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古代技術と爆炎の三流魔道士  作者: Uノ宮
入学編
30/62

Versus


 相手の戦型は、前衛にメルトバーグ、後衛にノックスの攻守型。定跡通りなら、前衛が速攻魔法、後衛が防衛魔法だ。


 俺が休んでいると間に、向こうは五試合をこなしている。その中で、この戦型が三回いずれも勝利している。初撃は、今回も変えてくることは考え難い。そのため、火球と雷撃のどちらかだろう。

そして、俺が爆炎系の適正があることを踏まえると、初撃は雷撃で決まりだ。


厄介なのがメルトバーグの魔法の速さだ。初撃からの第二撃、三撃へと移るのが速い。攻撃の手の速さは、クラスで群を抜いている。


残念ながら、速さならこちらの方が上だ。


後ろのリーエルに「雷撃」とサインを送る。。

「わかりました」

と、返事だけが返ってくる。どうするかは、防御を知り尽くした、最強の盾であるリーエルに全て委ねている。


 構えの合図。

 突き出した手から火花が散る。体が燃えるように熱い。


『始め!』



「っ!」

魔法陣が現れた直後、前方へと駆ける。勢いよく溢れ出した魔力は炎へと変貌。凄まじい熱を纏い、前方の敵へと迫る。その炎と煙に姿を隠し、同じく迫る。


それと同時、相手は詠唱を始める。

「盾よ!っ!」

「雷撃よ!っ!」

相手の魔法陣が現れた時には既すでに、俺はそこにはいない。

 相手の魔力を感じながら、距離を詰める。


雷が空気を切り裂く音とすれ違った直後、凄まじい轟音が響く。この音は、防衛魔法ではないことは確かだ。

その轟音が二回、三回と続く。何をしているのか見当もつかない。


左前方に、後衛のノックスの魔力反応。手堅く魔法障壁を展開している。手数と守りの硬さで押し切ろうというわけか。戦法としては悪くないが……


波動の中心へと向かう。


「お疲れ」

「え?」

ポンと肩を叩き、その後に首を掴む。

「火傷を負いたくないなら、そのまま場外へと歩け」

さすがに諦めたのか、相手は抵抗することなく指示に従った。


煙が晴れ互いの姿が現れる。

「相方はお前を裏切って降参した」

「っ……クソッ!」

メルトバーグの眉が釣り上がる。

「どうする?お前も降参するか?」

「誰が降参なんかするか」

俺は肩をすくめ、同情の眼差しを向けながら。

「やめとけよ……勝てるわけないだろ」

と、挑発。

「魔法も魔法を扱えない奴に、負ける?冗談か?」

「だから魔法を使わないって言ってんだよ」

その言葉に、メルトバーグは笑う。

「二度とそんな口がきけないようにしてやる」


魔力反応。波源が四肢に集中している。これは、身体強化魔法だ。

「……この身に力を。四肢を鋼の如く、拳に地を貫くが如き鋭さを」

「あぁ、初心者か」

勝利を予感した。


 こちらに駆け寄るメルトバーグに対し、右肩を引き、体を斜めに向ける。全身の力を抜き、左手は軽く開き、胸の前まで上げ、右手は軽く握り拳を作り、ヘソの位置へ。

「死ねぇ!」


左腕を相手が右腕に当てるのと同時、左足を軸に体を回転。そうして、華麗に躱す。

「っ!」

二撃目、今度は左手で殴りかかってきた。怒りに身を任せた結果、大振りなったそれに対し、こちらも反撃に出る。

右足を軸に回転、拳は目の前を通り過ぎる。左膝を上げ膝から抜き、蹴りを繰り出す。

「っと!」

鞭のようにしなったら左足で、メルトバーグの腹を打ち抜く。

「ぐぁっ!」

その場で崩れ落ちた。

魔法を使っている時のここは、ほぼ無防備だ。


少し距離を取り、軽くジャンプをする。さっきのは動きが固かった。

