日米開戦
「加藤!」
「お嬢様、お待たせして申し訳ありませんでした。それにご期待に添えず・・・・・・」
「いいえ、加藤が帰って来てくれて良かったですわ」
私達がゾロゾロと隊長室に入ると既に加藤三曹は室内に居て真弓少尉に深々と頭を下げた。
「申し訳ありません宮崎様、私の知人で催眠術の得意な者が居たのですが、まさか若くして亡くなっているとは思いもよらず……」
「そんな、亡くなられていたのなら仕方ありません。その方はお幾つだったのですか?」
私が問うと加藤三曹はー。
「はい、まだ九十二歳でした」
「え、……若くしてー」
「はい、まだ百にも達していないのに」
加藤三曹、あんた幾つなんだよ。とは怖くて聞けなかった。
「はい静かにして~。みんな揃ったわね、昨夜ハワイの真珠湾に停泊中の米艦隊が魚雷攻撃を受けて全滅とたわ」
「「ええっ!!」」
「我が軍の特殊潜航艇ですか?」
私がそう問うと隊長は首を振り。
「ん~、それは考えられないわ、確かにその作戦は計画されてるらしいけど~。早すぎるし~、米艦隊を全滅だなんて~」
「だとするとー、どこの・・・・・・」
真弓少尉が潜水艦と言えばドイツですわね。といっているが太平洋の真ん中でそれはないだろう。
「それが分からないのよ~、だからね、悪いんだけど一週間後に父島か母島の基地に進出することになったから~」
「一週間後! 飛行機はどうするんです? 訓練も」
「飛行機は三日後に届くようになったから~、訓練も向こうに行きながら途中で行いますよ~」
「マジですかっ!」
「大マジですぅ。なので急で悪いんですけど今日と明日もお休みです~、暫く帰ってこれないと思うので家族を呼ぶなり帰るなりして下さい。あ、二日じゃ無理か。あはははは・・・・・・ごめんね」
そう謝る隊長の目はゴーグルでよく見えない。
「あ、そうそう~、てねぇ、米国は日本の攻撃とみなして一週間後、大使館の撤収を持って開戦するみたいなの~」
「「「えっ?」」」
クレアやシャロンは勿論、皆ピシっと固まった。
「「「それを早く言って下さい!」」」
「お宝処ではなくなったでおじゃる」
「そうね加藤、急いで連絡を取って」
「はいお嬢様、直ぐに土御門様のご両親と一緒にお連れ致します。宮崎様はどう致しましょうか?」
「え、私ですか?」
隊長室から出るなり両親を連れてくるとか凄いことを言い出したんですけど、東京からここまで何日かかるとー、いや加藤三曹ならできてしまいそうだ。
気になるのはシャロンとクレアだ、さっきから黙りこくってる。
「私はいいです、ここから近いですし」
「そうでしたわ、宮崎様は九州のご出身でしたわね。それでは加藤お願いね」
「はっ」
加藤三曹は軽く一礼するとその姿がかき消えた、加藤三曹はやはり魑魅魍魎の類いなのかも。