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亜細亜大戦記  作者: 犬飼 拓海
(別話)ペルシアは世界帝国の夢を見るのか
52/58

理想と現実(ジブリール・ファイサルから友人への手記)(前編)

 ~開戦前~




 開戦する前、もっと遡って、ペルシア連邦成立直後。軍部では「世界帝国論派」と「ペルシア小帝国論派」が対立していた。双方の理論は名前の通り。世界帝国論はアッラーの教えに基づき、中央アジアからヨーロッパ、極東にアフリカ、アメリカに至るまで、『ペルシャ』という全世界を統帥する一大帝国を築こうという、そんな考えだ。そして、小帝国論は真逆。ペルシアの土地の限られた範囲で栄華を極めるというもの。そもそもの本質が違うこの意見は、軍部内に大きな亀裂が入るものであった。そう。まるで昔の日本軍の様に...



 

 そして、2031年、蜂起がおこった。世界帝国派の将校が小帝国派の将校たちを暗殺し、拷問し、軍部の小帝国派の将校や軍人が粛清された。この大粛清で処刑されたものは約100名以上。この中にはオスマン時代からの英雄なんかもいたから、かなり痛手だった。軍の上層部の大半は処刑されて、立て直しは数か月でできると思うが、これから戦争をしていく上では、かなり厳しいものがあるだろう。これから、もし戦争が起こることがあるのならば、その時はこの国がなくなることも、視野に置いておかねばならない。それだけは、覚悟しててくれ。



2031.8/14 ジブリール・ファイサル






 これが、彼の最後の友人への手紙であった。彼は勇敢に、一つの軍集団を指揮し、連合国を追い払っていた。しかし。あの日の攻勢。そう。「アーテナー作戦」を連合が実行したとき、防衛の指揮をしている途中、狙撃兵によって、命を奪われたのだった。

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