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古代技術と爆炎の三流魔道士  作者: Uノ宮
芸術祭編
50/62

黒幕X


 一昨日の事件を受け、会場周辺の警備は最高レベルに引き上げられた。


 入場時には、手荷物検査に加え、警察が手配した魔力制御用のリストバンドが全員に取り付けられることになり、当初の予定では固定されていた警備の位置も、俺の位置を特定させないために、流動的に行うように変更された。


また、定期的に生徒会の生徒間で情報を共有することとなり、その際に用いられる干渉受信機が至急手配された。

 

 厳戒態勢の中、一時間半ほどかけてようやく入場が終わる。


「アルバート、これ、持っとけ」

先生に渡されたのは、いくつかの魔法陣が書き込まれた手袋と、コイン状に成形された十枚の魔法石。


「ありがとうございます」

左胸のポケットに二枚、残りを腰のポケットに詰め込んだ。

「気をつけろよ」

こういう、ここ一番での対応の速さは尊敬できる。



 警備の所定位置に全員が付き、芸術祭が始まった。


アナウンスを聞き流しながら、周囲に気を配る。

「聞こえますか?」

会長の声が魔導器を介して伝わる。


胸ポケットから取り出した魔法石を耳のそれに当てる。

「こちらアルバート、聞こえます」

干渉魔法が使えない俺はこの魔法石を使うしかないため、話すたびに再充填しなければならないのだ。


 定期的に情報を共有しながら、警備を続ける。今のところは、特に怪しい動きはない。



 午前は何事もなく、昼休憩に入った。本部に戻り、皆と食事を共にする。

「昼から私は警備に入れない。他にいたっけ?」

「すみません、俺もです」

レーナ先輩に続き、ジークも手をあげる。


二人の欠員を踏まえ、会長が考える。

「アルバート君には、舞台裏付近を任せるわ」

そこは生徒も保護者も行くことのない場所で、さらに二人の警備の前を通り抜けないと、その場所にはたどり着けない。


 配給の弁当を食べながら、午後のプログラムを確認する。一際目を引くのは、なんといってもコンテストだろう。後夜祭に行われる本戦しか観れないのが残念だ。


ジークはそれの、男子予選に出場する。ジークと、俺の親友で予選は決まりだろう。


置かれた魔導器を取り付けた。そして立ち上がり、ジークに声をかける。

「予選突破しろよ」

「任せとけ」

拳を合わせ、それぞれ午後の部に備えた。




『プログラム十九番、魔術部による演舞です』

午後の部が始まった。会長からの確認がない。


それと同時。

「っ!」

後方から魔導反応を感知。とっさに飛び退いた。

「雷よ!」

放たれた魔法が俺の元いた位置に着弾。


このタイミングで来たか……

「おや、避けられましたか」

相手は六人……勝ち目はないが、今の魔法で誰かが来てくれるはずだ。


「なんでここにいる」

ここにはこれないはずだ。考えられるのは、待ち伏せのみ。

「まさか、あなた方も生徒会内部に協力者がいるとは思っていなかったでしょう」


相手の耳には、俺達が付けているのと同じ魔導器がある。


「まじかよ……」

おそらく会長も、これは想定していなかっただろう。


魔導器に石を当て、交信を試みる。

「無駄だよ。君のそれには細工してあるからね」

耳からそれを取り外し、地面に叩きつけた。


「おい、クソジジイ。やるか?」

「威勢がいいな……焔よ!」

敵は必ず、詠唱を行う。その分、こちらに反応の余地がある。


「ルーディス!」

手袋の、盾の魔法陣に手を当て、起動。盾がその炎を打ち消した。

「っ!適正がない魔法を使うだと!?」

「神の言葉である詠唱を略すだけでは飽き足らず。神から授かった適正までも恣意で捻じ曲げるとは……どうやら、裁きが必要なようですね」


「はあ?詠唱概論読んで出直してこい」

こいつらには、理論というものがまるで通じないようだ。

「「焔よ!」」

二人からの魔法は、突貫の盾では防げないと判断し、後方へと退く。


その繰り返しの中で、こちらの形勢が不利になっていく。ここまで魔法を使っているのに、なぜ人が来ない。


 強引に間合いを詰め、なんとか一人に対し近接攻撃に持ち込んだ。

「「雷よ!」」

周囲に異変を感じ、すぐに飛びのく。そして、目の前で敵の一人が、味方の雷に撃たれて倒れる。

「っ!?」

味方もろとも巻き込みやがった。


 こうなってしまっては、こちらからは手がない。



それよりも、なぜ、人が来ないんだ。


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