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古代技術と爆炎の三流魔道士  作者: Uノ宮
工学編
46/62

世界の歯車


 あれから三日、演説はすぐに学会誌に取り上げれられた。魔法の時代の終わりとも取れる物言いは、一部では問題視されているが、概ね好評だったようだ。


見本誌を見せてもらうと、『新時代の幕開け』というタイトルと共に、俺の写真が表紙を飾っている。小恥ずかしいが、変顔で写っていなかったのでとりあえずは一安心だ。


さらに、マゼラティクスにも動きがあったようだ。なにやら、上層部で新ブランドの企画が進行しているらしい。[マゼラティクス・アルブ・ヴィッセ]という社名が最有力候補なのだが、それには明らかに俺の名前の一部が使われているのだ。それは多分、俺がCEOになることを意味している。


かなり大ごとになってきている。軽い学生研究から、企業のCEOになるまでに発展したとなると、かなりの飛躍だろう。


そんなことを考えながら、ボードに乗って登校する。まだ早いため、人目にはつかない。すっかり日課となった朝練。合宿以降はノイルも増え、二人での特訓となった。一時間ほど汗を流し、教室へと向かった。


教室に入ってすぐ、リーエルがこちらを見てニヤリと笑った。その手には、例の雑誌だ。

「アルバート君、おはよう。先駆者の方と同じ教室で学べるなんて、身に余る光栄ですね」

いたずらな表情で笑いながら、カッコつけて喋った部分を掘り返される。

「やめてくれ」

少し体温が高くなる。


「本当に、凄いですね」

「まあ、多少は親父の知名度によるところもあると思うけど……凄いよな」

親父の力だけでちやほやされる世界ではない事ぐらいわかっているので、謙遜はしない。客観的に見ると、本当に凄い。


「どこか、遠くに行ってしまった気がします」

「俺から見たリーエルも、そんな感じだけどな」

人は自分にないものを羨む。お互いに、隣の芝は青く見えるのだ。

「そうでしょうか?」

「ああ、雲の上の存在だな」


そんなやりとりをしていたところ、教室に入ってきたシャルがこちらに駆け寄ってきた。

「あ、あの、これ……」

ばっと突き出されたのは、例の本。憧憬の眼差しで俺を見るのは、辞めてほしい。

「これ、アルバート君ですよね……?」

「そうだよ。言っただろ?」

シャルは頷く。そして息を整えて、続けた。

「それと、マゼラティクスの新ブランドの代表になるって本当ですか?」

口を突いて出た言葉に、驚かされる。

「そこまでは言ってなかったろ?どこからの情報だ?」


シャルは呼吸を整え、続ける。

「ニュースで、代表に学界の新星を起用する方針を表明って、書いてました」

「その話は親父から聞いてたけど……」

ここまで早く決まるとは思ってなかった


正式に決まったということは、今後、何かしらの形で連絡があるはずだ。

「おめでとう……ございます」

「アルバート君、おめでとう」

リーエルは俺よりも喜んでいる。


「もう一つだけ……いいですか?」

スッと、トーンを落としたシャル。どこが寂しげな表情を浮かべている。

「なんだ?」

「工学部、辞めたりしませんよね?忙しくても、少しは顔を出してくれますよね?」

「有名になったから、はい、さよならって言うとでも?俺が、そんな薄情な奴に思うか?」


リーエルがシャルの肩に手を置いた。

「そうですよ?アルバート君から人情がなくなったら、それこそ終わりです」

ナッカを勇気付けながら、俺をディスるな。

「そう、ですね」

ぱっと、シャルに笑顔が戻った。納得するのか。



シャルは席に戻り、再び二人になった。

「なあ、最近俺のことなめてるだろ?」

「なめてません、からかっているだけです」

「それをなめてるって言うんだよ」

リーエルはクスクスと笑う。


そんなやりとりはしばらく続く。その中で俺は今後について思いを馳せ、期待を膨らませていた。





その夜、マゼラティクスから連絡を受け、正式にマゼラティクス・アルブ・ヴィッセの代表に就任した。

 様々な配慮もあり、オーハス・フォイアーという偽名での公表となったが、関係を怪しまれないように実名でスポンサー契約を結んでいる。

そのおかげで、今後は、事実を知られることはない。


 いよいよ、これからだ。賽は投げられた。

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