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古代技術と爆炎の三流魔道士  作者: Uノ宮
工学編
43/62

学者への一歩

 

日は進み、日曜。俺は、親父に頭を下げられていた。

「頼む!使わせてくれ」

使わせてくれ、というのは俺が作ったボードの安定機構のことだ。さすがのマゼラティクスでも、魔法石の研究まではしていなかったようだ。


「研究チームに入れてくれたらな」

「わかった」

「え、マジ?」

冗談のつもりで言ったのだが、親父の目は本気だ。

「こちらとしても、お前がいた方が助かる」

「あ、そうなんだ」

話が予想外の方向に進んでいる。


「そっちも学会で発表するなら、何かしらの後ろ盾は必要だろう?」

「まあ、確かに」

その後ろ盾がマゼラティクスとなれば、これ以上のものはない。

「それに、報酬は弾むぞ?」

「どんくらい?」

金で釣るとは卑怯だが、それにすぐに食いつく俺が言えた義理でもない。こういうところは、やはり親子だ。



「……多分、俺の年収は超えるな」

「マジか……」

親父の年収は世の男の平均給与の倍ほど。それを超えるとなると、かなりの額だ。

「しかも、一定の額がこれから毎年入るだろうな」

頭の中が金のことでいっぱいになった。もう何も考えられない。


「とりあえず、来週までに詳しいブツを頼む」

そんな俺を見兼ねて、親父が俺の肩を叩いた。

「普通に論文って言えよ」

「いや、ブツだ」

「仕上げとけばいいんだな?」

「ああ、こちらで上との話はつけておく。あと、演説の内容も考えとけよ」

「了解」

「忙しいから、戻るわ」

そう言って、そそくさと帰って行った。


といっても、忙しい主たる理由は、新型のボードに親父しか描けない複雑な魔法陣が使われているからなのだ。


調子に乗るからそういうことになるんだと言ってやりたかったが、それよりも、わざわざ来てくれたという感謝の方が大きい。本来なら、俺なんかにかまけている時間などないはずなのだ。

こういう所は本当に尊敬しているし、自分もこんな親になりたいと心から思っている。




一息ついてから、論文に取り掛かった。

こういった公文書で、書くべきことは二つ。

一つはシステムの原理と実験データ。これが何より重要だ。さらに、今ある限りのデータを可能な限り分かり易く説明しなければならない。


二つ目は、それらの設計図。これは俺のものをそのまま貼り付ける。そして、考え得る限りの改善点を列挙して書き出す。この場合、小型化や多方向への魔力供給が挙げられる。


意気込んで取り掛かってはみたものの、思ったよりも言葉にするのが難しい。


設計図にはq=C V、F=75g/7などの数式がひたすらに並んでいる。用いているのが古代文明の知識や数式であるため、そのままでは通じないのだ。



半日をかけて、ようやくまともなものに仕上がった。自分の発明ですらここまで時間がかかるとなると、他者の研究の考察はどうなるのか、不安でならない。


携帯を確認すると、レーナ先輩からのメッセージが入っていた。

『明後日の集会の活動報告だけど……主にマゼラティクスとの共同研究の報告だから、アルバート君、よろしく』

やっぱりこの人、めちゃくちゃだ。

「嫌です」

返信はすぐに帰ってきた。

『私はもう、何も考えない』

『お願い!』

こうなってしまったらもう、俺がやるしかない。


わかりました。とだけ返信し、風呂へ。



ベッドに潜り込み、何を言おうか考え始めた。全校生徒の前となると、さすがに緊張する。いろんな意味で目立っているから尚更だ。


一通り文言を考えたところで、眠りについた。



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