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亜細亜大戦記  作者: 犬飼 拓海
日本海軍(後)
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我軍ノ興廃コノ一戦ニ在リ。各員一層奮励努力セヨ(後編)

 海上で艦隊が攻撃している間、空でも敵艦隊から発艦した艦上機と、自軍、すなわち日本軍の艦上機が交戦していた。


 「"イーグルアイ"からピジョン隊へ。『J-25』前方5機よりミサイル発射!計10発!距離50マイル」


 ヘルメットに声が響く、迷ってはいけない。いや、迷ってる暇はない。


 「"ピジョン1"から全機!兵装使用自由(ウェポンズ・フリー)!各自、目標と交戦せよ!」


 氷川三佐は強く言い放った後、一拍置き、


 「迷うな!迷いを捨てるんだ!容赦などしなくてよい!徹底的に、叩き潰せ!」


 編隊飛行をしていたピジョン隊機がミサイルをかわし、散開する。


 

空戦が始まり、その中の一機が敵機に裏を取られる。機内ではビィィ...ビィィ..とサイレンが鳴る。が、コックピットにいる藹柄(あいつか)一尉は冷静だった。ふと、藹柄は不敵な笑みを浮かべ、


 「日本人の技量、舐めて貰っちゃぁ困るぜ!」


藹柄は思いっ切り操縦桿を引き、ローリングの態勢に入る。体にかかる超高Gに意識を奪われないように耐え、敵背面に回る。そして22mm機銃が火を噴き、だが、敵機は急旋回し、弾をかわす。そしてそれに追随して自機も旋回する。


「敵機補足、FOX-2」


藹柄がそう言うと、手元のボタンを押す。と、サイドワインダーからミサイルが射出される、そのミサイルは回避しようと急旋回した敵機に追随し、フレアの幕を避け、エンジン部に直撃する。「ドン」と爆音が鳴り響き、火の玉が広がる。

 

 「敵機撃墜確認」


そうボソッと呟き、


「こちら"ピジョン5"敵機の撃墜を確認。残機9機。」


そう言った途端に、


「"ピジョン3"撃墜を視認。」

(以下略)


と、次々と撃墜していった。


 もう戦闘を開始してから五分が経っていた。満載にしていたとて、激しい運動をする空戦で燃料の消費も激しい。まぁもってあと五,六分くらいだろう...


 各機が帰還し始める。帰還の時の追撃を避けるため、ミサイル一発は残す。が、古尾谷(こびや)一尉の機にはミサイルが一発、残っていなかったのだ。空戦途中に固定具が緩み、脱落していたのだ。


唐突に古尾谷の搭乗する"ピジョン2"のコクピット内に警告音が響く。


 「くそっ!ロック・オンされた!」


古尾谷が声を上げる。


〈"イーグルアイ"からピジョン隊へ、敵機ミサイル六発発射!回避行動を!〉


「"ピジョン2"から1、ミサイル、全弾、目標、自機...」


「六発...だと!?」 そう君津が呟く。集中砲火だとは思っていなかったのだろう。


〈「"イーグルアイ"から"ピジョン2"へ、ブレイクライトだ!海に逃げろ!」〉


「了解。」


古尾谷はそうマイクに呟き、操縦桿を目いっぱい押し込む。 機体がスッと傾き、旋回しながら、急降下する。そこに六発のミサイルがついていく


〈古尾谷!耐えろ!意識をしっかり持て!〉

 氷川の悲痛な叫びが聞こえる。


 だが、意識がはっきりしない。脳がミシミシと、時にぐちゅぐちゅと、急激な降下でGがかかり、血液が頭部に集中する。


 雲が切れ、海面が見えた。


 -高度6000で、プルアップだ。


 薄れゆく意識の中で、ただそれだけを考える。6000まで耐えて、そのまま機を戻せば、ミサイルは海面とキッスしてくれる。ただ、そこまで意識が持つかどうかだ。


〈耐えろ!古尾谷!〉


あぁ、瞼が重い。頭がどんどん真っ白になっていく...


〈もういい!古尾谷!ベイルアウト(緊急脱出)だ!〉


氷川の叫び声で、一瞬、意識が戻る。


〈速度を落とせ!脱出しろ!〉


「氷川さん...でも、この機は...一機、百五十億...」


〈馬鹿を言うな!この機体は予算があればいくらでも替えが効く。でもお前は替えが効かん!〉


ー替え...?


〈緊急脱出だ!古尾谷!〉


やっとの思いで、目を開けると、そこには妻と一緒に写る、娘がいた。


ー俺の替えは...誰も、効かない!


 全神経を研ぎ澄まし、大きく震える腕を、インジェクションハンドルに伸ばし、思い切り引く。キャノピーが吹き飛び、椅子ごと射出される。そこから古尾谷は海面すれすれで機にミサイルが直撃し、爆発四散した。


〈古尾谷ああああっ!〉


"紀伊"CICに氷川の咆哮が響く。


〈僕は...大丈夫ですよ。氷川さん。椅子に掴まって、待ってます。〉


「敵機、離れていきます。」


 よし、と氷川が頷いて、


「古尾谷一尉の捜索、敵機パイロットの生存確認も怠るなよ!」


そう、君津がマイクに向けて、言った

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