生意気な小娘クレア登場。
人型の紙はまるで小鳥のように高く舞い上がると、いきなり私と同じぐらいの大きさになり急降下してきたと思ったらー、ビターーーン! と背中に衝撃を受けた。
えっ、何? 今何された? 紙が背中にー。
「おねーーーさまーーー! ゲホゲホゲホ」
通りの向こうをバスが走り去ると、バス停に赤い髪で黒いワンピースを着た女の子多分小学生らしき少女が手を振りながらこっちに駆けて来る。腰のベルトのバックルは軍が設立した陰陽師学校の☆の形をした校章がはめ込まれている。それにしてもまた外人か。
「クレア! 付いてきたの?」
クレアと呼ばれた少女は身軽に飛び跳ねながら、クラクションを鳴らす車を避け少尉の前に降り立った。
「ハアハア、ハアー、当たり前です! クレアはシャロンお姉様の従卒です、お姉様ある所クレアちゃんあり、です!」
少尉は頬を膨らませ怒る、怒るときに実際に頬を膨らませる人を初めて見た。
「もークレア! また術を使ったわね、あれほど精神支配の術はー」
「人事課のおっちゃんには使ってないよ、事務の女性を紹介してあげただけだよ」
「事務の女の人に使ったのね?」
「えへへ、すぐ解けますよ」
少尉は諦めたように大きく溜息をつくと。
「仕方無いわねクレア兵長、付いてきなさい」
クレアと呼ばれた少女は、パアッと咲く花のような笑顔になってから。
「はい! 時にこの子豚はなんなんですか?」と、私に向かってジト目で睨んできた。
こ、子豚!
「誰が子豚だっ、俺は十七才で階級もお前より上だっ!」
「えーーっ、まさか、本当なのですか? お姉様!」
失礼な上に騒がしい奴だ。
「本当よほら、階級章を見て」
「そんなことより、これから又お姉様の事このクレアちゃんがお世話しちゃいますよ」
おい。しかし同じ外人なのにこいつの胸はー。
「なによ、文句あるの? あー、アンタ今クレアにもの凄く失礼なことを思ったでしょー!」
うっ、こいつー。クレアの目が怪しく光った。
「クレア! 術は使わない」
「アウチ!」
少尉のチョップがクレアの脳天を叩いた、クレアは頭を抱えて蹲る。何が何だか分からないが、フッフッフ、ザマア。
「痛いよお姉様~」
私がニヤニヤしてるのに気付いたクレアは。
「このぉー、チビデブ」
ま、まだ言うかっ!
「はいはい、真弓さん達が待ってるからそろそろ行くわよ」
「あ、やっぱり一緒なんですね。はーい」
「えっ、あ、なんと!」
少尉とクレアが連れ立って駅に向かうと、私の体は衣納を担ぐとその後ろをヒョコヒョコと歩き始めた。
「しょ、少尉! シャロン少尉、これは-、待って下さい。いやだ、そっちは、煙が、雲が、あー!」
「うるさいわよデブチン」
「あ、そうそう、あなた達切符は?」
「クレアはちゃんと受領してきたです」
クレアは肩に提げた大きなバックから切符を取り出す。
「私のは胸ポケットにー、おわっ、勝手に動くな」
私の腕が勝手に動いて胸ポケットから切符を取り出した。
「そう、良かったわ。急ぎましょう」
私達三人は薄く蒸気が立ちこめる駅の中へと入った。
誰か、だれかー、助けてくれー。




