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古代技術と爆炎の三流魔道士  作者: Uノ宮
合宿編
38/62

七色の舞

  

 三日目。俺たちの班はのこれから練習試合に入る。

「アルベルト」

どんな奴がいるかを、一通り見渡していく。


すると突然、背中を叩かれた。

「誰だよ……っ!」

振り向くと、この前の変人がいた。確か、名前はシーナ・モンナタール。



ずっと呼んでいたようだが、違う名前を呼んでいたら気づくわけがない。

「俺の名前、アルバートだから」

「じゃあアルバート、私と試合」

「はいはい」

ハイというまで心理操作を掛けてくるのは目に見えている。


 俺がその場で座り込むと、横にちょこんとシーナが座った。何をされるか分からないからマジで怖い。


 試合を見ていると、シーナは何やらブツブツと呟いている。耳を傾けると、それは色の名前だった。

「青……水色……綺麗……赤!」

「さっきから何言ってんだ?」

「魔法の色、綺麗だよ」

「色?なんだそれ」

聞いても理解できない。すると、説明よりも先にシーナは俺の目を手で覆い、魔法を唱えた。

 それは、幻術魔法の中でも難易度が高いとされる、感覚共有魔法の詠唱文。


次の瞬間、真っ暗だった世界に色が戻る。

「なんだ……これ……」

そこに広がっていた光景に息を飲んだ。


魔法の波が鮮やかに色づいている。魔法の起動とともに、色も広がる。俺が肌で感じている魔法の状態が、全て色で伝わってきているのだ。

「綺麗?」

「ああ……綺麗だ」

これが、こいつが見ている景色なのだ。


四試合目が終わり、次は俺たちの番だ。立ち上がろうとした時、ぎゅっと重みを感じた。

「おい、何してんだ」

密着するシーナを振りほどこうとするが、ここでも魔法で力を強くしている。

「おんぶして」

「子供かよ」

力を込めて立ち上がるが、思ってたよりもずっと軽いことに驚いた。


 そうして、試合が始まる。


 真っ向勝負で勝ち目はないため、開始早々に回避に専念する。

「赤色……」

火球が翳める。当たれば終わりなため、一瞬の気も抜けない。


「オレンジ色……」

しかし、何も起こらない。少し間が開いて波が到達、自分への身体強化系魔法だったのか。俺の攻撃に備えたと考えるのが自然だが、真意はわからない。


「黄色……」

「っ!?」

色のある世界が広がった。幻術系魔法、それをこんな使い方をする理由がわからない。


「緑色……」

緑色の波が広がる。そして、吹き始めたそよ風がシーナの髪を揺らす。


 これは、遊んでいる。だったら、ここで反撃するしかない。足を止め、詠唱。

「フレア!」

「青っ!」

俺が口を開いたのと同時、向こうの魔法が発動する。ふわりと飛んだシーナは、俺の攻撃の射線から逃れる。


「読まれている!?」

しばらく考えて、違う結論に至る。

 波で感じる俺とは違い、向こうは光で魔法の状態がわかるのだ。発動と同時に全て知られ、対策をされているから、読まれているように感じるのだ。

少しでも離れていれば、こちらの攻撃は絶対に当たらない。


 そこでさらに気がつく、シーナの周りに何かが描かれている。あれは……魔法陣か?


 シーナが手を振りかざすと、更にそれらが描かれていく。やはりこれは、魔法陣。

「藍色……」

シーナの周りに、水が流れ始める。


 シーナが描きたいものがわかった。俺の足は完全に止まった。完全に、諦めた。


 赤、オレンジ、黄、緑、青、藍。


それに続く色は、ただ一つ。紫だ。それで、この魔法は完成する。

「紫……」


雷が水と反応し、ミスト状に広がる。


「出来た……虹!」

七色の波が広がる。もう、笑うしかない。


そして、それまでに唱えた全ての魔法が、俺へと迫る。

「無理だ……」

避ける事すらも諦め、目の前の光景に見惚れていた。


 強烈な熱や痛みとともに、世界の全てが黒く染まった。




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