クレアのパパなのだ。
結論から言ってこれも失敗した。又もや私は気を失ってしまったからだ。
ったく、私の体はどうなってしまったのだろう。このままではー、クソ。
仕方無く今度は加藤三曹が考えたプランB 催眠術を使う事となった。催眠術を使って雲が恐くなった原因を探ろうと言う訳だ。
だが四人とも催眠術は得意ではないらしい、クレアはできそうな感じだがクレアは操るのは得意だが深層心理を探るのは無理、だそうだ。
それに催眠術は専門家じゃないと危険らしい。なので加藤三曹が専門家を連れてくるために隊から消えてしまった、外出届けを出さないまま。
「集まったでおじゃるか? では話すでおじゃる」
一時的に暇になった私達を麻耶少尉が加藤三曹が建てた何処の貴族の豪邸だっ、と突っ込みたくなる様な邸宅のリビングに集めた。
「うわ、この家具や調度品は一体いくらするんだろー」
「触らない方がいいわよ子豚」
「ヒッ! 脅かすなよクレア……」
危うく花瓶を突き飛ばすところだった。こいつ、ワザとだな。
少尉たちはテーブルを囲んで柔らかそうなソファーに座っている。
「見つけたのね麻耶さん!」
「凄いわ! 今度は何かしら」
「クレアも、今度はクレアも一緒でいいんでしょ!? お姉様」
みんな興奮してる・・・・・・、一体何を見つけたのだろう。と思っていると何やら隊門の方が騒がしい。
「私がちょっと見てきますね」
玄関のドアを開けるとザワザワした中誰かを呼ぶ声が聞こえてきた、良く通る声だなぁ、誰を呼んでー、ん?
「クーレアーパパだよー、出ておいでー。クレアー」
クレアのパパだって!? 小走りで隊門へ向かってみる。
「あーサンダース大佐、先程から言ってるがクレア兵長はここには居ません! お引き取り下さい」
門まで行くと、数名の門兵と結城隊長が米海軍の制服を着た恰幅の良い男性と押し合いをしていた。
「隊長! どうしたんですか」
「あっ、宮崎君! みんなをー、あちゃー」
隊長は振り返り私の後ろを見るなり頭を抱えた。
私の横をクレアがすり抜けて飛び出して行き、将来鶏の唐揚げを売って大もうけしそうな海軍将校に飛びついた。
「パパー! 何で? どうして来たのぉ」
クレアのパパはクレアを抱き上げ頬にキスをすると左脇に抱えて。
「ハハッ、パパビックリだよ、学校行ったらクレアが居なくなってるじゃ無いか。一生懸命探したんだからね?」
「ごめんなさーい。急だったのぉ、シャロンお姉様がー」
隊長はばつが悪そうにクレアのパパに声を掛ける。
「あの、た、大佐、これはーその・・・・・・」
「おー、分かってますなのだ。クレアは日本の極秘プロジェクトに関わってますね? 私はクレアのパパとして面会に来ただけです。本国にはないしょなのだ」
「そ、そうして頂けるとー、助かります大佐。お願いします」
えっ、えーーっ! クレアのパパは米海軍士官?
「ん? この男の子はクレアの友達かい。どうも、私はサンダース、カーネルサンダース。クレアのパパなのだ!」
うっ、うわーこれはまたー明るいと言うか大雑把と言うか、ハッ、しまった。
「あ、失礼しました、私はー」
「いいえ、こいつは私達の下僕よ。なーんにも役に立たないけどねぇ」
こっ、このぉ。
「クレア!」
「あ、しまった。ごめんなさい」
サンダース大佐はクレアを下ろすと。
「まだ私の言う事を理解していないのだ、クレア。いつも言ってるのだ? 人を敬い、人を侮辱するような事を言わないようにと」
「・・・・・・はい、ごめんなさい」
何てことだ、あのクレアが借りてきた猫みたいにー。
「謝るのは私にでは無い、こっちの子豚のように良く肥えた男の子にだ!」
こ、子豚!?
「ププッ、本当にごめんなさい、子豚ちゃん。プッ」
あに笑ってんだクレア!
「オーウ、まったくクレアはもっと厳しく教育すべきだったのだ。すまなかったのだ子豚君」
「クッ、あ、あの私は子豚ではありません。私は宮崎二飛曹です」
「えっ? お、オウソーリーソーリー髭ソーリー! 申し訳ないのだ」
この外人は一体・・・・・・。
「叔父様! 久しぶりです」
気付けば今度はシャロン少尉が飛び込んできた!
大佐はシャロン少尉を受け止めると。
「オーシャロン! 元気みたいだねぇ、今日も世のため人のために頑張ってるかい?」
「はい! 叔父様のお教え道理日夜励んでおります」
あー、シャロン少尉の行動はこの人のー。
「おじゃ、やっぱりサンダース大佐だったでおじゃる」
「宮崎様、サンダース大佐はアメリカの駐在武官でシャロンさんのお父上の親友なのですわ」
そうかぁ親友かぁ、今アメリカとは一触即発だからなぁ。シャロン少尉は大丈夫かな?
「あ! 確か私達の部隊は機密扱いじゃ無かったっけ、ヤバイだろ」
「大丈夫ですわ、なにせクレアのパパさんですから」
「で、おじゃるな」
お、おい、駐在武官で大佐だぞ、そんなー。
「クレア、シャロン、それにそこの魔女ーいや、陰陽師の諸君。君達はその特別な力で世の人々を救い助け、貢献しなければならない。国家などはただ人が生きるために必要なだけだ、人が隣人を助け合えば絶対に戦争などは起こらないのだ! 自分を殺して人のために生きろ!」
うわ、この人軍人が言ってはいけないことをハッキリと言っちゃってる!
「ね?」
サンダース大佐は演説を一通り行ってからクレアに手紙を渡し帰って行った。