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古代技術と爆炎の三流魔道士  作者: Uノ宮
合宿編
36/62

小さな恋の話

 

 トレーニングの後、入浴を済ませ、食堂へ。夕食は、バイキング形式で、ささみなどの低脂肪高タンパクの肉がふんだんに使われたメニューになっている。


さすがというべきか、集合時間の五分前には部員全員が席についていた。シュヴァルト先輩、アネット先輩、俺、ジーク、マット、ノイルの6人でテーブル囲んだ。

シュヴァルト先輩が前に立ち、予定の説明を

「明日から予定は、10時から二時間の全体練習、朝練は自由。明日の昼から魔術部が来るから、明日の夕食は交流会、そして、明後日からは合同練習だ」


男子から歓声が上がる。この部は女子が少ないし、男勝りな人ばかりだからだ。正直、魔術部の女子部員のレベルは高い。

「ノイル、どうした?」

「いえ、なんでもないです」

一瞬、喜んでいるように思えた。これはもしかして、本当にそうなのか。


「それじゃあ、合掌。いただきます」

「「いただきます」」

夕食が始まった。

 どれも程よく味付けがされており、疲れた状態でも食べやすい。それに、軍の食事のイメージを覆すほどの美味しさだ。


「明日、朝練するか?」

シュヴァルト先輩が五人に問いかけた。

「します!」

真っ先に返事をしたのは、ノイルだ。さっきからずっとだが、緊張で顔が引きつっている。

「ノイルがやるなら、私も」と、アネット先輩。

「僕もやります」マットが続く。

「俺もする。アルバートもするだろ?」

ジークが咀嚼中の俺に気遣い、俺に聞く。俺はそれに頷き、六人の参加が決まった。


「そういや、部屋割り決めてなかったな」

思い出したようにシュヴァルト先輩が言った。それに対し、女子は色々ややこしいから私が決めると、アネット先輩が。

「男子は、好きに決めさせるか……ジーク、お前が残り三人決めてくれ」

「一緒な前提なんだな……まあ、ここの三人でいいだろ」

「わかった、お前らはいいか?」

俺とマットは頷き、ノイルは固まっている。

「僕でいいんですか?」

と、か細い声で聞き返す。

「むしろ歓迎だ」

シュヴァルト先輩はにっと笑った。

「えー!ノイルは私の部屋に呼ぼうとしてたのに」

アネット先輩のその言葉に、ノイルは胸を撫で下ろした。


 部屋割りも無事終わり、部屋に向かう。日も完全に落ち、空は藍色に染まっている。

「どっちにする?」

シュヴァルト先輩がカバンから取り出してきたのは、旅行の定番、トランプだ。

 さっき、合宿は遊びじゃないって言ってたような気がするが、そこは触れないでおこう。


 一時間ほどトランプに興じ、消灯より一時間早くベッドに潜る。

「最近、会長とはどうなのよ?」

ジークの一言から始まった、こちらも旅のど定番、恋話。シュヴァルト先輩に向けられたものだ。

「……何も進展ねえよ」


ボソボソとシュヴァルト先輩は答えた。見た目とは裏腹にかなり奥手ならしい。

「まだ何もないのかよ」

ジークが笑っている。それに対し、お前は何もないのかと先輩が問う。

「まあ……特に……」

誤魔化そうとしたが、そうはさせない。俺は知っている。

「ミーナとはダメだったのか?」

「おい!言うなよ!」

ジークは、ばっと布団から飛び起きた。

「主席の子だよね?ああいう子がタイプなんだ」

ニヤニヤしながら、マットが続く。シュヴァルト先輩は意外だといった様子だ。

「まあ、いいなって程度だ」

恥ずかしそうに頰を掻きながらジークが答える。


「で?どうなんだ?」

すぐに畳み掛ける。

「まあ……今度ご飯に行くことになった」

「すげえな……」

意外と積極的だ。というより、好き嫌いがはっきりしているミーナとそこまでいくということは、かなり脈アリだな、これ。


「そういうお前は、何もないのかよ」

仕返しのように聞き返してきたが、

「ない」

即答した。シュヴァルト先輩からレーナ先輩のことについて聞かれたが、首を横に振った。

「……なら、マットは?」

諦めたジークは、マットに話を振った。すると、マットは照れながら、

「……カタリーナさん」

と答えた。ぴんと来ないが、聞くところによると部内の一年らしい。

「ああ、お前の好きそうな感じするわ」

納得したように、ジークが頷く。

「部内恋愛はいいが、活動にに影響しない程度にな」

笑いに包まれた。


そわそわし始めたノイルに、視線が集中する。

「心当たりある、当てていいか?」

こくこくと、緊張した面持ちで頷くノイル。


一人、こいつが言っていた人物像に完全に一致している人を知っている。まあ、ダメで元々だ。

「ハンナ先輩だろ?」

「っ!」

一瞬で頰を赤く染めた。わかりやすい。

「これは、黒だな」

そう言いながら、シュヴァルト先輩が笑っている。

「それって、魔術部部長の?」

マットの問いに、俺が頷く。ノイルは完全にショートしている。

「ノイル、ハンナ先輩に憧れてこの学校に来たって」

「へぇ、なら普通、魔術部じゃないのか?」

シュヴァルト先輩が優しく問う。


しばらくして。

「先輩は、格闘技も強くて、追いつきたいと思ったから、この部に入りました」

「そうだったのか」

「けど、全然ダメで……」

弱気な言葉に、シュヴァルト先輩が優しく笑いながら、お前なら大丈夫だ、と励ました。

「ほ、本当ですか?」

部長直々の激励に、緊張気味に聞き返す。


「入部テストでわかったが、お前の魔法は威力はまだまだだが、かなり洗練されている。質的な完成度は、かなりのものだ。ちょうど、火力バカのアルバートとは真逆」

軽く俺へのディスがあったが、正座で真剣な表情を浮かべるノイルを見ていると、そんなのも気にならない。

「今はまだまだだが、期待している」

その言葉に打ち震えながら、ノイルは頭を深く下げた。



「アルバート、今日みたいに色々と教えてやってくれ」

「わかりました」

不安げな表情を浮かべるノイル。

「ノイル、アルバートと一緒にいれば大丈夫だ」

シュヴァルト先輩が優しく言う。

「一緒ってことは、Aの練習もですか?」

俺の問いに先輩が頷く。ノイルは驚いていたが、

「大丈夫だ、参加といっても、ミット打ちぐらいだ」

「わかりました!」


五人からの頑張ろうぜ、という言葉に、ノイルは嬉しそうに、そして力強く頷いた。


 ちょうど消灯時間になり、眠りについた。


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