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古代技術と爆炎の三流魔道士  作者: Uノ宮
工学編
48/62

恋の潤滑剤


 芸術祭を三日後に控えた日曜。スーツに身を包み、家を出た。


 こんな服装をしている理由は二つ。本社でのプレゼンがあるのと、開発者らが集う食事会に招待されたからだ。


 あれから研究や会議、大会に向けての強化練習などといった多忙な日々が続いていた。食事量を増やしているにも関わらず、二キロ痩せたほどだ。

 三週間続いたそれも、とりあえず今日でひと段落する。


あくびをしながら、エレベーターを待つ。エレベーターは一度12階まで上がり、そこから降りてきた。

 珍しいことに少し驚きながら、挨拶に備えて咳払いをする。隣人への気配りだ。


 扉が、開いた。

「おはようございま……え?」

そこに乗っていたのは住人ではなく、ジークだ。

「あっ……」

普段クールなのに、珍しく慌てている。気まずそうな表情を見て、察した。

「あ、すまん」

とっさに謝り、エレベーターから降りた。


12階からジークが降りてきたということは、間違いなくミーナの部屋に行っていた。今のが朝帰りだとしたら…………そこまで考えて、首を振った。

「やめとこう」

生々しすぎる。



 次のエレベーターもまた、最上階まで行った。この流れからして、ミーナだろう。

「おはよう」

ドアが開いた瞬間、挨拶をする。

「お……おはよう……」

「どこ行くんだ?」

「遊びに。ジーク君に誘われてさ」

「ああ、そういうことね」

ジークが言ってたの、今日だったのか。食事だけの予定は変わったのか。



ジークはただ、迎えに来たのか。

「アルバートこそ、スーツなんか着てどこ行くの?」

「あ、言ってなかったか……」

「……⁇」

エレベーターから降り。カバンから取り出した名刺を差し出す。

「オーハス……ってことは……ええっ!アルバートなの⁈」

返事のかわりに、ニヤリと笑って返す。


ミーナはしばらく名刺を見つめ、納得したようだ。

「だから最近忙しそうだったんだ」

「まあな。これ、絶対に誰にも言うなよ?」

忠告に、こくこくと頷いている。


 

 そわそわと待っていたジークをからかってから、二人と別れた。




 プレゼンでは、自らが感じてきた世の中の不便を解消するための製品を開発する部門と、兵器を開発する部門の二大巨塔を提案し、例を挙げた。


最初に提案した製品の一例は、ただの台車。それに目をつけた理由は、三つある。

一つは、俺自身の経験からだ。荷物を運ぶのはかなり大変だったのだ。男の俺ですら大変なのだから、女の人なら尚更だろう。


二つ目は、その、荷物を運ぶための重力操作系の魔法は、この国では爆炎系に次いで適正を持つ者が少ないものだからだ。


 そして最後は、パーツが少ない上に安く、組み立てやすい。さらに、システムのほとんどがF-Bシリーズから流用できるからだ。

間違いなく売れると踏んでの提案だ。


その結果は好評で、マゼラティクスの開発した吸収魔法のライセンス使用が認められた。

また、兵器の方は事業が安定してきてから手を出すという条件で合意した。



 それがちょうど終わった頃、ジークとミーナからメッセージが届いていた。内容は、

 

『俺、今日告白するけど、大丈夫だと思うか?』 

『あと、ネックレスあげたら喜んでくれた』

という、端的かつ衝撃的なものと。


『ジーク君にネックレス買ってもらった!』

『アルバート、仲いいんでしょ?何返したらいいと思う?』

という、のろけ話の報告と、問いだ。


二人とも、ほぼ同じタイミングで送信しているのが面白い。


『俺から見て、可能性はある』

と、ジークに。

ミーナには、

『はいはい、よかったな』

とのろけを流してから、

『ネックレスとかアクセ類はスポンサーから貰ってるから、帽子とかは?それか、スポーツウェアかな』

と、具体的なアドバイスを。

前に帽子が欲しいって言ってたし、最近お気に入りのウェアが破けたって嘆いていたのを踏まえてだ。


送ると、二人からすぐに返信が。

『そうか!ありがとう』

それに対し、頑張れ!とだけ返す。


また、ミーナからは

『何色が好きとか、ある?』

と聞かれたので、それば自分で聞け、と返した。



「アルバート、着いたぞ」

親父に言われ、車から降りた。携帯の電源を落とし、食事会の会場に入る。


 二人の展開が気になりすぎて、食事どころじゃない。


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