうですか?」


 股の間でシャロン少尉が私の膝をさすっている、これはー。


「本当にごめんなさい、治療はだいたい終わりました。式神のコントロールがなぜかうまくできなくて。何だかこの子張り切ってると言うか……。許して頂けますか?」


 式神にそんな気持ち的な物があるのかな?

 うっ、それより私の股の間からウルウルした目で見上げないでくれ!


「もう全然痛くありませんので、ゆ、許します、許しますから」

「ありがとう!」


 おおっ、少尉が嬉しそうに立ち上がると、目の前で少尉の胸も嬉しそうに揺れる! あ、イカンイカン。


「そ、それより少尉、汽車が止まっている様ですが……」


 窓から外を見ると駅に到着していた、駅の構内は相変わらず蒸気で煙っている。


「そうでした乗り換えです、皆には先に行ってもらってます。なので急いで!」


 少尉が通路を走り出すと私も出口に向け勝手に立ち上がり、少尉の後を追い始めた。


「わっ、また、ダメです。ホームにはー、ギャーーッ」


 ホームに飛び降りるとそこにはまるで雲の様に白い蒸気がー。って、それ以上に人がー多い! 蒸気が消えるほどに。た、助かった。


「今ちょうど込んでいる時間帯なので騒がないで下さい」

「待って下さい少尉」


 シャロン少尉は人の間を巧みに抜けて行く。うわ、後ろに張り付いている式神だったか、そんな強引に進むな。人を跳ね飛ばしてるぞ!


「すみません、あ、ごめんなさい、すみませーん。避けて下さいー」

「あっ、お姉様! こっちです、早く、早くぅ」


 階段を下りて登り、ホームを進むと少し離れた客車の窓から手を振るクレアが見えた。しかし更に人が多くてなってなかなか進めない。

 その時、又真横の汽車が盛大に蒸気を排出した。しまった! 不意を突かれた。


 プシュー――ーーーーッ!


「うぎゃあぁーーーーっ! ガク」



 ……気が付くの目の前に真弓少尉の上気した顔があった、なんてこった、また気を失っていた。


「やっと気が付きましたか宮崎二飛曹」


 私を責めるような物言いにー。


「真弓少尉! これはー」


 周囲を確認するとそこは満員の車内、私は壁に背中を預けている真弓少尉を守る様に両手両足を踏ん張っていた。

 えっ? まてよ、私の短い手足で真弓少尉を守る事は不可能だ。となるとー、私の両手の先から式神の白い腕が伸びて壁に突き刺さっている。足もきっとそうなっているのだろう。


「ンク、お礼は申しませんわよ、殿方がわたくしを守るのは当然の事なのですから。アン。け、結構逞しくていらっしゃるのね?」


 い、いや、これはただの贅肉ですから、それに式神が勝手にーって、真弓少尉の顔がー、真っ赤だ!


 ポヨン、ポヨヨヨン!


 あ! 私の胸の贅肉と真弓少尉のスイカ並みの柔らかな胸が変形して波打ってー、客車が揺れるたび押し合いをしているー! これはまずい。きっと、きっと先端がこすれてる! もちろんわわわ、私のもー。


「あ、あぁっ、クッ」

「し、少尉、真弓少尉殿!」

「な、何ですか? ウッ」

「方向転換、できますか?}


 真弓少尉は少し意外な顔で私を見ると。


「そ、そうですね、やってみますわ。うっ、クゥウウウン!」


 真弓少尉は素直にそう言って肩をすぼめて、グッグッと私に背中を向けようとしたが、私の胸とお餅のようにくっついて中々ズレない。


「あ、あの、もう少し引っ込めて頂けます?」

「ど、努力します!」


 息を吐いてどうにか真弓少尉は回転した。ふう、これで何とかー、じゃない! 今度はお尻が私の股間にー。


「あ、あの、宮崎二飛曹」

「グッ、な、なんですか?」

「先ほどからわたくしのお尻になんだか固い物が当たっているのですー、が」


 ヒッ、振り向いて横目で睨まれた。


「あ、これは、け、拳銃です」

「拳銃?」

「そうです拳銃です! 航空兵は腰に拳銃の携行を許可されているんです」

「クゥッ、そうですの、できれば少しずらして頂ければありがたいのですが……」

「わ、分かりました、やってみます。よっ、と、張り付いててなかなか動かない……。少尉の方で動けないですか?」

「し、しょうがないですわね、少し上の方にー」


 ちょっと少尉! そんなにお尻を付き出したらー。


「ヒウン! そ、そこは、ダメです、違う所ー、アアン」


 ガタン! ギシッ!


 うわ! 列車が大きく揺れて式神の腕が大きく撓んだ。結果私はー、真弓さんの首筋を口に咥えてしまった。


 カブ。


「ヒゥウウウウン! な、何をなさるの!?」

「ひゅみまひぇん、ふごけなひんれふ」

「アァン、し、喋らないで! ハァハァハァ。あぁ……」


 か、完全に真弓少尉を壁に押し付けてしまって二人とも身動きができなくなってしまった。

 あぁ、真弓少尉の汗の香りと味が口いっぱいに広がって来るー。 

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