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古代技術と爆炎の三流魔道士  作者: Uノ宮
新人戦 編
54/62

将来の話


 格闘だけで勝つという目標は達成された。手の内を明かしていないという点において、この勝利は価値がある。


 一戦目のこともあり、敵は間合いを詰め近接戦に持ち込むか、極端に遠くして魔術戦に持ち込むかのどちらかしか選べない。

敵は後者を選んだのだが、こちらが間合いを詰めて半ば強引に近接戦に持ち込んだ。


そうやって一つ一つ、敵の選択肢を封じて主導権を握れば、こちらは余裕を持って戦える。



「ノイル、よくやったな」

シュヴァルト先輩がノイルに声をかけた。ノイルは照れ臭そうに、けれど謙遜はしなかった。心の面も、少しづつ変わってきている。

「蹴りの時、目瞑ってたけどな」

「さすがに怖いですよ」

ジークの指摘にわなわなとたじろいだ。こういう子供みたいな部分は全く変わってない。



 雑魚二人が、呑気に売店から帰ってきた。それを見たジークが眉をひそめる。

「大丈夫かよ」

「あいつらは当てにしてない」

こうなることは想定済みだ。

「なら、ノイル次第ってとこだな」

「どこまでまで行けると思う?」

ジークに問う。

「アルバートは全勝するとして……」

確かに、相手の魔法を封じることさえできれば、必ず勝でるだろう。


ジークはしばらく考えこむ。その時、俺たちを呼ぶアナウンスが流れる。同じコートで、俺たちはジークらの次だ。

「次の試合見て考えるわ」



 二回戦の相手は、メルフランク魔術学園。アリシアには劣るが、それでも歴史は長い名門校だ。その、Cチーム。


 一人目。様子を見ながら、近接戦のみで判定勝ちに持ち込む作戦でなんとか一勝をもぎ取った。


二人目は次鋒のゴーマン。逃げ回り、なんとか引き分け。負けるよりかはマシだが、見ていて腹が立つ。


そしてノイル。俺の要望通りの判定勝ちで二勝目。


 グランケはさっきの反省から攻撃後の隙が無くなった。そして、なんとか引き分け。グランケはセンスはあるのに活かしきれていない感じがする。


 勝ち越したことにより、大将戦はない。なんとか二回戦を突破した。


 次に控えるのは、ジーク率いるSの試合。今回は先鋒が勝った後の人は引き分け。それも、一切の攻撃をせず、敵の攻撃を全て躱しての引き分けだ。

 一勝三分でジークに回る。

 さすがというべきか、肩慣らし程度に敵をいなしつつ、判定で勝利した。


帰ってきたジーグは、さらりとさっきの会話を続けた。

「まあ、ベスト8だな……順当にいけばAの奴らと当たるから、多分そこまでだろう」

「強いのか?」

実際、そのメンバーが戦う姿は見た事がない。

「まあ、魔法だけなら。お前なら勝てるが、ノイルにはまだ無理だ。俺とかお前と違って、攻撃のパターンが少ないからな」

「さすがに一ヶ月じゃあ限界はあるよな」

安心した反面、残念でもある。


「正直、あとどれくらい隠し持ってんの?」

ジークが顎に手をやりながら問う。

「教えると思うか?」

笑いながら答えると、向こうもニヤリとした。

「少しぐらいいいだろ」

「まあいいか。あと十……いや、奇襲を含めたら十五はあるな。パッと思いつくのはこれぐらいだか、組み合わせ次第ではもっと増える」


「多すぎだろ……しかも、その一つしか出してないんだろ?」

「まあな」

ジークは少し引き気味だ。

「それはやっぱり……」

申し訳なさそうな顔をしながらジークが続ける。

「ああ。戦い方を増やすしかないからな」

「そうか……」

しみじみとした空気が、風とともに流れた。


「アルバートは、なんで強くなりたいんだ?」

遠くを見ながら、しばらく考える。

「何でってのは一概には言えないけど、強くないと、何もできないから、とりあえず強くなりたいってぐらいかな」

ハンナ先輩を守るにしても世界を変えるにしても、強くなければ成し遂げられない。

「そういうジーグはどうなんだ?」


少し考え、ジークは話し始めた。

「俺は……そういう家に生まれたからかな。父も兄も軍人で、だから俺もそうなるんだろうなって感じだ」

「なるほどな……」

家柄というものはそれほど大きな存在なのかと、改めて驚かされる。


「そういや、アルバートは何になるんだ?」

何になる、か。

「革命家」

全てをひっくるめたら、この言葉がふさわしい。

「何だそれ」

「魔法科学の生みの親として、王国史に、戦史に、あらゆる歴史書に名を残す」

「聞いてもわからん」

ジークが笑う。


トーンを戻し、話を続ける。

「俺は、戦争を変える武器を開発するつもりだ」

「専用武器とかか?」

「そのアイディアもらうわ」

次の試合まで、未来予想図を語り合った。



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