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古代技術と爆炎の三流魔道士  作者: Uノ宮
新人戦 編
55/62

不条理に屈す


 三回戦で当たるアルグレイ魔導院は、シュヴァルト先輩曰く、去年までは一回戦敗退の常連の無名校だったのだが、今年は明らかに違うとのこと。


 二回戦を見たが、特に秀でた選手がいるわけでもない。ただ言えるのは、定跡通りの綺麗な戦い方をしているというところだ。

 そうなると、同じく定跡にはまったスタイルで戦うノイルとの相性は悪い。


 多少の不安要素を残して、試合に挑んだ。 


 先鋒の役目は、敵の威力偵察をしつつ勝つこと。判定で勝つのが最高だが、今回はそうはいかなかった。  敵は力量の差を判断したとたん、わざと場外へと吹っ飛んでいったのだ。ほとんど価値のない勝利だ。


 ゴーマンは案の定、負けた。


 続いてノイル。ここでどうなるかで全てが決まる。 なんとしても勝ってほしい。


 しかし、相手はしっかりとこちらを研究していたようだ。ノイルが最も得意とするのはカウンター。それに対し相手は、同じカウンター狙いの戦法を選んだ。

 グランケに勝てると踏んでの引き分け狙いだ。


 カウンターに対する対抗手段を持たないノイルには当然どうすることもできないため、敵の作戦通り引き分け。 

 そしてグランケ。敵にムキになる癖を見抜かれ、まんまとその術中にはまった。その結果、判定負けを喫した。


 一勝二敗一分けで迎える大将戦。引き分け狙いでくることは確実だ。


『始め!』


 前に出れば下がり、下がれば前に出る。一切の欲を出さず、真逆の行動を徹底している。合理的に、ただ勝利を追求しているのだ。


 ここで攻めなければ引き分けとなり、チームが負ける。

「先生!頑張ってください!」

ノイルの声援が耳に届く。


 正直、このチームがどうなろうが、どうでもいい。

だが、ノイルがここまで応援してくれている以上、勝つ以外の選択肢はない。


 ちょこまかと逃げるなら、逃げられないようにすればいいだけのこと。手の内は見せたくなかったが、こうなってしまったのなら仕方がない。



「フレアス!」

弧を描いて、左右から一発ずつ打ち込む。前までなら二回、三回と唱えていたが、複数にすれば良かったことを最近になって学んだ。


 相手が盾を展開するのを確認し、自分の真後ろへ打ち込んだ。

 

 着弾の寸前、前方に駆け出す。背に爆風を感じた直後、再び後方へ打ち込む。その反動で更に加速し、一気に距離を詰める。


 ただ前に出て近接戦に応じればいいだけなのだが、全てが定跡通りの堅物には、一つ一つ対応するしか考えられないだろう。

 予想通り、初めの二発を防いでから、身構えた。カウンターを狙ったのはいいが、それも定跡。こちらが読んでいないわけがない。


蹴りの間合いに踏み込む寸前、滑り込みながら急制動。蹴りを繰り出しかけたことで、相手の重心は僅かに浮く。前方への運動量を回転力に変え、体重が乗せられている軸足を、払う。


向こうが俺の戦い方を研究しているなら、距離を詰められた時の対策も十分にしているだろう。

 ならばこちらは、あえて距離を取る。


ノイルの技を真似させてもらう。


隙は僅かでも、四節を唱えるには十分だ。

「ルーディス・デーラ・フランブラスト・アプト」

放たれた焔は、相手の前で爆散。 爆風が広がる。


風は絶対に避けられない。


『待て!』


勝敗は決したと思われたが、試合は中断され、審判が集まり審議が始められた。明らかに場外であり、俺の勝ちなはずなのだ。


『アルバート選手から不正と思われる魔法反応を感知したため、ただいまの試合を無効試合とし、アルグレイ魔導院の勝利とします』

場内は騒然となった。



 再検査を受けだが、アクセサリーにも体液にも一切、不正を疑われる要素はなかった。

 

 

 ロッカールームでノイルは自分が勝てなかったからと、泣いていた。俺もしばらく、何に対して湧いているなわからない苛立ちを抑えながら、気持ちの整理をした。


 俺とノイルの新人戦は、あっけなく幕を閉じたのだ。



 しかし、アリーナから出た時、俺たちは驚かされた。

「おい坊主!あれはお前の勝ちだ!個人戦、楽しみにしてるぞ!」

「お前はこんなところで終わっていい珠じゃねえよ!」

強面のオヤジたちからの激励に。

「ノイル君!泣かないで!」

「アルバート君!応援してます!」

「握手して下さい!」

同じ年か少し下の女の子からの、黄色い声援に。

 

俺たちの実力が認められたことに驚きつつも、それが何よりも嬉しかった。


俺は、その全員に向き直る。

「応援、ありがとうございました。個人戦も、是非応援に来てください」

頭を深く下げた。


次は必ず、結果を残す。


 

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