それにしても、あまりの歯ごたえの無さだ。そこらのヤンキーの方が強いぐらいだ。地区大会優勝というのは嘘だというのか。


拳を強く握るメルトバーグに対し、

「落ち着けよ」

と声をかけた。

「今ので目が覚めたよ」

だそうだ。その言葉通り、向こうも構えた。だが、身体強化魔法は相変わらずだ。


そこから一進一退の攻防……とは、ならなかった。躱しながら、動きを見切る。

顔への攻撃に最大の注意を払い躱す。避けきれない下段の回し蹴りには足の裏で対処していく。


一見すると攻められているようたが、形勢的にはこちらが上。

こちらは一つの技しか手の内を明かしていないのに対し、敵は親切にも、様々なバリエーションを見せてくれている。

ある技の後に、どの技が来るのかは、人それぞれに癖がある。


 クラスメイトがざわつき始めた。ようやく気がついたのだろう。俺が一度も攻撃を食らっていないということに。

「なあ、そろそろ、やめとけよ」

暗にお前には勝てないと。それに対する返事は「黙れ」まるで聞く耳を持たないようだ。


 なら、そろそろか。勝利の予感が確信に変わる。

蹴りの間合いまで下がり、蹴り足ではなく、軸足の左に注意を払う。

こちらが僅かに距離を詰めるや否や、向こうが動く。

 メルトバーグの大きな癖、それは蹴りを繰り出す直前に、軸となる左膝がやや内側に回転することだ。

 俺にも昔、その癖があった。より強い蹴りを繰り出そうとすると、ほとんどの人間はそうなる。


その瞬間、しゃがみ、軸足に蹴り。軸足が払われれば当然、体勢は崩れる。

 蹴ったままの勢いで一回転し、もう一度左足を強く踏み込む。体を捻り、体勢を立て直したばかりのメルトバーグめがけ、右足を振り抜いた。


「っっ!」

腹を抱えるメルトバーグの、無防備な顔面に、アッパーカット。膝にしようか迷ったが、さすがにやめた。

 倒れこむメルトバーグの体操服の首元を掴み、引きずりながらコートの外に転がす。


 あいつの敗因は山ほどある。一つが、向こうの身体強化の使い方だ。体を物理的に、それも常時硬化するなど、子供がやることだ。


 一度、身体強化魔法の扱いが天才的な奴と喧嘩をしたことがある。そいつは、初動の一瞬だけ筋力を増強させ、終端の時にだけ瞬間的に硬化させるという、とてつもない技を持っていた。

 身体能力ではおそらくこちらが優っていたが、見えない蹴りに一瞬でやられた。これが本物の蹴りだと実感した。

 そいつは、今この学校の魔導兵科にいる。


 ふと、昔を思い出していたところに、リーエルが声をかけてきた。そのまま、俺の隣に座る。

「アルバート君の一人勝ちですね」

「まあ、皆の反応はそんな感じだな」

「私も意外と頑張ったんですけどね……」

なんだか不満げな表情だ。

「そういえば、あの魔法はなんだったんだ?」

リーエルは近寄り、声のトーンを抑えた。

「あれは操作系の魔法です。空気を圧縮しました」

全て理解できた。だからあそこまで音が大きくなったのだ。

「なるほどな、頭いいな」

嬉しそうに微笑んだ。

「アルバート君の推理もなかなかでしたよ?」

「頭を使わないと勝てないからな……」

辛い現実だ。脳筋で勝てるのは、限られた人間だけだ。少なくとも、俺ではない。


 話が終わると、俺たちの周りにクラスメイトが集まってきた。つまるところ、対戦の申し込みだ。

それら全てを、片っ端から受けた。次からは一日二戦

をこなしていかなければならない。



 二限から授業を乗り越えた。


体力が有り余る中、部活動へ。始まる前、シュヴァルト先輩に呼び出された。



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